例の『手塚治虫=ストーリーマンガの起源』ってどうなったんだろう。
- 作者: 竹内一郎
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2006/02/11
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- 作者: 原武史
- 出版社/メーカー: 講談社
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「講談社選書メチエ」といえば、思い出すのが竹内一郎『手塚治虫=ストーリーマンガの起源』ですよねえ。この「日本初の本格漫画評論!」がサントリー学芸賞を受賞したってので盛り上がったのは2006年11月。ちょうど海外から帰ってきてところだったので祭りからは乗り遅れてしまいました。そこらの問題は、夏目房之介の「夏目房之介の「で?」「『手塚〜起源』授賞「問題」について」が詳しい。まとめサイトは、ここかな。
新刊として本屋に並んだときに一度手を取ったのですが、「日本初の本格漫画評論!」と相反する時代遅れの手塚治虫解釈に驚き、そのまま本棚に返しました。今からすると、あのとき、買っておけば良かった.......とやや後悔しています。
でも、さいふうめいこと竹内一郎のHPを見ると、あれから2ヶ月経っても、世評に対する反応というか言い訳を何もしていないんですね。とりあえず賞と学位はもらったけど、もうマンガ評論家としては活動していくことはないと覚悟を決めたのでしょうか。ある意味、潔い。
鉄道マニアとしては、「講談社選書メチエ」と「サントリー学芸賞」の組み合わせで思い出すのは、原武史「『民都』大阪対『帝都』東京―思想としての関西私鉄」。そのステレオタイプなテーマ設定とあわせて、運輸省などに残る公文書や鉄道史の先行文献に当たっていない点、「民都」というのに都合悪い資料をあえて無視する態度など*1、少なからず問題はある。「思想としての関西私鉄」ってなんじゃこれ......って思っていたら、この作品も受賞しちゃったんですよね。話題性ばっかり追求するとそうなってしまうのかな。
ならば、昨年末に出て各方面で話題になっている青木栄一の鉄道忌避伝説の謎―汽車が来た町、来なかった町 (歴史文化ライブラリー)にもあげてね……と鉄道史好きとしてのお願いもあったりするのですが、それはまた別の話。