祝! 種村直樹の「ジャーナル」連載続行

http://www.railwaywriter.jp/mt/  (レイルウェイ・ライター種村直樹の公式BLOG)

あの衝撃の「レールウェイレビュー」打ち切りから三ヶ月が経ちました。

フルカラー6ページを使った種村直樹33年間の回顧の文章を読んで、「ああ、『鉄道ジャーナル』でセンセーの記事を読めるのはいつまでだろう」と心配した読者は私だけではないはず。例の「飯田線とのおつき合いも半世紀」という謎の連載も9月号(7月発売)で終わり、次号の予告もなく、そこはかとない不安が残りました。

そして、今週発売の10月号。ご自身のHPで、「房総の鉄道ぐるりひと回り」という記事が掲載されることをきちんと報告してくれていました(http://www.railwaywriter.jp/mt/mt-tb.cgi/182)。とりあえずは種村御大は続投してくれたようです。まずはめでたし。

で、安心したからか、「ジャーナル」を買ってきたのは発売日から5日経った今日。とりあえず御大の記事から読んでみました。



題名からすると、おそらく房総半島の鉄道をぐるーっと一回り乗り歩くというのが今回の目的なのでしょう。最近、よく見かける「旅と鉄道」や旧「旅」みたいな鉄道旅行系ムック本だと、この手の内容だと2ページぐらいの分量で紹介されることを求められます。なのに、前後編あわせて2回10ページ分のボリュームを書かなければいけない。これはこれでなかなか大変です。

でも、今回はそれなりにまとめ上げてくれていました。文章のテンポは全盛期に程遠いものの、ここ十数年のスタイルとはまた違う路線を目指そうとしている指向は感じ取れました。あやふやな"記憶"に頼らず、きちんと現場で"メモ"をとってきた...その成果は確実に出ています。他の本からの引用、自分の思い出話の繰り返し、同行者のエピソードに依存、短絡的かつ情緒的な物言い……などなど、手抜きと表裏一体の方法に依存することなく、自分の体験したことを書き連ねていく。そんなルポの基本に帰ろうという意志が見受けられました。七十歳にしてそうした変化を模索する姿勢に感心させられました。

と言いつつ、なんか物足りないのもまた事実。いつもの「あれ」が少ないんで寂しいんです。ちょいと暗黒面を抑制しすぎてしまったのかな。

それと最大の疑問。今回の旅って、カメラマンが誰も同行していないんですよね。p.115と117はジャーナル社の所蔵写真を使ったのでしょうけど、あとは御大自らが撮られたのでしょうか。あるいは文中には出てこないけど、誰か同行者がいたのか。「ジャーナル」の合理化うんぬんって話は本当だったんですね。

鉄道ジャーナル 2006年 10月号 [雑誌]

鉄道ジャーナル 2006年 10月号 [雑誌]


……あれ? 仮運用の段階なのに変化球の長文を書いてしまった。本当は種村直樹の鉄道趣味界に与えた影響の大きさなんてのも展開したかったのだけど、とりあえず、それはまた別の話。