秋に向けての地方鉄道の動き

katamachi2007-09-13

 2007-09-11全国のローカル鉄道89社のワースト偏差値ランキングでも書きましたが、来年度の予算編成に向けて地方鉄道を巡る動きがいろいろ出てきます。今日はメモ程度に……

宇都宮市のLRT

新交通システムLRT)はなぜ必要なのでしょうか
 宇都宮市は、自家用車に頼らざるを得ない交通事情となっており、交通渋滞の発生や都市環境悪化等の一因となっています。
 これらの問題を解決するため、また、住みよいまちづくりを進めるため、公共交通ネットワークを整備し、クルマと公共交通がうまく役割分担しなければなりません。そのため、基幹公共交通となる新交通システムLRT)の導入が必要と考えています。
宇都宮市ホームページ 新交通システム(LRT)

宇都宮市への次世代型路面電車(LRT)導入に反対している県内バス最大手の関東自動車宇都宮市駅前通り三丁目、手塚基文社長)は十一日までに、LRTが導入されても事業者や出資者にならないことを同市に伝えた。
 同市や県はLRT導入には同社の参加が不可欠としていた。同社はこれまでLRT反対を表明していたが、今回不参加を初めて打ち出し、協力を明確に拒否したことで、LRTを推進してきた同市や県は、構想の大幅な軌道修正を迫られそうだ。
 同社は十日に同市に提出した文書で「LRT事業者、出資者には当社はなり得ない」と通告。理由については「軌道系であるLRTの運営ノウハウを持っていない」と説明している。
関東自、LRT不参加/「バス検討委」設置要請/宇都宮市、県軌道修正必死下野新聞、2007年9月12日

 今まで関東自動車は"反対"していましたが、出資しないとまで明言しましたか……。県や市が求めていたのは"LRTの運営ノウハウ"ではなく、すでにバスを運行している同社との"営業権の調整(LRT実現後のバスの削減、ルート変更)"だったと思います。沖縄都市モノレールゆいレール」なんかも、会社設立後、そこらの調整がうまくいかずに建設まで10年以上かかってしまいました。それを考えると、これからまだまだ前途多難……ということでしょうか。

茨城交通

 茨城県ひたちなか市の本間源基市長は29日の記者会見で、存廃問題を協議中のローカル鉄道「茨城交通湊線」(勝田−阿字ケ浦、14.3キロ)について、第3セクター化を視野に対応を検討していることを明らかにした。本間市長は「早ければ来年度から(茨城交通とは)分社化したい。市の出資は、ある程度やむを得ない」と述べた。現在、市は茨城交通茨城県と鉄道資産の引き継ぎや出資割合について協議を続けており、支援策を9月中に取りまとめる予定という。
 茨城交通は不採算部門からの撤退を理由に、3月末に廃線届を国土交通省に提出する可能性があったが、県や市が支援に乗り出したためひとまず届けを見送っていた。
茨城交通湊線存続へ3セク化を検討 ひたちなか市長産経新聞、2007/08/29

 ひたちなか市と県は、第三セクター方式による別会社化で湊線を存続させる方向で最終の協議を進めており、今回のアンケート結果が存続の決定を後押ししそうだ。(中略)
 さらに、存続と代替バス運行(廃止)の両方のケースで費用対効果を分析。利用者、地域社会、事業者が受ける時間や環境、交通などのメリット・デメリットを貨幣価値に換算し、維持管理費や再投資額などの費用(コスト)を除いた効果を金額で表示した。メリット・デメリットの想定を変えた三つのパターンで分析し、いずれも「存続」が「バス代替」を金額で上回り、効果が大きいと分かった。
湊線存続問題 市民アンケート 6割超「基金に協力」茨城新聞、2007/09/08

 存廃問題が浮上している茨城交通湊線(ひたちなか市)について、県は、鉄道事業を存続させる方が廃線よりメリットが大きいとする分析結果を発表した。(中略)
 この結果、今後三十年間でみると、「鉄道事業の存続」の利益が約三十五億円だったのに対し、廃線に伴う「代替バスへの切り替え」は約六億五千万円で、二十八億円以上の開きが出た。
存続、廃線より有益 湊線 県が調査結果基に分析東京新聞、2007年9月12日

<参考>2007-04-03廃止問題に揺れる茨城交通に行ってきました。
 今年春にでも廃止届を出そうかという話があった茨城交通ですが、

ということは、期待してもいいんじゃないか......ということでしょうか(東京新聞と地元紙の茨城新聞の書き方が微妙に違うのは気になりますが)。