北海道で鉄系の旅をしながら歩いた(その3) 宗谷本線でひたすら降りたゾ

katamachi2007-10-06

 4日目は幌延から南下して、宗谷本線未降駅の落ち穂拾い。5日目は「SLニセコ号」に乗って函館へ転戦しました。
2007-10-04 北海道で鉄系の旅をしながら歩いた(その1)
2007-10-05 北海道で鉄系の旅をしながら歩いた(その2) DMVをついに試乗したゾ

宗谷本線もと仮乗降場を訪ねる旅

9月23日(日)

  • 「はなたび利尻号」を4:29着の幌延駅で下車。ホームに降り立つと体の芯まで染み通るような寒さ。早々にセーターを着込んで待合室に逃げ込む。次の列車まで1時間半ほどあるので、久しぶりに街中を散歩してみる。昨年、一昨年と来ている街なので勝手知った道。ガソリンスタンドの気温表示を見ると、なんと「4.1度」とあった。この秋一番の寒さというのはホントだったんだ。ちなみに2日前の札幌は32度とかで観測史上最高の熱さを記録したとか。気温の高低差が激しすぎる。
  • 稚内からの回送2両が6:00着。ここで4321Dと4324Dとに分かれるために解結作業を行う。私は4324D名寄行きに乗り込む。6:03発。当然、利用者は私一人。

  • 問寒別駅6:27着。名前の響きがいいんでごく一部のマニアには人気の駅。貨車転用の駅舎の周りがお花畑になっているのがイイ味出しています。2年前に来たときより状態がいいのは近所の方が手入れしてくれているのかな。
  • 6:57発下りで隣の糠南駅へ7:00着。ここは下り3本、上り2本しか列車が停まらない難易度S級の駅。ホーム長10m+物置転用の待合室......というのがもと仮乗降場っぽさを如実に現している。車長21mあるキハ54の半分しかホームに停まれない。付近を散歩してみると農家がいくつか点在している。数は少ないけど意外に集落からは至便な場所にあるんだ、"秘境"というほとではないなあと実感。ちょうど農家の方が出てきてクルマの準備をされており、不意の訪問者たる私の方を見てジロリ。すみません怪しいモノではありません。列車は7:51発。朝靄の中をキハ54が天塩川沿いに南下していく……北海道で一番私が好きな風景です。


  • 佐久駅8:16着。朝飯を求めて駅前の商店街(今は店が数軒しかないが)へ行きカップヌードルとパンを手に入れる。今日はおそらく夜中まで食事にありつけないと思うので多謝。公民館&郷土資料館兼用の公的施設となっている待合室に戻って簡単に食事を済ませた後、歩いて600mほどの所にある国道40号の歩道に立ってヒッチハイクを試みる。歌内集落まで乗っけて欲しかったのだけど、幹線ルートから外れて交通量が少ない上にみんな法定速度以上で飛ばしまくっているので誰も停まってくれず。40分ほど粘ったが仕方ないので駅へ戻る。
  • 佐久10:03→10:21歌内。歌内駅も貨車転用の待合室。最近は"ダルマ駅"と呼ぶ向きもあるけど個人的にはあまり好きになれない。次の列車まで4時間ほどあるのでそれを待っていることもできず、隣駅の問寒別駅へ向かう。その間、6km。秋晴れで暑くもなく寒くもなく程よい空気の中、収穫物を刈り取る最中にある農地を抜けて、道道541号問寒別佐久停車場線を歩きながら山越えしていく。上川支庁中川郡中川町と留萌支庁天塩郡幌延町の境界を越えるのでどんな山道かいな……と心配していたが、さほど急な坂もなくて安心。問寒別駅には1時間20分ほどで到着。貨車転用の待合室で休憩するのもなんなんで、ホームに新聞を敷いて青空を眺めながら昼寝。たまには運動するのもいいものだ。特急の通過を見送った後、列車は12:29に到着。
  • 次は日進駅。14:14着。ここも典型的な仮乗降場格上げ駅だけど、私以外にもう一人下車客あり。すぐ近くにある名寄サンピラーユースホステルの宿泊客で、天塩川のカヌー下りをしてきた帰りとのこと。ここの待合室は地元の方が共有地に設置されたからかホームから10mほど離れたところにある。造りも国鉄の標準タイプとは全く異なる。札沼線知来乙駅と雰囲気が似ている。駅の北側でなぜか線路工事をやっていてレールが別線に付け替えられていた。現場を見たかったが時間がないので断念。

  • 日進14:35→14:45智恵文(既訪)と移動した後、お隣の智北駅まで2.2km強を徒歩移動。線路沿いの平坦な道でラクでした。これまた無人駅である智北駅のホームで寝っ転がりながら特急2本の通過を見送る。途中、レンタカーでドライブ中のカップルが駅の見学にやってきたのにビックリ。雰囲気からすると同業者ではなさそう。
  • 智北16:59→17:02南美深17:53→18:49瑞穂と移動。もうすっかり陽が落ちてしまった。瑞穂駅の待合室も地元寄贈の小屋か? 次の列車は明朝まで停まらないので、隣駅の多寄まで3kmを徒歩移動。今日一日で11km+2〜3kmは歩いているなあ。今日ぐらいの気候だとラクなんだけど、自分を褒めてやりたい。
  • 士別から「スーパー宗谷」で旭川に。札幌到着時間が遅すぎるのか予想以上にガラガラだった。旭川21:38着。まだ体力がありそうなので函館本線近文駅まで往復することにした。旭川22:04→22:09近文22:27→22:32旭川近文駅前にかなり大きいスーパーのイオンができていたのに驚く。旭川では東横イン泊。日曜夜なので3割引でした。

9月24日(月・祝)

  • 朝イチ5:30発の「ライラック」で札幌へ。781系に乗るのはラストとなるので"Uシート"の指定席をとっていたのだが前夜あまり寝れていないので爆睡して札幌まで記憶がない。札幌7:15→8:03小樽8:07→の列車も同様。
  • 小沢9:06着で下車。駅前の店で売っている「トンネル餅」を5年ぶり(前回はクルマで)に購入後、折り返し9:53発で仁木駅へ戻る。「SLニセコ号」が発車する10:48が近づいてくると周囲からたくさんの人たち、特にこども連れのグループが集まってくる。たとえC11とはいえ、やっぱり蒸気機関車は華があるからね。列車は定刻に到着。車中はほぼ満席の状態だった。指定されたのは"先頭車前より"という車窓からSLを見るには微妙なシートだったけど、まあ2日前に窓側が取れただけでもラッキーと思わねばならない。
  • 11:46の倶知安着で団体さんの3分の1が下車。停車時間は10分あるので撮影タイムとなる。ここから自由席になるので個人客が相当数乗ってくるが、それを遙かに上回る人たちが駅の周囲でカメラを構えている。峠とかで撮影しているマニアたちとは別種の、クルマで来られた観光客なんだろう。この人たちがせめて列車に乗ってくれたら増収に繋がるのに……とは思うけど、まあそれはそれ。12:14着のニセコ駅周辺も観光客で埋め尽くされていた。
  • 終着の蘭越は12:37着。そのまま折り返し6分で倶知安行きとして発車する。帰りは最後尾に付けていたDE10が先頭となって牽引する形になる。石北本線DD51牽引貨物もそうだけど、プシュブル運転ってマニア的にはあまり嬉しくないなあというのが本音のところ。
  • 次の昆布駅で下車して駅の側にある昆布川温泉で入浴。確実に循環しているお湯でしたが入り心地はわでも30分後の列車で出るつもりなんでカラスの行水っぽくなってしまったのが残念。昆布13:34→13:43比羅夫13:59→と移動。比羅夫駅へ移設の宿っていうのを見たかったけど宿主も誰もいない無人でした。比羅夫駅からの2940Dは個人の観光客と高校生で満席。白人さんとか中国の人とかも交じっているのが、やはりニセコ倶知安という町が国際化してしまった証拠ということか。そーいや、国土交通省の基準地価で住宅地の地価上昇率が日本一だったのは倶知安町ひらふ地区でした。キハ150の放送案内テープに英語の案内が付け加えられているのも理解できる。

  • 長万部からは「北斗」で函館へ。駅前のトヨタレンタカーで車を借りて木古内経由で上ノ国町に向かう。湯ノ岱温泉湯ノ岱荘に着いたのは18:40。でも、「えっ、今日来るとはなっていませんよ」と一言。一週間前に予約したのだが日付が違っていたらしい。飯は作れないというので隣の町営保養センター(6年前はこちらに泊まったが現在は宿泊施設を廃止してしまった)に行き、閉店間際の食堂に頼み込んでカレーライスを作ってもらう。食いっぱぐれたら20km離れた木古内上ノ国市街地のコンビニまで行かねばならないところだった。
  • 江差線未降駅訪問のため。湯ノ岱駅東隣の神明駅へ行く。すでにもう真っ暗。山中の道道から分け入る道をカーナビがロストしてしまうが、なんとなく勘に頼りながら駅前へと連絡する細道を見つけ、なんとかたどり着く。愛らしい木造待合室でしばし休憩。そこに置かれている「駅ノート」を眺めていると、直近の書き主は私の大学鉄研の先輩でした。半年前に大阪であった所なんですが……世間は狭い。神明19:36→19:57吉堀20:56→21:23神明と移動。

  • 宿に戻ってお風呂へ直行。湯船に溢れる真っ赤なお湯。これは炭酸水素塩泉らしい。この効用がなんなのかよく分かりませんが、気持ちいいっす。途中で、この宿に半年間滞在することになると言う方が登場。江差線沿いに木古内江差を結ぶ道道5号の改良工事にやってきたらしい。湯船でまったりしながら北海道の土木の状況を聞くと、やっぱりここ数年はかなりキツいとのこと。でも、この道道5号。函館と江差を結ぶメインルートからは外れたもののきちんと片道一車線は確保されている。クルマの通行量が極端に少ない道路をわざわざ拡幅する意味って一体ナニ?と尋ねてみると、「北海道新幹線の対応らしいよ」とおっしゃっていました。北海道新幹線が2020年に開業すれば木古内に駅ができる。その"新木古内駅"と江差を結ぶ道路を整備することで観光客を誘致したいという目算があるらしい。ううーーん、もう北海道や江差町上ノ国町って、江差線の先端部を活用する気って全くないのかな。