アフリカ東部と南部を今でも走る蒸気機関車

katamachi2007-10-23

 2005年9月から11月にかけての2ヶ月間、アフリカの東部から南部にかけて旅行してきました。アフリカを旅する人間がリビングストンの時代から夢見てきた「Cape to Cairo」……すなわちケープタウンからカイロまでの旅をしたかったのですが、時間の都合でエジプトとスーダンエチオピアは割愛しました。訪問したのは9ヶ国。このうち鉄道に乗車できたのは、ケニアタンザニアザンビアジンバブエボツワナ南アフリカの計6ヶ国7500kmの鉄道でした。
 さて、現在、アフリカで蒸気機関車が稼働しているのは以下の4ヶ国です。うち、ケニアザンビアは年に数回運転される観光列車用の運転が中心だった。一方、南アフリカでは超豪華列車の牽引をヨハネスブルグ周辺で行っているほか、最南端のジョージ(ナイズナー)付近で週3回、客車列車の運転を担当している。今日は2年前に個人的にまとめた備忘録をアップします。

  • 【アフリカの鉄道について書いた過去の日記】

アフリカ縦断の旅(その2 ブルンジ・タンザニア編)
マダガスカルを走るフランス・ミシュラン製の"ネコバス型"レールバス
13泊14日間7189km、片道110万円の豪華列車の旅
モロッコの二階建て電車を撮っていて警備員に捕まった話。
10分で分かるアフリカの鉄道あれこれ

ケニア5918号(ガーラット)と3020号(テンダ機)

 共にナイロビ鉄道博物館所有の動態保存機で、主にeast africa steam safaris ltd http://www.internationalsteam.co.uk/cd/safari.htmという国有鉄道系会社がアレンジしたチャーター列車の牽引機として活躍している。2005年9月12〜13日には5918号牽引の「 the lunatic express」がナイロビ〜モンバサ間で運行されていた。現地到着後、この列車の存在を知りエントリーしようとしたものの費用が500ドル近いということ、そしてすでに満員になっていたこともあって断念した。こうしたイベントは年に一回程度あるようで、2006年9月にはタンザニアまで遠征するツアーも企画されていた。
 僕がケニア北部のキスムで見かけたのは3020号。こちらの牽引列車も年に2〜3回運転されている。主にヨーロッパの鉄道マニアたちのフォトランに使っているらしい。で、運営会社のスタッフに誘われて体験乗車することができました。もちろんいっぱい走行写真を撮ることもできたのですが、諸事情によりupできません(>_<)

ザンビア156号(10th class 1922年製テンダ機)

 同国唯一の動態保存機。通常はザンビア西部のリビングストン(国内最大の観光都市)にある鉄道博物館で眠っているが、年に数回、地元リゾートホテル主催で運転される「Victoria Falls Safari Express」http://www.safpar.com/safari_express.htmの牽引機としてビクトリアフォールズ橋梁(現在、ジンバブエとの国境になっている)とホテルの間10kmを走っているそうだ。現地の旅行会社で参加者の募集をかけているのを見ると運転は月に1〜2回ぐらいの頻度らしい。写真は博物館の屋根付き車庫で休んでいる156号。ボディーはかなりピカピカに磨かれていた。

ジンバブエ525号(ガーラット)ほか

 明日報告するつもりですが、ブラワヨ付近でガーラット機関車が動いています。添付写真の機関車のほかにも何台か稼働機があるようだが台数までは確認できなかった。ブラワヨ駅構内の入換、観光列車の牽引(国内の特別列車。そして後述のようにごくたまに南アからビクトリアフォールズにやってくる団体列車)が主な仕事となっている。経済混乱で一時期ほどSL牽引の団体列車は運転されていないと聞いたが、2005年9月9〜12日には、アフリカ植民史のエポックメーキングでもあったビクトリアフォールズ橋梁の開通百周年記念行事で活躍していたとか。また、下記の東奥日報HPの記事によると、

 経済状況の悪化でガソリンやディーゼルなどの燃料が極度に不足しているアフリカ南東部のジンバブエはこのほど、ディーゼル機関車の代役として、既に引退していた蒸気機関車(SL)を約十一年ぶりに“現役復帰”させることを決めた。燃料不足でSL復活へ/ジンバブエ、11年ぶり東奥日報、2005年11月1日

とある。

  • ジンバブエ国鉄は1994年に蒸気機関車を全廃(特別列車牽引用のぞく)
  • 専制政治を起因とする2000年以降の経済混乱と外貨不足でディーゼル燃料や保守に必要な部品が買えない。「(首都の)ハラレで列車が走っているのを見た記憶がない」(これはおかしい。は2005年に行ったときは、ビクトリアフォールズ・ハラレ〜ブラワヨ間で週に6日間運転。週に1本ほど欠便があったけど、意外にも定刻ダイヤ+2時間遅れぐらいで走っていた)
  • 国内に石炭は豊富。第二の都市ブラワヨの車庫に保管するSL十両を8万ドル(約1000万円)かけて補修することになった。2005年末までに5両、2006年末までにさらに5両を現役復帰。観光・貨物・通勤用に使用

 ということで、現に、この報道がなされた前月の2005年10月にはブラワヨ駅構内の貨物入替作業にガーラット形機関車が従事していた。

 

南アフリカ その1】24th class

 南アフリカではガーラット型機関車が1台稼働しており、主に、ヨハネスブルグケープタウンを結ぶ本線区間の一部で「ロボス・レイルROVOS rail」http://www.rovos.co.za/ 、「デザートエキスプレス」などの列車を牽引しています。月に3、4回ぐらいのペースらしい。2006年11月に新婚旅行で「ロボス・レイル」に乗った知人によると、きちんと煙をはいて走っていたらしい。
 ところで、「ブルートレイン」という世界で最も豪華な列車が南アフリカで走っている」というのは日本の鉄道マニアなら誰でも知っていることで日本の団体ツアーの方たちも利用したりしていますが、ここ数年、上で挙げた「ロボス・レイル」など超超豪華列車が出現しています。旅行会社が団体列車としてチャーターしながら、ケープタウンを起点としてアフリカ南部の観光都市を列車単位で結びながら旅するツアー用に使われています。そのためか相対的にブルートレインの立場は低くなっているようです。
 そのうちカジュアルタイプである「shongololo express」とジンバブエのビクトリアフォールズ駅で出くわし、マニアの襲来を歓迎してくれたスタッフに車内も案内してもらいました。寝台車10両+食堂車2両+ラウンジカー1両+スタッフ用の2等車2両+乗客が現地移動するための専用車を載せたカートレイン4両.....とりあえず別世界でした。周辺の市街地が停電で真っ暗になっている中、駅の側線に停まっている電源車付きの豪華列車だけは明かりを灯している......羨ましいというかなんというか不思議な光景でした。なんともはや「トワイライトエクスプレス」や「カシオペア」なんかとは比較にならないほどの華やかさ、豪華さでした。
 タンザニアケープタウンの間5ヶ国7000kmを14日間(5000$→私のこの区間の旅費は500$なのに!!)かけてタンザニアダルエスサラームまで行く列車もあります。
参考→13泊14日間7189km、片道110万円の豪華列車の旅

南アフリカ その2】19th class

Outeniqua Choo-Tjoe train(ちゅーちゅー とれいん) http://www.onlinesources.co.za/chootjoe/
 以前、南アフリカ南部のナイズナーKnysnaとジョージGeorgeを結ぶ60kmの支線でCho-tjoe trainと呼ばれる蒸気機関車牽引列車が毎日運転(除く日曜)されていた。ナイズナーが南ア有数のリゾート地であるため観光客の利用が多い。ただ、前述のように、2005年*1にkaaimans橋梁(同線随一の撮影名所)付近で路盤の崩落事故があり、私の行った2005年10月ではナイズナー→wildness間53km、しかも牽引機はDLに変更されていた。
 2005年12月末に復旧する……と当時は聞いていたのだけど、2007年10月現在、まだ開通はしていないらしい。事故現場の写真を見ている限り、風光明媚な撮影名所であった地点はめちゃくちゃになっていた。築堤や橋梁を造り直すのはかなり大変だろうとは当時でも思っていた。
 2006年11月から、路線の東側のジョージを起点として蒸気機関車の運転を再開。2007年現在、動いているのは、モーゼルペイMossel Bay 〜ジョージGeorge間のみで、週に3、4回の運転らしい。

*1:HPに2006年とあるのは誤植