「ネクラ少女と飢え乾く幽霊」と「"文学少女"は黒魔法で恋をする」
うん? またライトノベル……昨日書いた高山線→北陸地方の旅でこの2冊を読んでいました。
- 作者: 熊谷雅人,えれっと
- 出版社/メーカー: メディアファクトリー
- 発売日: 2006/07
- メディア: 文庫
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「ネクラ少女は黒魔法で恋をする」の第2弾。表紙のヒロインは今回も魅力的です。文章技術も前作より良くなったかな。いろんな意味でツッこみながら読んでいたのは変わりません。
- 作者: 野村美月,竹岡美穂
- 出版社/メーカー: エンターブレイン
- 発売日: 2006/08/30
- メディア: 文庫
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とにかく読者を驚かせたのは、前作「“文学少女”と死にたがりの道化」における、本好きのメタファーとしての「本をむさぼり食う」という行為。まさにそのまんまな設定が奇抜であり、そして新鮮でした。アニメーションの一シーンとしてそんな表現はありそうですが、最初から最後までそれを通してしまうとは…… この野村美月の勇気に感心させられました。イラストの遠子先輩もかわいらしかったし。
となると、今回は奇抜なキャラ設定だけでは誰も驚いてくれないわけで、そのプラスアルファーが求められてくる。
それが、冒頭の「彼女を殺そう」から随所に出てくる謎のメッセージ。ゴシック黒太文字で書かれているのですね。ある種ホラーっぽいセリフがおどろおどろしいです。また、ミステリーとして謎の手かがりを解くカギとしても有効に働いています。著者としては両方狙っているのでしょうね。ただ、そこでいちいち物語の流れが中断してしまう。そういうところに引っかかりながら読んでいました。
あと、中盤で関係者3人が都合良く同じ場所に集まっていっせいに謎解きの材料を提供する場面があるのですが、それもを何だかなあ。設定の不自然さは娯楽として面白がれるとしても、展開が不自然だと物語の謎を追いかける気が失せてしまう。この春までの10年間で10作もミステリー小説を読んでいないと自慢している当方ですら、「そういった謎解きの材料を物語上、不自然にならないよう提供していく。それに工夫するのがミステリー作家としての醍醐味じゃないの」とか考えてしまいました。ってミステリ物の作品ではよくある書き方なんでしょうか。
そうしたミステリーやホラーという設定については未整理のような気がしました。「本をむさぼり喰う」という設定も、今回はあまり活かされていなかったような。というか、ただの「ヘンな人」に終わっている。それでも全体的に楽しめたのは、作者の文体が読みやすいからでしょうね。とりあえず次作も期待したいとは思います。
あと、どーでもいい話ですが、個人的な希望としては、今日の表題にしたような作品も読んでみたい。