東北・北陸・北近畿・九州から消えていく485系

katamachi2010-05-08

 ゴールデンウイーク中、東海道新幹線での暇つぶしに携帯をいじっていると、はてブ経由でこんな記事を見つけました。

 JR東海が、東海道・山陽新幹線「のぞみ」の初代型車両として活躍した300系を2012年3月末までに引退させることが4日、分かった。JR西日本も、とがった「鼻」を持つ100系を12年中に引退させる方針
さよなら、初代「のぞみ」 名物新幹線、相次ぎ引退へ共同通信、2010/05/04

 300系東海道筋からの引退は予測できたけど、時期がついに明示されたか。JR西日本が担当する300系「ひかり」はどうなるんだろう。登場から20年近く、新しい車両でも15年前後、新幹線車両としてはそろそろ寿命なのか。と、やたらと揺れる300系「ひかり」の車内で感慨に耽っていました。
 100系については、共同を後追いした読売の「山陽新幹線「100系」2012年春引退へ」(2010年5月8日)で、「2012年春、引退する」とあった。700系「ひかりレールスター」→九州新幹線「さくら」登場と共に引退→「こだま」用に転用→100系を淘汰という流れも予測通り。
 となると、また大手マスコミが煽るんだろうな。
 それよりも、趣味的に気になるのは485系を代表とする国鉄型特急ですよ。今年と来年でかなり減ってしまうことは確定ですからね。以下、そのまとめ。

485系と183系・189系が配置されている地域

青森地区「白鳥」「つがる」485系

  • 【現在】6両編成6本(3000番台)+増結用
  • 【決定】2010年12月 東北新幹線青森開業

 無印「白鳥」「つがる」(485系E751系)の廃止→改正後は青森〜函館間で789系「スーパー白鳥」に統一(青函区間は789系だけで回せるのかな)。とりあえず東北本線から485系引退は間違いない。E751系6両3本の行き先も含めて気になるところ。あと、別な話、2015年に北海道新幹線新函館開業が実施されると、789系ってどうするんだろう。785系の淘汰に回るんだろうか。画像は新しいのがなかったので「はつかり」時代のもの。

秋田地区「かもしか」485系

  • 【現在】3両編成3本

 これは現況のママ? あるいは青森〜新青森弘前間に新幹線連絡のシャトル列車を走らせるとかでもっと増える可能性もあるのか。あるいは青森に移籍?

仙台地区「あいづライナー」485系

 6両編成1本で磐越西線などで使用

新潟地区「いなほ」485系

 来春以降も485系の拠点となる地域。全部で104両という大所帯が凄い。ここでは国鉄型特急が定期運用で最後まで残るんだろうか。臨時「能登」など臨時や団臨であちこちに遠征している運用もある。オールマイティー485系の特性が活かされているところ。
 とりあえずそろそろ新車を入れないとダメだろ。常磐線特急に新車投入→余った651系(現在、99両ある)を新潟に転属.....というのが想像できるところ。もっとも651系も登場から20年経つし、「新車」とは言えない。
 羽越本線高速化については、検討段階で終わっていて具体化する気配もないhttp://www.uetsu-niigata.com/。酒田までミニ新幹線化して上越新幹線と直通......という実現しそうでしなさそうな案があるけど、キツそう。新潟県庁や山形県庁はどうするつもりなんだろう。

長野地区「妙高189系

 6両編成3本で快速「妙高」などに使用。183・189系の唯一の定期運用となる。

関東地区波動用183系・189系485系

 主に臨時列車など波動用。大宮・田町・豊田・幕張・勝田などに配置。「ムーンライトながら」「ムーンライト信州」などに使用

関東地区「日光」「きぬがわ」485系

  • 【現在】6両編成1本(小山配置)

 JR東労組http://www.jreu-omiya.jp/12jouhou/gyoumu/gyoumu-2008-20.pdfの報告書で、「(485系に)故障が多発している現状」「平成22年度以降、253系200代電車へ取替えを計画している」と書いていましたよね。団体交渉での会社側の発言であって正式なものではないですが、まあありえそうな話。「草津」などで使われる185系もろとも置き換えられるのかな。

北陸地区「雷鳥485系

  • 【現在】6両編成4本+α(向日町配置)
  • 【決定】2011年春までに683系に置き換え

 2010年春改正で定期は1往復のみ。これに毎日2運用(下り・上りの運用は別物らしい)+臨時の運用。改正後である上に、一部、福知山に183系として転属したグループもあって車両数については未確定。保留車も大量に出るらしい。定期列車については新車が入り次第、年内にも置き換えられてしまうんだろうな。臨時のスジはまだ残るのかもしれないけど。あのハイヒールの先端みたいなグリーン車ももう終わりかな。

 あと、金沢の489系。「鉄道ジャーナル 2010年 06月号 [雑誌]」によると、「能登」引退後も金沢の489系9両編成1本は臨時用として使用されるらしいです。

北近畿地区「北近畿」「きのさき」など183系

  • 【現在】86両+α B編成4両編成7本+増結車(国鉄色)、A編成4両編成7本+C編成3両編成6本+α(福知山色)
  • 【決定】287系46両を2011年春までに投入

 485系をプチ整形したパチモノ183系。1986年の電化時に「くろしお」など各地の余剰車をかき集めて投入されて以来四半世紀。なんだか悲惨な扱いをされてきましたが、2011年春、ついに新車投入との朗報が届きました*1。「鉄道ジャーナル 2010年 06月号 [雑誌]」によると、分割併合をしているA・C編成が置き換えられる模様。一方、国鉄色にヒゲが付いているB編成はATS-P取り付けられて存続するみたい。この改造の間、不足編成を補うべく向日町からやって来たBB編成3本(国鉄色)は3月以降運用を外れているらしい。
 てなわけで、この線でも2011年春以降、485系改め183系をみる機会は激減してしまう

鹿児島地区「きりしま」485系

  • 【現在】5両編成6本、3両編成3本
  • 【決定】九州新幹線開業の2011年3月以降、787系が「きりしま」に投入

 九州新幹線開業で余剰となる787系日豊本線に回されるというのは「特急「リレーつばめ」鹿児島中央―宮崎間に再利用」(読売2009年12月30日)で報道済。ただ、新幹線開業前夜まで鹿児島本線で使っているわけで、「きりしま」投入は3月のダイヤ改正と同日ではないのかも。記事でも「2011年3月以降」と微妙な言い回しになっている

大分地区「にちりん」「ひゅうが」485系

  • 【現在】3両編成7本+増結・波動用

 特に報道はされていないけど、787系が回されるんだろうな、ここにも。


 ついでに、

はすでにアナウンスされています。2011年春には播但線から消えることは確実。臨時用というか動態保存用に3両ほど残して欲しいような気もするけど、どうなるんだろう。
 あと、向日町で頑張る583系も、「きたぐに」は存置されたものの、先行きは危うい。「鉄道ジャーナル 2010年 05月号 [雑誌]」だと、5編成50両あったのが、今春で1編成減らされるのだとか。


 JR東日本が臨時・団体用として485・183・189系を大量に抱えているのが興味深いですけど、JR西日本や九州はどうするんだろう。気になるところです。
 というわけで、2011年になると、485系東北本線北陸本線日豊本線では定期運用から引退濃厚。福知山・山陰本線でも半減。これ以降は、「いなほ」のある新潟が最後の牙城となるんでしょうか。
 次は2015年の北陸新幹線金沢開業がキーポイントとなるのは間違いない。「はくたか」用681系45両が直流化改造の上で福知山に転属→183系B編成を淘汰......というのが想像できるところ。その頃には新潟の「いなほ」はどうなるんだろう。
 かくして、函館本線東北本線奥羽本線常磐線鹿児島本線長崎本線......と走っていた485系も今は風前の灯火です。
 でも、485系が全国を駆けめぐっていた時代の国鉄時代の幻影というのは、今の30歳代から50歳代、さらに上の世代も含めて、鉄道好きの多くの人間に共有されているんだと思います。
 そうした普遍的な存在となる車両って70年代以前に登場した車両だけなんですよね。103系113系も同様。「武豊線電化と「最後の国鉄型車両」キハ40系の淘汰の始まり - とれいん工房の汽車旅12ヵ月」で紹介したキハ40が国鉄最後の標準型車両とも言える。
 一方、私鉄車両やJR化以降の車両(80年代登場の国鉄型車両も)って、やっぱり地域限定の車両なんですよ。個々の車両に思い入れがある人は多いんだろうけど、その興味が普遍的な広がりを見せるかというと別問題になってくる。

 そういった意味では、この手の「国鉄型車両」は、あらゆる地域の、あらゆる世代の、あらゆる趣向の鉄道マニアたちが共有しうる最後の物語とも言える。90年代に趣味の多様化が進んだことでマニアたちの共通言語が失われてしまった現在、国鉄型車両ってそれぞれが理解できる数少ない原風景なんだと思います。そこらの文脈を理解しない限り、昨今の「鉄道ブーム」の背景は理解できないんじゃないかな。
 改めて今回まとめてみると、八戸〜青森〜函館間の485系って6年ほど乗っていないのに気付きました。夏休み以降はマニアが殺到しそうなんで早めに行っておきたいなあ.....とか考えています。まあ、そういう語り口こそ国鉄へのノスタルジーが根底にある訳なんですが、それはまた別の話。

*1:なのに、並行する舞鶴道が高速料金無料化の対象に。トホホ