酒も飲んでいないのに鉄道係員に暴力を振るう人たち

katamachi2007-07-26

 先日、地下鉄に乗っていたら「決して暴力はふるわない。大切なものがあるから。」なんてポスターが貼ってありました。赤ちゃんの写真とは対照的なコピーを見ながら、なんか物騒な世の中になったもんだなあ……としみじみ考えさせられたものです。
 ちょっと調べてみたら、今年の7月10日に、大手民鉄16社とJR3社、東京都と大阪市の交通局計21社局が共同で「鉄道係員に対する暴力行為の件数・発生状況について」というプレス発表をしていたんですね。東京都交通局の報道発表資料にこの件に関するペーパーが載っています。あと、JR東日本大阪市交通局日本民営鉄道協会もそれぞれのホームページでアップしています。この報告を受けて、7月15日から暴力行為防止ポスターが張られた……という流れのようです。
 最近、酔客が駅員にからんで暴力を振るう事件が……という報道をしばしば見かけるようになりました。景気が悪い憂さ晴らしだとか、日本人の品格が落ちたとか、酒の飲み方が経たになったとか何とか、様々な識者がそれらしい分析をしてくれましたが、本当のところどうなんでしょう。当方、残念ながら下戸なんでそこらの気分は想像することしかできません。
 で、報告されたデータを見ていると、2004年度に554件、2005年度に708件、2006年度で665件も鉄道職員に対する暴力事件があったとか。これは乗客に殴られるなどのトラブルが対象で、駅員への暴言などは含んでいないそうです。新聞報道で単発的に伝えられるのとは違って現実味のある数字です。報告されたのが2004年度からの3年分なので時系列的な流れは分かりづらいですし、21社局の統計の取り方が異なるとかでデータとして不十分なところはあります。ただ、鉄道員への暴力行為が話題になったのはここ数年ですし、今の段階では仕方ないのでしょう。
 ここで気になったのが、

  • 発生時間帯を分析すると、夜間や深夜が多いのはあたりまえだが、意外に昼間っから暴力行為をしている客も多い。5〜9時の朝に200件近く、9〜17時の昼間でも400件以上と、朝昼あわせて全体の3割以上を占めている。
  • 加害者の飲酒の有無を分析すると、飲酒あるいは泥酔が8割というのは不思議ではないのだが、飲酒なしで暴力を振るっているケースも多い。状況が分かっている1,336件のうち21%、280人は酒を飲まずに暴れている。

の2点です。お日様の出ている時間帯に、しかも酒も飲んでいない状態でのトラブルがそんなにあるというのは少々驚きました。列車の遅延とかが絡んでいるのだろうか。あるいは他の客がうるさいからとか別な要素もあるのだろうか。そこらの原因は何なんだろうかと気になるのですが、それはまた別の話。