関西ブルトレ最終日に0系・500系新幹線を想う

 ついに今日2008年3月14日発をもって、大阪発東京行き「銀河」、京都発長崎行き「あかつき」、熊本行き「なは」が運転を取りやめることになります。「日本海」も2往復から1往復に。東京発の「富士」・「はやぶさ」も来年にはどうなっていることやら。
 今から30年前。ブルートレインブームでこどもたちが熱狂していた1978年3月(53・10改正の直前)の時刻表を見ると、関西を発着するブルトレは以下のものがありました(53・10改正までは号数の付け方が現在と違います)。

  • 「明星」 1号・2号・3号西鹿児島行き 5号・6号熊本行き 7号博多行き
  • 「彗星」 1号宮崎行き 2号都城行き 3号大分行き
  • 「あかつき」 1号長崎・佐世保行き 2号長崎行き 3号佐世保行き
  • 「なは」 西鹿児島行き
  • 「安芸」 下関行き(呉線経由)
  • 「金星」 博多行き(名古屋発)
  • 日本海」 1号・2号青森行き
  • 「つるぎ」 新潟行き
  • 東京発の東海道・山陽夜行は「さくら」「はやぶさ」「みずほ」「富士」「瀬戸」「出雲」2往復 「あさかぜ」2往復
  • 急行・普通の夜行は「銀河」「西海」「雲仙」「阿蘇」「くにさき」「鷲羽」「きたぐに」「ちくま」「だいせん」「山陰」「南紀

 寝台車を示す★マークじゃないけど、きら星の如く、魅力的な夜行列車がラインナップされていました。
 小学一年生だった私が好きだったのは京都発出雲市行きの「山陰」。時刻表の山陰本線のページに「寝台車1両」と付記されているのを見て、「ディーゼル機関車が寝台車一両だけを繋げて走っているのか。面白そうだな。一度、見てみたい」と親にせがんだものです。当時、普通列車では数少ない愛称名付き列車であり、実は、寝台車の他に座席車が数両繋いでいる……と知るのはもう少し後のことです。「安芸」なんていうのも気になっていたなあ。当時からマイナーな物好きだったのです。
 ……と、当時のことを考えても仕方がない。明日も明後日の朝もブルトレの発着は見に行かないでしょう。たぶん。

0系は廃車確定。500系はいつまで東京へ行くのだろうか

 で、それより今気になっているのが、大きなおともだちの間でも意外に話題となっていない新幹線0系500系の方です。

 改正後の時刻表を見ると、

列車名 ダイヤ 車種 運用
こだま638 博多9:19→岡山 0系 A
こだま659 岡山14:51→博多 0系 A
こだま762 博多18:04→小倉 0系 A
こだま769 小倉18:36→博多 0系 A
こだま724 博多19:12→広島 0系 A
こだま682 広島23:15→福山 0系 A
こだま620 福山6:09→新大阪 0系 B
こだま639 新大阪7:59→博多 0系 B
こだま674 博多18:42→新大阪 0系 C
こだま629 新大阪6:12→博多 0系 C
のぞみ6 博多7:00→東京 500系 D
のぞみ29 東京12:30→博多 500系 D
のぞみ50 博多18:00→東京 500系 E
のぞみ9 東京7:30→博多 500系 E

と、0系が上り6本、下り4本、500系が2往復しか運転されなくなるのですね。今日3月14日現在と比べても半減近くなる。
 現在、0系6両編成は6本(新塗色済み)だけど、運用に必要なのは3本+予備ぐらい。6月の段階で運転に充当するのは3本に減らす(ということは、上記の一部運用からさらに0系が離脱か)。残る3本は旧塗色に戻って秋まで頑張るという。一方、500系16両編成は4本あって、運用で必要となるのは2本のみ。春に運用から離脱する編成が現れるのか。
 すでにJR西日本は、

「0系車両」が、平成20年11月をもって定期運転を終了します。

とリリースしており、それに絡んで
新幹線0系車両の塗色変更について
とも発表しています。終了後は、イベントで使うとも報道されています。


 1999年9月に東海道新幹線から撤退した時は東京マスコミでもさんざん取り上げられました。「新幹線から0系が消える」なんて見出しに対し、「JR西日本ではまだ残るのに……」とみんなでツッこんだものです。
 でも、山陽新幹線からの去就はあくまでも関西・山陽・九州ローカルの話。まだ大阪から西の方で0系が走っているのはマスコミの人らもあまり知らないだろうし、意外に鉄道好きの間でも忘れられているのかも。なんかブルトレ廃止騒動の影に隠れてしまいそうな気がしないわけでもない。まあ、地味に消えていくというのもいいのかもしれない。
 500系は8両編成になって山陽新幹線用になるのでしょう。16両編成の状態が続くのはいつまでなのか。東京発山陽直通の「のぞみ」がN700系に統一されるのは2011年度と報道されています。長くてあと4年。でも、扉の数や座席数がイレギュラーな500系はもっと早く東京乗り入れを止めそう。そんな憶測でみんな動いていくのだろうか。

20年前は誰も0系なんて見向きもしなかったのに……

 ちなみに、僕が幼少期を過ごした70・80年代って、鉄道マニアにとって新幹線というのはあまり趣味対象になっていませんでした。
 もちろん、ごくごく小さいときは「新幹線って早いなあ」ぐらいの関心がありました。あの丸い顔は独特の愛嬌がある。他の新幹線、海外の高速鉄道では感じられない親しみやすさがあります。「海外では、0系新幹線が今でも人気です。 - とれいん工房の汽車旅12ヵ月」でも書きましたが、海外でも大人気です。
 でも、ある程度、趣味的関心を重ねていくと、興味は別な方向へと移っていく。どこへ行っても、同じ顔の0系(と200系)ばかり。彼らが登場したお陰でブルトレや昼行特急が削減されていく。それはこどもだけでなく、おとなでも同様なんでしょう。かつてSLブームの時、みんなDD51やキハ58を毛嫌いしたとも聞いてます。
 高校生だった80年代後半、鉄研の連中たちと「そのうち、103系や0系が注目される日が来るんだろうな」と話していたものですが、まさにここ10〜20年はそんな時代でした。あと10年も経てば、「いま『20世紀型車両』がアツい」なんて「レールマガジン」が特集を組んで、205系や211系、221系311系なんかでナウなヤングがフィーバーしているんだろうな。で、僕ら年寄りが「あんな車両、昔は……」と繰り言を漏らすというのが相場なんでしょう。
 さて、0系と500系。どうしよう。撮影に行こうか。でも、走行風景を撮ろうとしても、いつもブレてしまうんですよね。僕のカメラの技量と知識では対処できない。おとなしく駅撮りだけで済まそうか……と弱気にもなっているのですが、それはまた別の話。