たまには雪の中で蒸気機関車の撮影をしたくなることもある。
昨晩、うちの辺りでは横なぐりの雪が降っており、クルマを運転しようにも視界が遮られてしまい難渋しました。
こりゃたまらない。日曜日は引きこもっていようか……と思って遅めに起きたら、なんと快晴!! 風はかなりキツイのですが撮影できないわけでもない。そして、風がキツイと何か役得があるかも……
てなわけで、比較的、近いところを走っている「SL北びわこ号」の撮影に行きました。この冬の運転は5日間あり、今日はその最終日。米原駅10:12発の1号には遅いけど、13:26発の3号には間に合う。なかなかエンジンが暖まってくれない愛車を駆って北上しました。
鉄道撮影熱が高くない自分には「SL北びわこ号」は手頃な素材
僕はもともと鉄道旅行派で、写真撮影は全くしないタイプだったけど、4年ほど前にデジカメを買ってからはちょこちょこ出かけるようになった。でも、「なは」・「あかつき」最終日!とか「さよなら北斗星・夢空間」とか「DD53ばんえつ物語号」とか時期限定の列車が行き交うところには行く気がしない。目玉商品を追い求めて現場が殺伐とした雰囲気になりそうだし、人だかりをかき分けてまで撮影したいという欲求もない。
鉄道撮影熱があまり高くない自分にとって「SL北びわこ号」は手頃な素材である。
ここ十年ほど、毎年のように冬と春、秋のシーズンに米原〜木ノ本間を運行している。そのためか、シーズンに走っているのが定番になっており、マニアの間では意外に注目されていない。C56 160+12系という組み合わせに新鮮味はないし、有名撮影地でもたくさん人が集まってくると言うわけでもない。他にも撮れる場所が点在しているので適度に分散している。列車の方も何度か乗ったことがあるが、満員というわけでもなく、かといって空いているわけでもなく程よい込み方だった。
今日、米原以北は雪であるのは確実。天気も晴れみたい。う〜ん、マニアさん多いかな
……と思って、定番にしている虎姫駅の北側のポイントへ行ったのは13時半。先にきていた同業者はわずか3人だった。ちょっと寂しいが、まあいいか。
定刻では虎姫駅は13:48発。でも、名古屋から来たマニアさんに聞くと、午前の1号も30分ぐらい遅れて運転していたみたい。
聞いてみると、強風の影響で湖西線がストップしていて「サンダーバード」とか特急が米原経由に変更しているらしい。それを僕は期待していたんです。
冬になると、比良山系から琵琶湖へと流れる強風の影響で、湖西線はたびたび運休してしまいます。その際、大阪発着の北陸特急が近江今津経由から米原経由に変更されてしまう。その姿を東海道本線沿線に住んでいる僕はたびたび目撃しているのだけど、今までカメラに押さえた経験がない。特に、オリジナル色の485系「雷鳥」はあと3年後に廃止されるとも発表されているし、国鉄型車両で鉄道趣味熱を育まれた1人としてぜひ見ておきたい。うん? 数日前の「「廃止」と聞くと血が騒ぐ鉄道マニアの気持ちを考える - とれいん工房の汽車旅12ヵ月」のドライな書き方とずいぶん違う心境ではあるのだけど、それはまた別の話。
とりあえず線路から100mほど離れた道路に立って、他のマニアさんとC56がくるのを待つ。13:50。本来ならそろそろ来てもイイ頃なんだけど、汽笛の音は聞こえない。
たぶん、写真撮影をする人はこういう瞬間を待ち望んでいるんだろう
それから半時間以上待った。
あ、晴れたかな……と思うと、強風が吹きすさび、横なぐりの雪が軽装の僕に襲いかかる。そして、2、3分後にはまた青空が見えるのだけど、しばらくすると曇天に覆われてまた雪が……あれ、なんで平地なのにこんなにころころ天気が変わるんだろう。
そして、40分遅れの14:27。ようやく虎姫駅の方から汽笛の音が聞こえた。そこからちょっと間があったが、木立の向こうから煙が見えてきた。 そして撮影タイム。
うまいことに雪はやみ、雲間から光が差してくれた。次の写真にあるように、なんとか伊吹山バックの写真も撮れた。
三十歳ぐらいまで鉄道写真なんてほんと興味がなかったが、今になって分かる。たぶん、彼らはこういう瞬間と快感を味わうべく活動をしているんだろう。カメラのファインダーの外が見えなくなる気持ちも理解できないわけでもない。まあ、人様に迷惑をかけちゃいけないんだけど。
でも、もし、この瞬間、地元の方のクルマがトコトコとやってきてカメラと列車との間に停まったりしたら……どうなるんだろう。せっかくのシーンが台無しになってしまう。たぶん怒り狂うんだろうなあ。その感情を他者に向けて迷惑をかけてしまうのか、あるいは自分の心の底に押しとどめて対応できるか。自分は冷静かつ客観的なつもりでいるんだけど、いざというときもそのように行動できるんだろうか。ふと疑問に思った。
閑話休題。
とりあえず獲物は去った。一緒にいた年配の方はクルマで帰られた。もう一人の若い人と僕は、次の単機回送を待つことにする。
以前、「北びわこ号」C56は上りも客車を引っ張って旅客営業していたが、需要がないとかなんとかの理由で、近年、木ノ本から米原への戻りは他の機関車によって回送されることになっている。以前はDD51。昨年秋からは直流電化が敦賀までされたこともあって、EF65が牽引機となる。
EF510の貨物列車や「しらさぎ」、223系、そして青空と吹雪を見送って待つこと20分。14:46、ついに機関車がやってきた。今度は残念ながら吹雪いているからあまりよく撮れなかった。ちょっと残念。
そして、EF81貨物列車や「サンダーバード」、521系、「しらさぎ」などを見送っていると、15:26。いきなり米原方向から肌色の赤いヤツが……あっ485系だ。
あれ、でもこの時間には下り「雷鳥」はないはず。1時間ほど遅れていたのか。
それが行ってまもなく、今度は上りから……EF65と青いヤツ。「北びわこ号」の回送列車です。15:30。牽引機はEF65-1132。C56をお尻に付けながら米原方面へ向かっていきました。そのまま梅小路の機関区に戻るのでしょう。ご苦労様です。
あとは、上りの485系「雷鳥」待ち。定刻だと「雷鳥30号」が敦賀を15:41ころに出るから、その30分ぐらい後に虎姫を通過するはず。ようやく雪もやんでくれたけど、16:10になっても来ない。そろそろ帰ろうか……と思うと踏切の警報機が鳴りました。キター485系だ。線路脇までダッシュ。
う〜ん、やっぱ485系はいいです。
でも、あの大阪方に付いているパノラマタイプのグリーン車。なんか女性のハイヒールのつま先みたいな感じがしてあまり好きではない。
やっぱ、
オリジナルのこっちの方がいいよなあ……と思うのですが、それはまた別の話。