「新世紀エヴァンゲリオン」を久しぶりに見ました。
実家の自室を整理していたら「エヴァンゲリオン」(1995)のビデオテープが出てきました。本放送時のヤツです。ついつい手を休めて、第壱話「使徒、襲来」から最終話「世界の中心でアイを叫んだけもの」まで見通してしまいました。
いやあ、何もかも皆懐かしい。
第壱話の始まる18:30にテレビの前で待ち受けたこと、その次の週から放送と塾の講義と重なっていたので時間変更を求めたが受理されなかったこと、教えていた小学生たちの間で意外にも人気があったこと、第拾四話「ゼーレ、魂の座」の録画をミスしたこと、洞木さん家の妹の名前はノゾミじゃなくてコダマだろうということ、あの最終話も意外に楽しめたこと......などなど。放送終了後の"エヴァ現象"に当惑させられたんで*1作品からは距離を置いてしまいましたが、1995年秋から1996年春にかけての半年間、毎週水曜日が待ち遠しかったことと、テレビの前で濃密かつ貴重な日々を過ごすことだけは確かです。
「そして、全ての子供達に」「おめでとう」というテロップを見た後、ずーっと気になっていたシーンがあったことを思い出し、梅田駅前のヨドバシカメラで「劇場版 NEON GENESIS EVANGELION Air / まごころを、君に」(1997)を買ってきました。テレビの総集編的な映画「DEATH & REBIRTH シト新生」とセットで4,500円とは良心的な値段だなあと思っていましたが、なんだかイロイロとハズされているシーンがあるんですねえ。「魂のルフラン」も入ってないし……
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とにかくエヴァを取り巻く様々な現象を力ずくで押さえ込もうと試みた庵野秀明の意気込みが今見ていても気持ちいい。「本当のラストとはこんなものなんだ」というのを見せつけることで、いつまでも作品世界にしがみついてくる人たちを切り捨てたかったのでしょう。物語世界に浸っている人たちを「きっちりと卒業させてやろう」という監督の"温かさ"が映像に漂っています。
で、案の定、不可解な設定や謎はたくさん残っていたにもかかわらず、「Air / まごころを君に」の公開後、誰も「エヴァ」を語らなくなった。
師匠である宮崎駿も「カリオストロの城」(1979)と「さらば愛しきルパンよ」(1980)で「赤服のルパン三世はニセモノだった」と言い切り、過去の遺物を引きずる第2シリーズを終わらせてしまいます。その数年後、押井守も、「ビューティフルドリーマー」(1984)で「うる星やつら」という世界をメタ的に語ることで物語を実質的に解体させてしまいます。縮小再生産を続けて才能を浪費するよりは、よっぽど潔い態度だと思います。
でも、ファンはエンドタイトルを見た後も物語を消費したくなる。「ルパン」も「うる星」もスタッフを変えて続編が作られていきます。
そして「エヴァ」の続編も発表されて……
報道された情報を見ている限り、「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」として4部作に分けられ、今年の秋から順次公開されていくそうです。「ニュータイプ」とかアニメ雑誌は7年ほど買っていないのでよく分かりませんが、アニメ好きの間では盛り上がっているのでしょうか。というか、26年前に「機動戦士ガンダム」を映画館で見たときから不思議なのですが、テレビシリーズを再編集した作品に行く人たちって、作品に何を期待しているのでしょうか。……とか小バカにしつつ、やっぱり「ヱヴァ」4部作は気になったりするのですが、それはまた別の話。
*1:「本放送の第壱話から見てなかったようなヤツが今さら語るなよ」というオタク特有の特権意識とかがあったんでしょうなあ。でも、作品や監督、製作会社が異様に持ち上げられていく様は見ていて気持ち悪かった。まるでアスカの首を絞めるシンジくんのような......