なんで毎日新聞は「富士」・「はやぶさ」廃止の記事の掲載を一日遅らせたのか。

katamachi2008-10-03

 JR東京駅からブルトレが消える−−。戦後の復興期から約50年間にわたって首都圏と九州方面を結び続けた唯一のブルートレイン寝台特急)「はやぶさ」(東京−熊本間)「富士」(東京−大分間)が来年3月のダイヤ改正で姿を消す。
ブルートレイン:東京発が来年3月全廃 夢乗せ半世紀毎日新聞、2008年10月3日

 さっき、うたた寝して起きたら、こんなニュースがあった。ついに「終わりの始まり」が来たんだ。
 昨年末、「「富士」「はやぶさ」「銀河」「なは」「あかつき」が廃止されるという記事 - とれいん工房の汽車旅12ヵ月」で紹介した「消えゆく東京駅発ブルトレ 「銀河」来春に引退」という記事が朝日新聞に載っていて、

 さらに、09年春のダイヤ改定では、東京―大分の「富士」と東京―熊本の「はやぶさ」の廃止が、JR各社の担当課長レベルで合意済み。これが正式に決まれば、大阪以西を走るブルトレは皆無になり、東京駅でブルトレは見られなくなる。

とあった(2007年11月18日朝刊)。
 これは朝日が独自取材で掴んだネタではない。明らかにJR側の現場責任者からの意図的なリークがあって、それを元に朝日のJR担当記者が記事にした。世間や地元自治体(特に九州)、そしてJR上層部に対する観測気球的な意味合いがあったのだろう。ある意味、JRが朝日に書かせた記事とも言える。
 そして、1年経って存続という意志は示されなかった。「あの113系3800番台運用終了に悲しむあなた。「寝台特急出雲を復活させる会」(石破茂会長)に参加しよう。 - とれいん工房の汽車旅12ヵ月」で紹介した「寝台特急出雲を復活させる会」の会長?である石破茂のような奇特な人間が九州にいなかった。
 で、今回、毎日新聞の担当である斎藤正利記者が最期の決めうちの役割を果たすことになった。

JRグループは列車の統廃合を進めたもののブルトレ発祥の東京駅始発着にこだわった。一方で、鉄道ファンの要望を受け、九州方面唯一のブルトレを存続してきた

 JRの社員の多くにとって「東京駅始発着にこだわった」というのはあるんだと思う。でも、感傷レベルでの愛情も現実に勝てなかった。ただ、それだけだ。
 あと、鉄道マニアを"褒めて"くれているが、これは????。ごく一部の人間がごく個人的にクレームを付けることはあったかもしれないが、誰かが存続に向けて組織だった運動を何年も前から展開していたとは聞いたことはない。かといって、存続のためにもっと乗車すべきだ、とか、総合交通体系(あるいは伝統or旅情)を守るために残すべきだ、とか、なんでブルートレイン廃止のために運動をしなかったのか、とか、声高に主張する気もない。
 さて、ここで気になるのが掲載写真。

2009年3月に廃止になるブルートレイン富士・はやぶさ」=JR東京駅で2008年10月1日午後5時51分、馬場理沙撮影
2009年3月に廃止になるブルートレイン富士・はやぶさ」=JR東京駅で2008年10月1日午後6時、馬場理沙撮影

とキャプションが付いているように、写真は10月1日に撮られている。もともと10月2日朝刊向けに用意された記事だったのだろうが、大阪のビデオ店火災などの記事があったので、掲載日をズラしたんだろうなと想像できる。
 ……と、それを指摘して、何になるんだろう。そんなことはよくあること。
 いや、もう東海道山陽ブルトレ全滅という事態は覚悟してしまっていたので、そうした些末なことを指摘するしかないというのが本当のところなんだけど、それはまた別の話。<参考>
2007-11-19寝台特急が生き残る方法を淡々と考えてみる
2007-11-18「富士」「はやぶさ」「銀河」「なは」「あかつき」が廃止されるという記事