「神話高千穂トロッコ鉄道」設立に一歩前進

katamachi2007-02-08

 高千穂鉄道が再開する可能性が強まりました。

 一昨年の台風で甚大な被害を受け、経営を断念した第3セクター高千穂鉄道(宮崎県高千穂町、TR)は7日、同県幹部と沿線1市2町の首長による代表者会議を開き、TRから沿線自治体が全線約50キロの資産の寄付を受けたうえで、運行引き継ぎを目指す民間新会社「神話高千穂トロッコ鉄道」(同町)に無償貸与する資産譲渡案を決めた。トロッコ社の運行再開へ大きく前進することになった。
(中略)
 全国初の3セク鉄道から民間会社への経営譲渡は、両社間で直接、資産を無償譲渡した場合、双方に総額約3億7000万円の法人税や事業税がかかることが分かり、難航していた。
高千穂鉄道運行再開へ 市町介し新社に貸与 資産譲渡案決定西日本新聞,2007.2.8
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070208-00000010-nnp-l45

 これは昨秋から検討されていた構想です。問題となっていたのは後段の法人税と事業税の件。高千穂鉄道から新会社に施設を渡すと税金がかかってしまうのですね。これが、高千穂鉄道が施設を寄付→自治体が無償譲渡→「神話高千穂トロッコ鉄道」とすることで税法面での問題は解決された、と。宮崎県知事に当選した東国原英夫(そのまんま東)もマニフェストで同線の再開を掲げていました。高千穂町長も年末の選挙で新しい方に交代したと聞きます。
 この件については、2006-09-05 高千穂鉄道の再生の切り札「トロッコ神楽号」でも書いています。夏の繁忙期にはトロッコ+通常気動車が5連でも満員でした。オフをどうするのかは課題ですが、自立できる"可能性"はあると思います。
 残る課題は2つ。
 まず、後の槙峰〜延岡間29kmをどう扱うのか。西日本新聞の記事では「今年9月までに経営譲渡が固まらないと、槙峰‐延岡の廃線が確定、高千穂‐槙峰も廃止届の提出が求められる可能性があった。」としていますが、延岡方の扱いについては明確な表現をしていません。予定通り2007年9月に廃止と言うことになるのでしょうか。
 あと、地元の観光関係の団体が出資するという新会社がきちんと資本を集め、関係団体と協議できるのかということ。
 公式ホームページを見ると、出資金5000万円は集まったものの、

  • 橋梁の腐食防止対策の塗装費約6.6億円


が課題になっているようですね(日之影温泉駅の改修費用は0.2億円程度)。この負担をどうするのか。意外なところに盲点があったのですね。また、碓氷峠や池北線跡でのトロッコ計画が頓挫したように踏切の扱いなんかが難航しているのかも。
 もう一つ、関係者による「走れトロッコ列車さんのブログ」では、

現在 国土交通省を始め、関係各所には提出すべき書類は着実に提出、ご教授していただいております。最終的な結果が出るまでは、交渉の場も有りますので、皆様には公開できないことになっております。何か進展または情報の公開ができるようになりましたら、発表しますので、それまではご勘弁ください。(2006.11.15「おまたせしております。」より)

とあります。免許制から許可制度に変わったので問題がなければゴーサインが出るはずなのですが……
 ともあれ、いいニュースが出るのを期待しています。