さよならYS-11。

katamachi2006-09-25


 

YS-11物語 (JTBキャンブックス)

YS-11物語 (JTBキャンブックス)

 鉄道マニアですが、飛行機の本を買ってきました。エアライナークラブ「YS-11物語」(JTB)です。むかし大学の図書館書庫で日本航空日本エアシステムの社史を読破したことはありますが、それは単なる交通史としての関心からの読書であり、A400とかB777とかいうのも新聞で見聞きした情報以外は何も知りません。飛行機の本を自分で買うのは、たぶん、人生で初めての経験です。
 私も以前お世話になったJTB関連のスタッフが関わっているので、どこか同社の鉄道本のような雰囲気が漂っていました。飛行機マニアの方も、飛行機の機体やメカニックそのものだけじゃなく、歴史とか路線とかどちらかというと脇道にそれたような話題にも関心があるのでしょうか。個人的には、そうした分野にしか興味が沸かないので、ちょうどこの本は自分には合ってはいたのですが……
 でも、飛行機のルポって大変そうですね。一度離陸してしまうと、フライトアテンダントがキャンディーを配るとか、窓の下に●×が見えたとか、それぐらいしか書くことがないですしね。

 そんな自分でも、9月いっぱいでYS11の運行が終わると聞いたら、なんとなく興味が沸いてきました。ふと思い立って、今年7月に九州へ西鉄宮地岳線甘木鉄道へ行った帰り、福岡→徳島便を乗ってきました。

初YS-11体験で飛行機嫌いになった24年前

 僕が生まれて初めて飛行機に乗ったのは、やっぱりYS11でした。1982年の8月、伊丹→仙台便でした。親に頼んで窓側の席に座らせてもらったのです。どこまでも広がる大阪平野に素直に驚かされました。そして、離陸から5分ほど、なんかどっかで見たような風景。ゴルフ練習場に、小学校に山並みに……って、うちの真上じゃないの。すでにガチガチの鉄道マニアでしたが、素直に感動していました。
 ただ、その後、YSは雲の中に入ってしまい、乱気流に飲まれたのかやたらと揺れまくり、鉄道マニアが飛行機派に改宗する機会は失われてしまったのです。
 次に飛行機に乗ったのは、その12年後、1994年の上海→伊丹便でした。怖くて怖くて、日本に着くまで震えていました。
 飛行機事故の3割は離陸時、1割は飛行中、そして6割が着陸時点に起きているらしいですね。直近で起きた様々な飛行機事故を思い起こしつつ、本当に手と背中に汗を滲ませながら最後の着陸の瞬間を耐えていました。
 それからも12年が過ぎ、さすがに慣れたと思っていたのですが、三半規管の弱さは変わらず、この春、イエメンのイエメニア航空サユーン→サヌア便で飛行機酔いしてしまって、着陸後、トイレに駆け込んだのを思い出します。

人生2回目のYSは福岡→徳島便

 さて、YSの話に戻しましょう。
 最後の4機はJAL系の日本エアコミューター福岡〜高知・徳島・松山・鹿児島便に充当されています。いずれも関西の人間には使いづらいルートですが、ちょうど九州に行く用事があったので、徳島便選択することにしました。帰りは高速バスで大阪に戻ろうという算段です。片道23,000円也、なかなか高額な遊びです。改めて飛行機マニアって凄いなあと感じました。用もないのに鉄道に乗るというのは日常茶飯事ですが、わざわざ飛行機に乗るというのは初めてのこと。

 時は7月24日、甘木鉄道を乗った後、大雨の影響でダイヤが乱れまくる鹿児島本線で博多、そして福岡空港に転戦しました。
 定刻12:10発のわずか15分前に福岡空港駅に到着。駆け足で第2ターミナルに向かったのですが、幸いにも、大雨でダイヤが乱れているらしく、スケジュールは定刻25分遅れとなっていました。
 待合室でちょいと待って、傘を差しながらの搭乗。雨降っているので撮影できるような雰囲気じゃありません。
 64人乗りなはずですが、4割ぐらいしか埋まっていませんでした。四国便なんてさほど乗る人はいないと思っていたけど、大丈夫か、JAC。
 フライトは1時間半ほど、やはりプロペラ機は低空を飛んでいるんですね。雲間から見える瀬戸内海の島々がなかなかいい感じでした。ネット予約で適当に席を抑えたのですが、主翼の側の席(4D)でした。プロペラの動きや音も楽しめ、なかなかイイ体験でした。

 徳島着は14:00。こっちはそれなりに晴れていて、福岡みたいにダイヤが混んでいないこともあり、かなり自由にYSを撮らせてもらいました。ほかにマニアが3、4人ぐらいいたのかな。たまにはこれもいい体験です。ちょっとだけ飛行機マニアの方の気持ちが理解できような気がしました。


 さて、YSのフライトも9月30日でラスト。今頃、盛り上がっている方もたくさんいらっしゃるのでしょうね。飛行機といえば、ミャンマー航空に搭乗中、白煙が機内に吹き出した話や、アエロフロートタシュケント行き国際線のシートが折りたたみ式で、離着陸時にパタパタと倒れていった話とかもあったのですが、それはまた別の話。