三連休パスは3月で発売を終了した、っぽい。

 このゴールデンウイーク、久しぶりに海外行きを取りやめることにしました。せめて国内のどこかに行きたいなあと考えてプランを練っているんだけど、手頃な切符がないですね。
 東北の温泉巡りでも......と考えていたんだけど、JR東日本の「土・日きっぷ」は今年3月で販売終了。乗車券のみフリーの「ウィークエンドパス」にリニューアルされてしまいました。「普通列車によるゆったりしたご旅行など、より幅広くご利用いただけるよう」とリリース文にありましたが、本当の狙いは違うところにあったんですよね。
http://www.jreast.co.jp/tabidoki/service/weekend/index.html
 また、道内で5日間フリーで行動できた「ぐるり北海道フリーきっぷ」も3月27日で販売終了。北海道まで「北斗星」に安価で乗れる手段が失われました。
 一方、昨年、高速道路1000円化にあわせて登場した「西日本パス」も今年はどうするんだろう。
  「JR西日本JR四国全線とJR九州の一部の自由席が乗り放題」と鳴り物入りで初登場したのは昨年の春。鉄道フリー切符不毛の地、JR西日本管内では画期的な切符でした。
 でも、昨年のJR西日本のリリースを見ていると、3月25日には発売の告知が出ていたんだよね。今日は4月6日。もう10日ほど過ぎています。このまま打ち止めか。2010年の1〜3月期には販売はなかったんで、なんとなくヤバそうな気もしたんだよなあ。今年も出れば九州温泉巡りという計画を立てていたんだけど。
 で、この手のフリー切符系として鉄道マニアに大歓迎されてきたJR東日本の「三連休パス」はどうなったんだろう。
 JR東日本の出した"「おトクなきっぷ」の一部見直しについて"http://www.jreast.co.jp/press/2009/20100107.pdfのリリース文でも、「土・日きっぷ」や「ぐるり北海道フリーきっぷ」は紹介されているんだけど、「三連休パス」については何も言及されていない。
 便りのないのはイイ知らせ。
 と、思っていたら、

と検索すると、

  • 三連休パスは、2010年3月22日をもって終了いたしました。ご利用ありがとうございました。

と言う文章が一瞬だけ出るんです。
 ちなみに、「土・日きっぷ」も、http://www.jreast.co.jp/tabidoki/service/donichi/でアクセスすると、

  • 土・日きっぷは、2010年3月28日(日)で利用期間が終了になりました。ご利用ありがとうございました。

という文章が出てきます。
 ああ、正式なリリースはないけれど、やはり三連休パスも販売は終了したっぽいなあ。
 http://www.jreast.co.jp/press/2009/20090603.pdfを見ると、2008年度に8.8万人の利用があったという。年に10〜12回しか発売されない限定切符としては、それなりの支持者はいたわけですよね。


 「三連休パス」も「西日本パス」も、期間内、フルに乗り回ればお得感はありありなんで、マニア的にはステキな切符でした。初日の下りとかは指定券が取りにくくなっていたし、その利便性は一般層にも浸透していた。「北斗星」を「ぐるり北海道フリーきっぷ」に乗って......というのも定番になっていた。
 でも、そうした値段で一度体験してみると、期間外にマジ払い(割引なしの運賃料金)して乗車する気が失せてしまうんですよね。空いている列車の席を少しでも埋めていきたい、浮動層を鉄道に振り向かせたい……という当初の目的が、今では様変わりしていたのかもしれない。割引切符時にだけ来る浮動層に重点を置いている一方、本来の固定層を取り逃していたのかもしれない。
 また、通常運賃を使っている層からは不公平感があったのもまた事実。なんでこの手のフリー切符を使う人たちだけ割安料金が適用されて自分たちは……という点。
 かつてワイド周遊券やミニ周遊券が廃止された際、その理由として通常料金を使っている人たちと比べて割引率が高いことが"問題"であるとされていた。実際、1998年から登場した「周遊きっぷ」では、東海道新幹線利用の場合は割引率が低く抑えられる場合があるのはご存知のことだろう(周遊券廃止ってJR東海の都合が大きかったとは容易に想像できる)。
 その「周遊きっぷ」もJR東日本エリアを中心に廃止、縮小が相次いでいる。2010年3月には「田沢湖十和田湖ゾーン」「山寺・松島ゾーン」「福島・蔵王ゾーン」が廃止。4月以降、JR東日本エリアで現存するのは「東京ゾーン」のみ。ここらは自社内のフリー切符を充実させたJR東日本の施策が反映されているのだろうけど、他のJRの管内に住む住人には使いづらいんだよね。もうこんな状態なら全廃してもいいんじゃないかな。


 一方、鉄道趣味的な視点からすると、鉄道マニアが移動する手段となる割引切符がまた一つ消えていったということにもなる。
 最近、「鉄道ブーム」とかなんとか言われるけど、20年くらい前までは、さほど鉄道に興味がなくても、鉄道を使ってユースホステルなんかを渡り歩いて旅する連中が少なからず存在していたんだよね。夏期に札幌駅で三大夜行を待つ列が2、3時間前からできていたことを記憶する人は少なくないだろう。周遊券という切符の存在が移動手段として鉄道というものに関心を持ってもらえる数少ないきっかけになっていたと思う。
 でも、1998年の周遊券廃止で、北海道や東北、四国、九州への1、2週間単位の旅行が難しくなり、若年層の鉄道利用者が確実に減ってしまった。18きっぷシーズンだと、今でもそれなりに動きはあるのだろうけど、遠乗りするのは難しくなる。自然と興味は近場へと移っていく形になる。
 その中で、関東圏の人たちは「三連休パス」や「土・日きっぷ」、「ぐるり北海道フリーきっぷ」などで北海道や東北、甲信越へと気軽に出かけることができたわけで、ある意味、鉄道会社との間で幸せな関係が紡がれていたんですよね。関西では、正月などを除くと、こういう切符って発売されていませんでしたから羨ましいと感じたものです。
 そうした切符が存在することで鉄道への関心をさらに深めようとした人たちが少なからずいたはず。特に中高生には破格的に安い値段で提供されていたんだから。2月に大糸線へ行ったとき、車中に関東圏の人が多かったこと、そしてみんな「土日きっぷ」とか企画切符を検札で出していたのを、ふと思い起こしました。「鉄道ブーム」というものが2006年をピークにあったとしたならば、この手のフリー切符の存在も大きかったのではないか。
 それが今年春で終了した。
 う〜ん、これからどうなるんだろう。新たに登場した「ウィークエンドパス」でこの4月最初の連休で遠出した人たちってどれくらいいたんだろう。
 ちなみに、2009年度のリリース文を見直すと、"「三連休パス」の発売および「土・日きっぷ」+駅レンタカーキャンペーンの期間延長について"という文章が出たのは6月2日でした。次の三連休が7月だと考えると、発売終了と決めつけるのはまだ早いのかもしれない。「ハッピーマンデーパス」とか名前を変えて再登場を期待したいんだけど、それはまた別の話。