あの113系3800番台運用終了に悲しむあなた。「寝台特急出雲を復活させる会」(石破茂会長)に参加しよう。

katamachi2008-08-14

 僕的には寂しいお知らせが一つ。

 JR福知山支社が11日から導入した新製車両223系との入れ替えのため、同日が最終運転となった113系N編成の電車に別れを告げようと、福知山駅には熱心な鉄道ファンが集まり、ホームのあちこちでカメラを構える姿が見られた。
 車両番号「クモハ113−3800」番台にちなんで「サンパチ」と呼び親しまれ、42年間使用されてきた。N編成は8年前から両端に運転席のある2両編成の列車として、山陰線・福知山線を中心に運行。客車を改造して運転席を設けたことから特異な前面となり、鉄道ファンの間で人気が出た。
 最終運転となった列車は、午後1時6分福知山駅発で城崎温泉駅まで往復した。
さようなら「サンパチ」君 113系N編成姿消し鉄道ファンがお別れ両丹日日新聞、8月12日

 ああ、あの113系3800番台が8月11日限りで運用を終えてしまった。今月いっぱいは福知山以北では動くと聞いていたけど、意外に早くに消えてしまった。7月末から8月頭は公私とも忙しくて力は残っていませんでした。

関西の鉄道マニアたちが諦観して失笑して怒りを抱き、でも愛さずにいられなかった113系3800番台。

 不思議なことに、先のニュース、そして「113系N編成を11日で廃車 新型電車導入でJR福知山支社」(8月8日)は両丹日々新聞という関西の私も見たことのないような超ローカル紙。にもかかわらず、Yahoo!ニュースのトップに出ていたんで意外に知られていたんですね。元記事は「こちら。この新聞社のサイト。オープン以来、最高のアクセス数を記録したんじゃないのかな。
 113系3800番台が登場したのは2001年3月。それから7年も福知山で頑張ってきたことになります。
 登場以来、そのグロテスクな前面形状で、関西の鉄道マニアたちの諦観と失笑と怒りを買い、でもごく一部のカルト好きな連中から愛されてきた3800番台。
 とにかく特徴的なのは、国鉄末期の最悪期に作られた715系や419系よりも確実に低い改造センス。

 中間車モハ113の車端部を改造して先頭車改造した。でも、あまり資金がなかったからか、面構えをいじくることができず切妻タイプにせざるを得なかった。踏切などでの衝突時を考慮して、前面に補強板が張られたのはいいんだけど、なんだか中途半端なデザイン。カゼでマスクをしている、なんだか不細工な感じに仕上がってしまった。
 で、この補強板。なんか浮いているんで気になってペタペタ触ったこともあるけど、あまり硬くなさそう……。実用に耐えられるシロモノなんだろうか。

 そして塗色はクリーム色と茶色。それじゃあ山間部では目立たないから……と、真っ黄色で補強板が塗りたくられた。なんか見るものを不安にさせるような色配置。

 フツー、部下があんな設計書を出してきたら、突っ返すでしょう。「オマエ、色彩もデザインもセンスがないよな……」って。それをスルーしてしまったのがJR西日本センス。ちょっと、21世紀にお客様を乗せる車両にこれはヒド過ぎる。車内はそれなりにリニューアルされているのに、あんな外見じゃなあ。
 新聞では「サンパチくん」なんて愛称を使っているけど、「貴婦人」や「とんぼ」みたいな後から取って付けたような愛称はいい。アレには、「きたないもの」とか「業務用車」とか「鉄仮面」とか嘲りの言葉こそ相応しい。
 そんな不幸な会社から生まれては来たもの、だからこそ伝説になり得た。みんな罵詈雑言投げかけてきたけど、やっぱり、どこか牽かれるモノがあるんです。出来の悪いものほどカワイイってね。僕も、今は亡き「旅」誌の2002年のルポで、アレを取り扱いました。女性編集者から「誌面がないんで、この車両カットしたいんだけど」と言われましたが、無理無理残してもらいました。
 だって、3800番台。見てて楽しいじゃないの。あれを笑えるセンス、いいと思います。ほれ無印の「機動戦士ガンダム」のやられメカ、アッガイを彷彿させる萌え系要素が満載。黄色い涎掛けがたまらない。あと5年もすればマジモノのブームが来ますよ。
 ぜひ、原発特需で補助金(元は関電の匿名寄付金)を放り込んで電化させておきながら、JR西に電車の運転本数を増やしてもらえていない小浜線アタリでもう一度活躍の場を与えて欲しい。125系単行よりは喜ばれそう。


軍事マニア石破茂防衛大臣が「寝台特急出雲を復活させる会」を結成

 え〜と、今回は3800番台が本題じゃないんです。
 ネットでパラパラ見ていて気がついた別な話題が一つ。
 この列車の廃止。本来は、

 JR西日本福知山支社の新しいワンマン車両(2両編成)の出発式が10日、JR豊岡駅であった。11日から同支社管内の山陰線や舞鶴線福知山線篠山口駅までの3路線で本格的に運行をスタートさせる。
 同支社での新車両は、旧国鉄時代の1977年に「キハ47系気動車」を導入して以来。車両は、神戸線京都線で「新快速」などに使用されている「223系」をワンマン仕様にした。
JR西:福知山支社、30年ぶり新型車両導入 ワンマン車両、豊岡駅で出発式 /兵庫

ワンマンながらも福知山に三十年ぶりに新車が入ったという、目出度い話なんですね。どうも裏話的な3800番台の方にばかりマニアは注目するけど。
 で、セレモニーはどんなものかと検索していると、2ちゃんねるの記事「凸凸営業キロ日本一・山陰本線part20凸凸」が出てきた。「はまかぜ」に新車が入るとかなんとか憶測ネタに、はいはいそうだねいいよねえと読み飛ばしていると、

265 :名無し野電車区:2008/08/10(日) 23:16:12 id:s99BbJNa0
8月10日午前11時より、JR豊岡駅にて223系新型車両出発式がありました。 地元選出の谷公一衆議院議員のごあいさつの中で、新しい餘部鉄橋竣工にあわせて 「はまかぜ号」にも新型車両が投入される旨、明言されました。 もう本社では話が進んでいるそうです。いよいよキハ181も見納めになりそうですね。

とかのカキコが。さて、信憑性は。「はまかぜ」新車? でも今年度の事業計画には出ていないよなあ。これはウソをウソと見抜く力が必要なのか。
 谷公一いう人、正直、聞いたことがなかったので調べていると、兵庫県北部の豊岡市丹波市篠山市あたりを地盤にしている本物の衆議院議員だったんですね。国土交通大臣政務官もやっている、と。兵庫県庁上がりの議員さんなんですね。
 たぶん人生でもう二度とこの名前を知ることはなかろう……とクリックしていると、活動報告をしているブログが。

 う〜ん、なにかどこかで見たようなデザインだなあと思ったら、「はてなダイアリー」なんだ。へえー国会議員ではてなを使う人って存在するんだ……ちょっと驚き。でも、自身の選挙事務所のHPとはリンクされていないんだね。ブログにきたお客さんを自分のサイトに引っ張り出さなきゃダメじゃないのか……まあどうでもいいけど。
 で、鉄系のネタがないかと探したら、「2007-05-28 活動日記第203号 事故から21年。余部の橋着工」というのが見つかりました。2007年5月に「山陰本線余部橋梁架替事業記念式典」に参加したという話。香美町だから地盤なんだね。
 驚きの発言が下の一言。

最近、「寝台特急出雲を復活させる会」(石破茂会長)をつくったが、私も復活を目標に頑張る*1


 うへー。2006年春に廃止された「出雲」の復活運動を国会議員がやってくれているんだ……。
 もう24系客車もDD51も耐久年数が切れているのにどうするんだよ、とか、そもそも福知山や豊岡や鳥取の人が乗らなくなったから廃止されたのに、とかいろいろツッこみたいのだけど、まあそれはそれ。なんか、知らんけど、"我田引鉄"のために頑張って欲しい。
 と読み飛ばそうとしたら、この会。会長が石破茂なのか……。この人、鳥取が選挙区なんだね。
 昔から「朝まで生テレビ」の粘着質な喋りでカルトな人気を集め、防衛大臣になったら「未確認飛行物体(UFO)が飛来したら自衛隊はどう対処するのか」と記者会見で記者から頼まれていないのに滔々と語り続けた名物議員。軍事オタクとしては名高かったけど、最近は鉄道にも興味があるんですよとタイトーのDS用ソフト『鉄道ゼミナール -JR編-』でコメントするなど世情に迎合して始めている。
 で、さらに検索したら、日本海新聞のコラム記事が。

 私はよく「軍事マニア」などと揶揄(やゆ)されるが、実は一番好きなのは鉄道、次が自動車、そして飛行機と要は「乗り物大好き人間」であり、就職は鉄道会社か航空会社にしようと本気で思ったほどだった(諸般の事情で結局某都市銀行に就職してしまったが、もしそうなっていたら全く別の人生があったかもしれない)。
(中略)だから「出雲」の廃止が発表された時は大ショックを受けたし、いつの日にか復活させたいと内心ひそかに、しかし大まじめに考えている。伯備線を経由しているサンライズ型を走らせるためには、智頭線因美線の電化が必要であるが、智頭線は将来の電化を想定してトンネルを大きく作ってあるし、幸い因美線もトンネル数は少ないのだから、比較的安価で実現可能ではないか。
 電化の暁には現在伯備線で検討されているフリーゲージ型新幹線直通特急の乗り入れも可能、との論を以前から力説しているのだが、なかなか多くの賛同を得ることができず残念である。

永田町の風 -鳥取県の国会議員リレーコラム 石破茂 2008/06/29

 ごめん、舐めていました。智頭線のトンネルポータルが電化線サイズだなんて、意外に知られていませんよね*2因美線電化は大変そうだけど、いつの日かフリーゲージトレインが入ってくるといいよね。でも、鳥取って8町村を合併しても人口20万人届かないんだよね。どうするんだろう。
 いやあ、なんだか石破大将(ゲル長官)が絡んで来るとなると、別な意味で面白くなりそう。
 「よーし、僕も『寝台特急出雲を復活させる会』に参加しちゃうぞ」と検索してみたのですが、どの記事も引っかかってこない。ダメ元で3800円ぐらい寄付しようかと思ったりもしたのに残念なんだけど、それはまた別の話。

追記(2008.10.4)

 今、読み返したら、石破の案のように「サンライズ鳥取」(仮)が智頭線経由で走るのなら、豊岡も浜坂もみんなスルーになってしまうんだよね。いいのか、谷とかいう兵庫県衆議院議員
 で、「はまかぜ」に関しては、

とによると、この谷という議員が

  • JR「はまかぜ」に新型車両導入→余部鉄橋建て替え(平成22年)に合わせ、自治体助成なしの新型車両導入に目途

とビラを配ったり、pdfをHPに載せたりしているらしい。11月上旬と噂されている総選挙に備えて、準備万端と言うところか。はてなーなら、はてなの自分の日記で書けよと思ったりもするのだけど、それもまた別の話

*1:もう一つ、面白いのは「「悲しみの 時を乗り越え 今日ここに 永遠(とわ)に輝け 余部の橋」」という一句。死者も出ている事故を川柳にするというのは不謹慎だし、俳句にしては季語がないし……と考えていると、これ五七五七七の短歌っぽいポエムなんだね。それは一句じゃなくて、一首。

*2:70年代の建設時から将来の電化を予測して設計され、80年代の三セク設立後も検討はされていた