09年衆院選向けマニュフェストを読んで、各政党の鉄道政策を見比べる
選挙に行ったのはウン十年前。確か、社民連に一票入れたなあ……というぐらいノンポリな自分です。今回は政権選択の選挙だとか何とかちまたで盛り上がっていますし、近所のスーパーで投票通知のハガキと引き替えに市役所指定のゴミ袋をくれるとかいうので、ちょっと気にはなっています。
クロネコヤマトの宅急便が8時過ぎに来ると言うんで、それまでの暇つぶしに各政党のマニュフェストを一通り見ることにします。一応、鉄道マニアなんで、各党の鉄道系政策は気になるんで。
まあ、どうせどこの政党も大したことは書いていないんだろうとは諦めているんですが、まあそれはそれ。
自由民主党
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- 「命の道」や生活道路・通学路の安全対策など、地域生活に不可欠な道路等については、B/C(費用便益比)にとらわれることなく、積極的に整備を進める。また、「生活の足」となる地域公共交通の確保と利便性を向上させるとともに、駅や道路、建物などのバリアフリー化を進める。特に、過疎、離島、半島等の条件不利地の生活を守る。
- 整備新幹線は、既着工区間について早期完成させるだけでなく、新規着工区間については昨年の「整備新幹線に係る政府・与党ワーキンググループにおける合意事項」のとおり平成21年中の認可・着工を目指す
- 超電導リニア(超電導磁気浮上式鉄道)やフリーゲージトレイン(軌間可変電車)についても、その実現を目指す
- http://www.jimin.jp/jimin/seisaku/2009/pdf/seisaku-020.pdfだと、LRTの整備とか、地方鉄道の再生、コミュニティーレール化などの支援に言及
とりあえず政権政党なんで、ここ数年の国土交通省の施策を踏襲した上、昨年末にごり押しした整備新幹線あたりが目玉となるのか。
「地域生活に不可欠な道路等については、B/C(費用便益比)にとらわれることなく、積極的に整備」ってのはなあ。費用便益計算の中には環境面や生活面でのメリット・デメリットについても算出されているのに。「命の道」という誰も反対できないっぽい言葉を使い、救急車の到達時間とかを持ち出して過疎地に高速道路や国道バイパスを造れ!!と主張するのは卑怯なやり方だと思う。
公明党
すっかり忘れていたが、公明党も与党だったんだ……。基本、国土交通省の施策と変わらず。LRT、整備新幹線、リニア、特に目新しいことはない。
コンパクトシティをやたらと強調しているのが気になった。基本、ここの政党って都市型政党だから主張する施策としてはいいのかも。でも、中身のない話ばかりだなあ。
民主党
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- なし
これは驚いた。「30.高速道路を原則無料化して、地域経済の活性化を図る」という愚策についてあちこちで話題となっているんだけど、このマニュフェストの中で「鉄道」についての言及は皆無。「空港」とか他の交通機関についての言及もなし。ただただ高速道路の話だけ。どこか他の文書を探せば何か書いているのかもしれないが、もういいや。
国交省の施策をコピーしただけの自民党や公明党もどうかと思うが、ここまで露骨に無視するというのもなあ。オレは民主党を支持しない。
社会民主党
- 3.人・まち・環境にやさしい交通
- 道路・鉄道・空港・港湾といった社会資本を総合的に整備するため、特定財源、特別会計をはじめ、すべての交通関係予算を総合化した「総合交通特別会計」を設けることを検討
- 公共交通を基盤に置いた人と地球にやさしい総合交通体系の確立(中略)「交通基本法」を制定します。
- 「公共交通は赤字でも福祉など他の分野で便益を生む」という考え方で、「公共交通の確保および経営調整に関する特別措置法」を制定するとともに、地方の生活バス路線や地方ローカル鉄道に対する財政支援を強化
- 民営化された高速道路各社に料金割引分を税投入し、効率化や営業努力と関係なく料金保証をする政策は、交通モード間の不公正な競争をもたらすものであり、受益者負担原則や地球温暖化対策、環境問題、財源問題、モーダルシフトや総合交通政策との整合性、地域生活交通への影響、地域雇用等の観点から問題があります。国は公共交通や物流などのすべての交通モードに対して必要な対策を講じるべきです
- 建設コストがかなり抑えられ、人と環境にやさしい生活交通体系である超低床車両を使用した新しい路面電車(LRT)への支援を強化
- エコ通勤を導入する企業への支援策
- 公共交通をまちづくりにいかし、街ににぎわいと魅力を取り戻します
- ツアーバス問題に対する運行管理の強化や監査の徹底を求めます。
- JR不採用問題の解決に取り組みます。
途中で列記するのを止めたけど、鉄道&交通マニアにとっては正論ばかりがしかも大量に列記されている。規制緩和の見直しとかも含めてそう。高速料金の問題にも指摘している。
やっぱ言っていることは社民党が一番正しいんだよなあ。政権取ることは永遠にないだろうから好きなことをただ羅列しているだけなんだろうけど。
日本共産党
自公政権を終わらせる“審判”をくだし、新しい日本の進路の“選択”を
各分野政策
ああ、この人たちって、アンチ大企業・金持ちを主張するだけで、鉄道政策についてはこれといった意見をお持ちではない、というか興味がないんだなあというのがよく分かる。
幸福実現党
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- 「交通革命」を起こし「未来型都市」建設を進めます。人の移動や物流をより速く、より安く、より安全で快適なものへと変える「交通革命」を起こし、経済インフラを増強します。
- 10 年以内に日本列島をリニア新幹線で貫き、都市間の結びつきを強めます。都市部のリニア建設にあたっては、空中を有効活用いたします
- ラッシュ時に2階建て列車を走らせるなど、鉄道の混雑緩和をはかります
- 50 階建てぐらいの高層ビルを数多く建て、30 階ほどの高さをモノレールで結び、都市の移動手段とします。空中を有効活用し、地上の渋滞緩和に役立てます。
- 東京などの大都市においては、空中を有効利用する方向で、都市計画を抜本的に練り直します。高層ビルの屋上や途中階にモノレールやリニアモーターカーを通して、新しい都市インフラをつくります。
今回最大のネタ政党に敬意を払って、ここのホームページを見てみたのだけど、途中でかなりお腹いっぱいになった。仙台市長選で、ここの人が「仙台−東京間のリニア鉄道の早期実現」とかオバカなことを言っていた背景にはこういう施策があるのね。空にモノレールやリニアが走っているって、70年代以前の未来世界そのままの風景だもんなあ。レトロフューチャーってやつ。大川興業総裁って30年以上前で頭が思考停止したままなんだろうか。
てなわけで、万が一、僕が選挙に行くなら、社会民主党にでも一票入れようかと思うんだけど、うちの選挙区には誰も出ていないんだよね。このままじゃあ、今回も自分の清き一票は死に票になりそうなんだけど、それはまた別の話。