格安航空会社ジェットスターの機内食は、オプションで片道3000円。

 今回は鉄道とは無縁のネタ。
 毎年、1度か2度は海外に渡航しているんですが、いま一番行きたいところはオーストラリアなんです。アジア、欧州、北米、南米、アフリカ......と70ヶ国ほど回りましたが、オセアニアだけはまだ一度も行く機会がなかったんですね。
 豪州で、ぜひ行ってみたいのは、シドニーのオペラハウス。マーライオン(シンガポール)、人魚姫像(デンマーク)と並ぶ「世界三大ガッカリ名所」の一つです。残り2つは踏破しているんで、ぜひダメダメ観光名所の真打ちも押さえておきたい。あとは......あんまりオーストラリアには興味のある名所がないなあ。
 あまり思い入れがないなら止めておけばいいんだけど、急にオーストラリアに関心を持ち出したのは"JET STAR社"の存在を知ったからです。

格安航空会社の割には日航より高いジェットスター

 聞き慣れない名前ですが、この春、関西で一番話題となった広告展開を行っていた会社です。他地区の方は知らないと思いますが、「オーストラリアまで、往復でなんと2万円」というテレビCMが、2月頃からひたすら関西ローカル枠で流れ続けたんですよね。地下鉄梅田駅とか人のたくさん集まる場所にも巨大な看板をいくつもいくつも出していた。知らず知らずのうちに名前を覚えてしまうんですよ。
 このジェットスター航空 (Jetstar Airways) は、オーストラリアのカンタス航空系の格安航空会社でして、カンタス日本航空関西空港シドニー間の共同運航便を代替する形で、2007年3月25日から同区間で就航を始めました。8月より中部国際空港ケアンズ間、9月からは関空ケアンズ間の路線でもカンタス路線を引き継いで就航する予定となっています。これらの路線は観光需要ばかりで、収益性の高いビジネス需要を開拓できなかったため、ナショナルフラッグによる運行が難しくなっていたので、低い運航費用で低価格を実現できるローコストキャリア(LCC)に代替させようというのです。
 ちなみに、2万円というサービス価格はとっくに終わっていまして、今、同社のHPで値段を検索してみると、5月20日に大阪からシドニーに飛ぶ行程で往復7万円でした。これに燃油サーチャージ*1や空港施設利用料などが諸々3万円弱ほど加算されるので、総計だと98,780円になります(6月20日発だと、6万円+3万円弱で総計9万円弱)。
 これが安いのかどうか。微妙なところです。
 HISで調べてみると、5月20日発のベトナム航空によるホーチミン経由シドニー往復が5万円。これに燃油税が3〜4万円ぐらいかかってきて総額で8〜9万円というところでしょうか。ジェットスターよりも1〜2万円安くなる計算です。まあ、この差なら経由便よりも直行便で行った方がよっぽどラクだと思います。
 ただ、日本航空の伊丹→成田→シドニー便だとWeb悟空14で6.6万円なんですね。サーチャージ込みの総額で100,840円。ジェットスター(98,780円)と1000円しか変わらないんですよね。マイレージのこととか関空へのアクセスとか考えると、ちょっと迷ってしまう。そして、次に述べるように、ジェットスターだと機内食や諸々のオプションに9,000円もかかるんです。となると、格安航空会社の運賃が日航より高くなると言う逆転現象が生じるんです。

機内食2食を食べるのに3000円もするのか

 さて、このエアライン。就航前から話題になっていたのが、機内食とか毛布、イヤホンセットが別料金となっている点でした。
 「豊富なオプションサービスの中から、あなたに必要なものだけ選べるのが、ジェットスターの提案する新しいエコノミークラスのかたち」なんて宣伝していますが、まさにモノは言いよう。要は、他社の路線だと無料になっている各サービスが有料によるオプションになっているんです。
 で、そのお値段は、

  • 機内食2回+飲み物 3,000円
  • 毛布+枕+アメニティキット 600円
  • 機内放送用のイヤホンセット 900円

というところです。往復だとそれぞれの倍の値段が必要ですから、全部頼めば総額9000円が運賃にさらに加算されるわけです。
 行きは、関西空港を深夜に出る夜行便だから機内食やイヤホンを注文しなくても大丈夫といえば大丈夫。でも、夜、冷房ががんがん効いた機内で毛布なしというのは大変そう。それと、帰りはシドニー朝発、大阪夕方着、所要時間は10時間もかかります。時差がないから眠ることもできないし、日本みたいに機内持ち込み用の弁当をオーストラリアで調達するのは難しい。じゃあ、カネを払ってまで注文するのもバカらしい。
 こうして付加的なサービスをオプションとしてコストダウンを計るのは、一つの考え方だと思います。方向性は間違っていない。夜行便の機内食なんて正直いらないですから。でも、そうしたサービスを頼もうとすると余計なカネを取られるのは、格安航空券を使っているような層にとってはなんだか損した気持ちにさせられます。中国行きの2〜3時間、あるいは東南アジア方面行きの4〜5時間のフライトだと飯なし毛布なしでも我慢できますが、10時間もかかるオーストラリア行きに導入するのは......、ちょっと時計の針を速めすぎたような気がします。オプション料金込みだと、ジェットスターの料金設定が日航や他国の経由便より割高なことを考えると、日本市場ではあまり評価されないのでは。
 と、ここまで調べた段階で、ちょっと考え込んでしまいました。オーストラリア行き....どうしようか。あまりお得感はないゾ……となんだかどーでもいい気分になったのですが、それはまた別の話。

*1:燃油原価水準の異常な高騰に伴い、飛行機の燃油費の一部を「燃油サーチャージ(付加運賃・料金)」として運賃に加算する。日本発着便だけでなくて各地の国際線に同種の運賃が設定されている。燃油価格が一定の水準に戻るまでの一定の期間という約束であったがいまだに解消される気配はない。