宗谷本線でラッセル車の運転開始というニュースで北海道に行きたくなった。

katamachi2008-12-13

 鉄路に冬本番を告げるJR北海道ラッセル車の連日運行が十一日、上川管内音威子府村宗谷線などで始まった。全国でも珍しい、ラッセル車の日中走行の雄姿も見られる。
鉄路の雪かき毎日出動 宗谷線にラッセル車2008/12/12

 10月末になると、山陰や北陸、東北……と各地でラッセル車の準備が始まったというニュースが流れる。秋から冬にかけての時期の風物詩だ。
 たとえば、この「除雪作業に備えラッセル車点検 JR米子支社(日本海新聞08/10/28)」では、ラッセル部分に横綱の絵が描かれたDE15の点検風景が報道されている。
 そして、只見線飯山線北上線など豪雪地帯では試運転が始められ、

なとでも実施されている。
 そんなニュースをネットの記事で読んでいると、「ああ、もう冬だよなあ」と実感させられる。
 

 で、上の宗谷本線に関する北海道新聞の記事。もう12月11日からラッセル車の運転を始めたんだ。
 他の地域では天候と降雪状況を見ながら、臨時的に運転するのが基本。昨冬だと、木次線でのラッセル車の出番は15回(積雪30cm以上)、JR西日本福知山支社管内では2回(暖冬だった06年冬は0回)という。大雪が降るからと行って現地に直行できるほどヒマな人ってそんなにいないわけで、なかなかその姿をお目にかかることはない。
 ただ、上の記事にあるように「豪雪地帯を抱える道内の宗谷全線、石北、函館線の一部では、十二月から三月までの冬期間、例外として毎日運転」となっている。なんで、気合いの入ったマニアさん以外でも、お目にかかる可能性は高くなる。

特急「利尻」で宗谷本線を北上してラッセル車と出会う

 基本的には鉄道車両の撮影は行わない僕も、2006年の3月3日に宗谷本線の北側へ向かった。
 本来の目的はちょうどこの年の3月改正で廃止が決まった南下沼駅など元仮乗降場の小駅を訪ねる旅だったんだけど、ついでに除雪ディーゼル機関車も追いかけてみた。
 宗谷本線のラッセル車は、名寄を夜に出発して南稚内まで北上。翌朝、8時くらいに南稚内を出て、交換設備のある駅で小休止を繰り返しながら南へと下っていく。これを毎日繰り返す。


 特急「利尻」を幌延で降り、極寒の待合室で暖を取りながら朝イチの下り普通列車を待つ。
 徳満駅へ向かい、下車駅を一つ追加。気温が急速に上昇し、青空も広がっていく。その中を「スーパー宗谷」が通過していく。
 そして次の下りで北上中、抜海駅でDE15とすれ違う。8:46にこの駅いるというのは事前情報通り。昨晩、あまり雪が積もっていなかったのか、あまり活躍する場はなさそうだけど、それでも南へと下っていく。

 この後、稚内でレンタカーを借り、天北線廃線跡と周辺の郵便局を回り、安牛などの駅を乗降。幌延駅近くで北上する特急「サロベツ」を撮影。

 この夜は幌延の「とほ宿」で。そこの宿主がうちの大学のOBで、微妙に共通の知人がいたりしたのだけど、まあそれはそれ。

鉄道写真派でもないのに、レンタカーでラッセル車を追っかける

 夜中はそれなりに吹雪いていたはずだけど、翌朝の道路はそれほどハードな状態ではなかった。一応、雪の降る近畿の街に住んでいる私の運転テクでも十分そう。
 原野を30分ほど進み、南下沼駅の近くのスペースにクルマを止めて、駅へ向かう。物置を使った"待合室"が一つ。そして20mにも満たない木製のホームが一つ。国道のすぐ側だけど、付近に人家は見えない。これでは廃止されるというのもむべなるかな。

 6:42発の下りに乗車。これで下沼駅に向かい、折り返し上り7:32発で南下沼駅へ戻る。1日2往復しか列車が停まらない南下沼駅を乗り降りするための裏技的移動だ。
 この列車では、昨晩の「利尻」で北上してきた大学鉄研の先輩M氏がいる。彼も私と同様、JR全線全駅乗降を目指している仲間の1人だ。当時で、私が約2700駅、彼は約3200駅。東京住まいの彼にいつの間にか乗降数は抜かれてしまった。
 7:35に南下沼駅へ戻ってくると、今度はレンタカーで北上。今は亡き芦川駅跡地まで進み、昨日と同じ定刻よりちょっと遅れてやってきた「スーパー宗谷」を8:10に捕獲。


 さらに北へと車を進めていく。狙いはラッセル車だ。
 情報通りなら、ラッセル車は抜海駅は8:35ぐらいに到着することになる。これを駅の北側で待ち受けたい。
 ただ、朝の雪道ゆえにあまりスピードも出せず、抜海駅のあたりにやってきたときは8:35....遅かったか...と思っていたら、わずかなりにダイヤの乱れは続いているようで、まだやってきていない。なんとか駅の北側の道路脇まで行くと、ディーゼルの轟音が遠くから聞こえてくる。なんとか間に合った。


 列車が通過したばかりだから雪は少ないし迫力には欠けるが、まあそれはそれ。やっぱりカッコイイよなあ。

 さて、この列車は抜海駅で15分ほど止まり、昨日乗った下りとすれ違った後、さらに南へと下っていく。なんで、抜海駅南側の土手際に向かい、もう一度、シャッターチャンスを。

 横っ腹から狙ったんだけど、線路の雪の量が皆無なんで迫力は欠けているなあ。まあ、いいか。自分って、鉄道写真マニアじゃないんだし。
 その後、M先輩を抜海駅で降ろし、稚内駅でレンタカーを返車。駅近くの魚市場で海鮮物を土産として送った後、稚内10:58発の上りで再び南下を始める。
 この後、目まぐるしく天候の変わる宗谷本線各駅訪問の旅が続くのだけど、それはまた別の話。

せっかく北海道行きたい熱が高まったけど

 と、二年前の冬の話を書いたのも、それは全て北海道(特に道北か道東)へ行きたい熱が急に高まったから。いや、つい昨日までは沖縄の波照間島行きたい熱が高かったのですけど、それはまあそれ。
 で、ちょっと時刻表をパラパラ見ていて気がつきました。そう。今、宗谷本線では特急「利尻」が走っていないんですね。というか、石北本線の「オホーツク」、根室本線の「まりも」も含めて、「北海道三大夜行特急」(僕ら的には「北海道三大夜行急行」の響きの方が印象にある)がこの2年間で全滅してしまった。
 だから、札幌拠点に道東・道北へJRのフリー切符で朝に着く......という当たり前の旅行スタイルを選択できない。その現実に当惑させられてしまった。


 まあ、いいや。
 この2008年冬から来春にかけてのラッセル車のダイヤは、ネットの検索エンジンで調べた限りは特に出てこなかったけど、最近新設され、鉄道好きには有名になった"なよろサンピラーユースホステル"(廃線跡ツアーを催すなどその筋の人たちにも手厚い配慮)のブログによると、

 この冬の宗谷本線のラッセル車の運行時刻が気になっている方もいらっしゃると思います。
 この冬は前年度の昼夜逆で、前々年度に近い時刻に戻ります。夜名寄を出て、朝南稚内着いて出て、夕方前に名寄に戻って来るという、理想的な時刻に戻ります。これだと撮影で逆光にならないし、名寄に近づくと排雪してから時間が経っているので、降雪があれば豪快が排雪が見られるということです(中略)
 ラッセル車の運行は名寄以北が12月10日から、旭川⇔名寄は旭川朝発名寄夕方着名寄早朝発旭川朝着で12月20日からの運行です。

と書かれている。11日のエントリーもあわせて見ると、上りは朝に南稚内を出て南下......というのは変わらず。宿の近くの日進駅を通過するのが約35分早くなったんだそうな。まあ、細かいダイヤについては、そのうち、他のサイトでも知らせてくれるんだろうな。
 と、決意が高まったのはいいんですが、上の北海道新聞の記事では、

十一日は宗谷線随一の積雪量といわれる音威子府でも、駅員が「例年にない少なさ」と言う積雪五センチ。ディーゼル機関車の両端に羽根をとりつけたラッセル車は物足りなさそうに所々で雪を跳ね走り去った。

とある。見るなら積雪量は多い方がいいんだと思ったりもするのだけど、それはまた別の話。