そろそろ貴乃花と秋場所中止問題について一言いっとくか

 (・x・) . 。o O(今日は貴乃花について書く
 ホッテントリメーカーhttp://pha22.net/hotentry/からのタイトルです*1
 人生で貴乃花について真剣に考えたことってほとんどない。整体師による洗脳問題で騒がれたときの能面のような顔を見て、ああ、宮沢りえに愛情がないと言い切ったときと同じような表情だなあと思っただけで、その相撲内容も含めて全く興味がなかった。平成最強横綱と言われようが、ダウンタウンの松本に「あのデブ」と言われようが、小泉首相に褒められようが、僕にとってはただ相撲界の横綱というだけの人でしかなかった。
 ところが、この数日、貴乃花の言動が気になった。

 貴乃花親方は3日、都内のホテルで行われた日本サッカー協会の新役員披露パーティーに出席した。協会の役員待遇委員で審判部副部長の要職にある貴乃花親方は、協会の顔として報道陣に大麻汚染についてのコメントを求められ、「発言が難しい」といいながら、目前に迫っている秋場所の開催について、「(2人の検査結果が)悪ければ、非常に重要な争点になる」と語った。秋場所そのものの延期、もしくは中止の可能性について示唆した発言だった。
貴乃花、秋場所の開催中止言及…トップの判断必要夕刊フジ9月3日

という、当日、Yahoo!ニュースのトップに載っていた記事だ。
 タイトルは「貴乃花秋場所の開催中止言及」。
 ところが、本文をよく読むと、たられば付きである上に、「非常に重要な争点になる」と語尾を誤魔化した発言しか伝えられていない。「秋場所の開催中止」どころか、「秋場所」とすらも発言していない。
 まあ、貴乃花の主旨が分からない日本語を改良して、記者さんが憶測を交えて書いただけの記事だったんでしょう。「さすが、夕刊フジだなあ」と独り納得していた。
 実際、日本経済新聞

協会内の一部には秋場所(14日初日・両国国技館)を中止にすべきとの声もある。審判部副部長を務める貴乃花親方は「(検査の)結果が悪ければ、非常に重要な事態。ファンが心配してくれるうちはまだいい。(信用が)低下すると相撲協会が団体として是非を問われる。そういうことも視野に」と言及した。
「祈るような気持ち」 大麻陽性に貴乃花親方 9月3日

としている。実際の発言は、記者から「秋場所中止の声もあるが」と問いかけられて、投げられて「祈るつもり」という言葉に本筋があったのでしょう。別記事を読むと、国技館から直接2人の力士が警察に連れて行かれた。そのことに心配した上で、「そういうことを視野に」とは発言したらしい。
 ところが、翌日、スポーツ紙は、

秋場所を中止すべきという声もある』という問い掛けに「(検査)結果が悪ければ非常に重要な事態。そういうことも視野に(入る)」。
貴乃花親方、“クロ”なら秋場所中止もデイリースポーツ9月3日

秋場所(14日初日・両国国技館)中止の声が出ていることを問われると「検査結果が悪ければ重要な事態になる。そういうことも視野に」と最悪の展開も覚悟していることを明らかにした。
貴乃花親方「そういうことも視野」秋場所中止も覚悟報知新聞9月3日

一部親方が秋場所(14日初日、両国国技館)を中止すべきと発言していることに言及。「(検査の)結果が悪ければ、非常に重要なこと。ファンが心配してくれるうちはまだいいが、これ以上(信用が)低下すると相撲協会が団体として是非を問われる。そういうことも視野に…」と話した。
秋場所中止論受け貴親方「そういうことも視野に」スポーツニッポン9月3日

報道陣から「秋場所を中止、もしくは延期すべきの声(世論)もあるが?」と問われると、言葉を選びながらも率直な思いを吐露した。貴乃花親方「(精密検査の)結果が悪ければですけど、非常に重要な事態ですので、そういうことを視野に入れないといけない。ファンの皆さんがご心配くださっているうちはいいですが、これが低下していくと相撲協会の団体としての是非が問われます。悪化(の要素)を取り払うことも必要だと思います」。
貴親方、大麻クロなら秋場所中止も日刊スポーツ9月3日

と、貴乃花秋場所中止もと発言したことで大騒ぎになっている。
 肝心なのは、貴乃花は「秋場所中止」について直接的には何も明確に答えていないということ。それと、各紙が伝える貴乃花の言葉が微妙にニュアンスが違う上に、記者の想像で"( )"と意味を類推していること。
 他人様のパーティーに参加したとき、新聞記者から白露山らの大麻疑惑について問われ、「秋場所を中止、もしくは延期すべきの声もあるが?」という主旨の質問に、「低下すると相撲協会が団体として是非を問われる。そういうことも視野に」と答えた。
 彼は、のらりくらりと答えているだけで、正直、現場にいた記者は何を言っているのか理解できなかったのだろう。だから、意味不明の貴乃花の発言に"( )"をわざわざ付けて意味を類推して付加した上に、「そういうこと」=「秋場所の中止」を指すとした。
 そこらの裏が取り切れていないのに三倍増しぐらいのインパクトのあるタイトルにして記事にしてしまった。
 スポーツ紙のデイリーと報知、スポニチ、サンスポ、日刊が過激なタイトルを好むのは分かるけど、一応、全国紙であると主張している産経新聞までもが、

貴乃花親方(元横綱貴乃花)が「秋場所中止も視野に入れる」と述べるなど(中略)秋場所(14日初日、両国国技館)の中止という意見について「検査結果が悪ければ重要な事態。そういうことも視野に(入れる)」と発言した。
「秋場所中止も視野」と貴乃花親方産経新聞9月3日

とするのはいかがなものか。少なくとも「秋場所中止も視野に入れる」と述べてはいない。
 たぶん、こんな、無関係の場所(一応、サッカーの祝賀パーティー)でのどうでもいい囲み取材で、ポツンともらした一言が拡大解釈されて騒ぎになる。そんなことが繰り返されているから、みんなマスコミ嫌いになるんだろうな。
 で、案の定、

 3日、検査結果がクロなら秋場所は中止−と言及した審判部副部長の貴乃花親方(元横綱)がややトーンダウン。4日、新弟子検査の検査役を務めた後、「私の口から(中止とは)言っていない。そういう考え方もあると、質問に答えただけ」とし、今後、中止に向けて具体的な動きはしないことを明かした。露鵬白露山の陽性反応が確定した場合は「理事長のご決断についていく身であります」と説明した。
貴乃花親方、トーンダウン サンケイスポーツ9月4日

ということになる。本人としては、「そういう考え方もあると、質問に答えただけ」なのにという戸惑いがあるのか。
 先週会った知り合いで相撲フアンの方がいて、なぜか朝青龍命と、まるで恋する乙女のような口調で語っていたので気にはなっていた。だが、関心はそこまで。相撲フアンには悪いが、正直、天気予報で台風が近づいてきた中継を見ている子供のようなワクワク感を覚えていた。秋場所中止という相撲界始まってかつてなかったような前代未聞の事態が起きるのかも……という予感がしたからだ。でも、そんな動きには到底ならなさそう。少し、残念……と思ったりもしたのだけど、それはまた別の話。

*1:最近、とんと話題にならなくなったなあ