なぜか突然、奥祖谷観光周遊モノレール行きに変更。

katamachi2006-11-20


 東北地方へ行くつもりだったのですが、突然、中止。理由は、同行する知人が「東北は寒いから……」とボヤきだしたから。えーい、根性なしめ。11月の東北ぐらいで泣き言を言うな……と説得をしたのですが、ナウなヤングに言っても仕方がない。

 ということで、急遽、四国へ渡ることにしました。今回の目的は、三好市(いまだにピンと来ない地名です)東祖谷に今年8月に完成した「奥祖谷観光モノレール」です。「三嶺モノレール」とか「奥祖谷観光モノレール」とか呼ばれている施設のことです。
 モノレールといっても、遊園地にある児童向けの遊具みたいな代物。それが、延長4.6km、70分も続くわけです。雨の日や寒い日はどうやってしのぐのか。途中でトイレに行きたくなったらどうなるのか。そもそも、山の中をこんなのに70分も乗って、一般の人は、いやイカれた鉄道マニアでも楽しむことができるのか。ニュースが流れ出した頃からいろいろ語られ続けました。「乗用モノレールでは世界最長」という宣伝文句もネタにされ続けましたが、さすがに最近の広告ではこの文言は入れてないようです。

 ところが、この施設。オープンから3ヶ月経ってもまともに宣伝らしいことをしていないんですね。

オープンから3ヶ月、いまだに謎の多い自称"モノレール"

 公式ホームページは、ここhttp://www.city-miyoshi.jp/ezs/info.asp?s=10&c=20&g=70&id=569のようですが、なんだか分かったような分からないような感じです。拠点となるのは、東祖谷にある温泉宿泊施設「いやしの温泉郷」ということが重要なポイントか。 検索エンジンをかけてみると、繁忙期は午後1時で切符は売りきれとかなんとかヒドい状態にもなっていたようですが、さすがに11月下旬の平日なら大丈夫だろう。そう信じています。
 「BIGLOVEシーズン」にはもう少し詳しく載っています。http://season.biglobe.ne.jp/odekake/spot/40847.html
「出発地点から1.5km進み、その後2kmを周遊、同コースを帰ってくるようになる。」とのこと。また、「歩く早さより少し早い程度でちょっとした登山の気分も味わえる。」というのがウリらしいのです。はたして、同じような景色の所を、遊具に乗りながら70分も耐えられるのでしょうか。しかも鉄道マニアのオトコ2人で。少々、不安です。

 このモノレールの最大の謎は、「なぜ、こんな御時世にモノレールをオープンしたのか」ということ。いまだによく分かりません。「一日最大65便運行」となかなか本数は多いように見えるのですが、輸送器具の定員は2人。すなわち「一日最大の利用者は130人」ということになります。これで採算があうのでしょうか。もちろん開業景気が冷めれば平日なんてガラガラの日も出てくるでしょう。職員の人件費どころか、維持管理費や光熱費すらもまかなえるのだろうか。
 さらに、モノレール乗り場の隣にある温泉宿泊施設「いやしの温泉郷」。実は、モノレールのオープンの2週間後に「東祖谷観光、年内破たんも 「いやしの温泉郷」運営三セク」と報道されています。四期連続赤字で、累積赤字は約7680万円。12月に行われる三好市議会で公的資金の注入を含めた再建策が提案されると言うことです。「『赤字幅が大きく、十二月まで経営が持たない状況』と、同社が破たん寸前になっていることを初めて公表した。」のがモノレールオープン後というのが危機感のなさというかなんというか。2005年11月の同紙によると、一年前から第三セクターの行く末についてはいろいろ取りざたされていたようですね。

 ここの旧東祖谷村の観光開発計画って、なんか数年前に聞いたことがあるな……と思っていたのですが、改めて調べてみて経緯が分かりました。こちらのページによると、かつてここにロープウェイを敷設する構想があったということです。そうなってしまうと、大量に観光客が押し寄せて、自然環境が台無しになってしまう……と登山者たちが反対運動を展開。その署名活動が全国紙で紹介されていたのです。
 そこで代わりに誕生したのが、奥祖谷観光周遊モノレール。一日最大の輸送量が130人に抑えられたのも、おそらくロープウェイ構想に対して反対運動が行われたことを考慮しての判断だったのでしょう。建設費もそれなりに安くついたのでしょうし、環境破壊も少しは抑えられたのかもしれません。
 最近(というか10年以上も前から)、夕張市を始めとした自治体の第三セクターの経営破綻が伝えられています。ここのモノレールの運営主体がどこなのかちょっと見当つきませんが、今後、どのように施設を活かしていくつもりなのでしょうか......なんだかいろんな意味で時代遅れの施設のように思えます。まあ、ヨソ者が言っても仕方ないことですが。

 正直、ここのついでに立ち寄るホテル祖谷温泉のケーブルカーの方に興味が移ってきたのですが、それはまた別の話。



追記
11/24に現地へ行ってきました。

2006-12-06■三好市(旧西祖谷山村東祖谷山村・池田町)にある鉄道モドキの「遊覧鉄道」めぐり
http://d.hatena.ne.jp/katamachi/20061206
2006-12-04 ■奥祖谷観光周遊モノレール。その65分の苦闘の時。
http://d.hatena.ne.jp/katamachi/20061204
2006-11-24 ■奥祖谷観光周遊モノレールに行ってきました。
http://d.hatena.ne.jp/katamachi/20061124
2006-11-20 ■なぜか突然、奥祖谷観光周遊モノレール行きに変更。
http://d.hatena.ne.jp/katamachi/20061120