20年ぶりの単著「開封!鉄道秘史 未成線の謎」11月28日刊行
はてなダイアリーを久しぶりに開いたら、はてなブログになってました。
てな訳で、「とれいん工房の汽車旅12ヶ月」、4年ぶりの更新です。
ブログをお休みしている間に、商業本執筆の話がやってきて、20年ぶりの新刊が、2022年11月28日に刊行することになりました。
「開封!鉄道秘史 未成線の謎」(河出書房新社)
です。
タイトル通り、私のライフワークみたいになっている未成線のあれこれをまとめた本です。
私が20代だった2001年と2002年に、JTBから「鉄道未成線を歩く」という本を2冊出しました。当時、「未成線」なんて言葉が鉄道マニアの間ですらほとんど知られていなかった時代。無名の素人が書いた割にはそこそこ売れたらしく、10数年、本屋さんに並んでいました。
未成線関係のトリビア本の執筆依頼は何度かありましたが、本業が忙しくて時間が取れなかったんで、見送ってました。ただ、前著が4年前に絶版となったので、今回の話をいただいたときに飛びつきました。宮脇俊三「時刻表2万キロ (河出文庫 み 4-1)」の河出書房新社さんですし……
まあ、20年前の本があるし……と楽かと思いましたが、この間の変化などを書いたり、写真を撮りに行ったりしていると意外に手間がかかり、依頼から1年半の時が過ぎていました。
本ブログを読んでいただいた方は前著をお持ちの方も多いかと思いますが、今回の本もぜひぜひ手に取ってみてください。
若手の鉄道ライターだったのも今は昔。今年ついに50歳となり、でも、保育所と小学生の娘に振り回されて、なかなか鉄道趣味旅行に行けなくなった日々を過ごしていますが、それはまた別の話。
日本の現在の鉄道は約2万8千km、廃線だと約8千kmありますが、実は、未完のまま実現しなかった計画線が昭和期だけで私鉄約7千km、国鉄8千kmあったのはあまり知られていません。
クルマ社会の到来、経済情勢の変化、地価高騰、戦争、過疎化……外的要因に振り回された「敗者」の鉄道史。
免許権を巡る各社の陰謀。都市計画を理由に新線を拒む役所。「負の遺産」の活用を模索する自治体。
本書では、運輸省地下倉庫や国立公文書館の一次資料を基に、未成線の歴史を掘り起こすことで、「敗者」による裏の鉄道史を伝えていこうと思う。
そこには「勝者」による正史とは異なる風景が存在する。在りし日の事業者たちは、欲望と苦境の先に、何を見ていたのか。美しい夢と破綻が交錯する歴史の複雑さを解き明かしていきたい。
【目次】
1章 東京・大阪の都心直通新線を阻む壁
~都市計画上の制約を乗り越えて延伸したい~
池上電気鉄道白金線(東急系)
~関東大震災復興は都市と農村を変えてゆく~
東京山手急行電鉄(小田急系)
東武鉄道西板線
筑波高速度電気鉄道(京成系)
大東京鉄道
南津電気鉄道
京浜急行電鉄油壺線
3章 関西大手私鉄の新線免許をめぐる争奪戦
~ライバ ルを牽制しながら勝ち残りを図る~
阪急電鉄尼崎線
近畿日本鉄道堺線
東大阪電気鉄道(京阪系)
奈良電気鉄道大阪延長線(近鉄系)
4章 ニ ュ ータウン開発の軸とな っ た鉄道計画
~自治体の思惑が錯綜してル ートは二転三転する~
千葉県営鉄道北千葉線
新京成電鉄柴又線
阪急電鉄桜井線
5章 地方で企画された都市間連絡鉄道
~高度成長期直前︑ 電鉄線に夢を見た時代~
近畿日本鉄道岐阜線
国鉄南方貨物線
国鉄中津川線
6章 戦争下、 優先的に整備された軍需路線
~人も金も資材も尽きて途中で放棄される~
弾丸列車
東京急行電鉄武山線
国鉄戸井線
国鉄大間線
国鉄根北線
7章 北海道の戦後総合計画を見据えた国鉄新線
~需要が消えても誰も工事を止められない~
国鉄美幸線
国鉄興浜線
国鉄名羽線
国鉄白糠線
~観光資源として「幻の計画」の再評価が進む~
国鉄長倉線
国鉄佐久間線
国鉄阪本線(五新鉄道)
国鉄今福線(広浜鉄道)
国鉄岩日北線
国鉄油須原線
国鉄高千穂線