「赤朽葉家の伝説」の読書がp.142で止まっています。

katamachi2007-03-16

 久しぶりにラノベの読書熱が高まってきました。一昨日、「JTB時刻表 2007年 04月号 [雑誌]」と一緒に買ってきたのが、谷原秋桜子龍の館の秘密 (創元推理文庫)」と「砂の城の殺人 創元推理文庫」、そして桜庭一樹赤朽葉家の伝説」。
とりあえず既読の2冊の感想でも。

天使が開けた密室 (創元推理文庫)

天使が開けた密室 (創元推理文庫)

 恥ずかしながら表紙買い。桜庭一樹の「荒野の恋〈第1部〉catch the tail (ファミ通文庫)」と同じ絵描きさんなんですね。でも、もともとの「激アルバイター。美波の事件簿」ってタイトルだったら、恥ずかしくて絶対手に触れなかったと思います。版元や装丁を変えた効果はあったと思います。死体処理のバイトに女子高校生が.....って設定はやや引っかかりましたが、キャラクターが親しみやすかったし、物語やトリック、謎解きの組み立て方が親切で、ミステリーを読み慣れていない自分のような人間でも面白く読めました。こういう作品を本格ミステリーというんですかね。
少女には向かない職業 (ミステリ・フロンティア)

少女には向かない職業 (ミステリ・フロンティア)

 下関の彦島に住む中学2年生の女の子2人が他者を殺める話。キャラクター(≒作者)の持つ自意識に対する不安感が興味深い。あと、他者に対する接し方とか、日本の標準である"東京"との距離感(焦燥)とか。この著者の本は7冊しか読んだことはありませんが、たぶん、ある種の人たちには共有できる感覚なんだろうなあ。私の持っている感覚とはかなり距離があるけど、うまく小説に昇華しているなあ。文章にクセがあるのでときどき読みづらくなるけど、優れた才能を持つ作家だと思います。

赤朽葉製鉄の立地に対する疑問

 で、今はとりあえず「赤朽葉家の伝説」から読んでいます。
 実は、安眠練炭氏の一本足の蛸「斜め読み『赤朽葉家の伝説』(1)-長い墜落」を読んだ際、本作に、山陰本線餘部橋梁の列車転落事故<1986年12月 国鉄お座敷列車「みやび」 6名死亡>をモデルにしたところがあると知りました。鉄道事故をモチーフとした小説を書くって勇気があるなあと感心しており、一度、読んでみようと、読書熱が高まる時期を待ち受けていたのです。「鉄道マニアはフィクションなんて求めていない」と、3日前に「鉄道マニアが求める"世界観"。そして物語の不在」で啖呵を切った割にはテキトーなモノです。
 三角寛以来のサンカ小説か!と思わせるような第一部は面白く読めたのですが、第二部の不良少女や暴走族の件で退屈してページを捲るスピードが遅くなり、p.142で止まっているところです。余部の列車事故が起きる1986年までまだまだ先は長い。
 で、ここまで読んだ段階での最大の疑問。なぜ物語の舞台となる赤朽葉製鉄は、山のど真ん中に立地してあるんでしょう。たたら製鉄との歴史的関連性を持たせたかったのでしょうけど、近代以降の鉄鋼業が海岸線以外のところで高炉を構えるということは常識的にはあり得ない。鉄や石炭、製品の輸送、水資源の調達などはどうやっているんだろう。小説を読むのに、そうした所を気にしてはいけないのかなあ。
 あと、「ただの、万葉」という表現。多田さんとこの娘ということは分かった。でも、何だか読点の場所が......気になる。本多勝一なら、ダメ出し、してくるンだろうなあンとも思ったのですが、それはまた別の話。