次年度の国土交通省鉄道局の目玉は「がんばる地域・事業者を支援」

katamachi2008-01-10

 さっき交通新聞のメールで、

 国土交通省の来年度予算案で京王電鉄京王線代田橋八幡山間、西武鉄道新宿線中井〜野方間、京阪電気鉄道京阪本線香里園〜枚方公園間の私鉄3区間の連続立体交差事業が新規着工準備区間として認められ、事業スタートが正式に決まった。

とあったんで、さてさてどんな予算案が出ているのかなと検索してみると、国土交通省鉄道局の「平成20年度鉄道局関係予算決定概要」というのが引っかかりました。いろいろ面白いネタがあるんで、pdfを見られる環境にある人はここんところをクリックしてみてください。成田新高速鉄道成田高速鉄道アクセス線の新線160km/h化、既存線130km/hのための施策なども書かれています。
 そこで新規施策の目玉として打ち出されているのが「地域の活性化に資する鉄道活性化総合支援パッケージ」。で、重点支援されているのが「がんばる地域・事業者を支援」という項目です。
 これについては「地方鉄道の維持と再生に向けた取り組み」という国交省の鉄道局技術調査局課長補佐の書いた論文が詳しい。これは昨年10月1日に施行された地域公共交通の活性化及び再生に関する法律と連動した支援策だと思います。赤字要件の見直しを行うのと共に、事業者単独で行うことのできない事業に対し、3分の1の補助を出すというのだそうです。
 でもねえ。「輸送高度化補助に整備(例)」として挙げられている実例(ここの8ページ目)が、

  • 新型車両(鮎と紅葉をデザイン)
  • レトロ調車両
  • 民家調の駅舎
  • 地元産木材を使用した駅

というのが何ともかんとも。正直、ここ20年ほど、いろんな第三セクター鉄道が、色もの系の新車や改造車、トロッコ車を"観光客誘致"のために投入してきましたが、それで"事業再構築"や"輸送高度化"に繋げたという実例は聞いたこともない。これで、

  • 地域鉄道の活性化(地域主体・協調支援)→自立的な地域再生

に繋がるはずなんてない。ローカル鉄道の再生なんていうのは程遠いというのがよく分かりました。

 そもそも、この「鉄道軌道輸送高度化事業費補助金」。平成19年度予算額で24.01億円だったのが、平成20年度概算決定額で20.48億円。わずか2%増です。これで何をやれ、というのでしょうか。本当に必要な路盤改良や信号設備の改良についての扱いが小さい(というか例に掲げられていない)のは、ほとんど予算が認められる可能性がない……ということなのでしょうか。この程度の施策で、ローカル鉄道を抱える地域・事業者に対して、「がんばれ」と言っても、当事者たちはなにができるというのでしょうか。 
 国交省の英知を絞って編み出した「事業再構築に対する重点的支援」がそんな小手先の施策だった……というのがいろんな意味で寂しかったりするのですが、それはまた別の話。