東京メトロ副都心線の話って全国ニュースで流すことか?
十四日に開業した東京メトロ副都心線（埼玉・和光市−東京・渋谷）は、営業初日からトラブルが相次ぎ、開業日から三日連続でダイヤが大幅に乱れた。十六日午後には、各駅停車が誤って駅を通過するなど、混乱は収まらなかった。同社広報部は「申し訳ない」と平謝りしている。
副都心線 終日混乱 各駅停車、急行線路に…ミス次々東京新聞、2008年6月17日
東京メトロの副都心線のダイヤが滅茶苦茶らしい。
その理由を拾い上げてみると、
- 14日 自動列車運転装置(ATO)の不具合。停止位置ミス頻発
- 15日 車両点検やホーム柵のトラブルなどで遅れが発生
- 16日 西武線と東武線の乗り入れ列車に対する運転指令の指示ミス
- 16日 各駅停車が東新宿駅の急行用通過線に進入
- 17日 和光市などの変電所2ヶ所のブレーカーが落ちて停電。出庫できず
とかなんとか。
別に僕が指摘するまでもなくいろんなテレビや新聞が伝えているし、そもそも開業前から大丈夫かなと心配していたマニアも多いのだろうけど、
が原因として考えられる。
その上、東武・西武から直通列車に乗っても、小竹向原駅から先、副都心線方面へ行くのか、有楽町線方面へ行くのか、どうも案内が徹底し切れていないらしい。
今回のダイヤ改正が発表されたのは3月末。東京メトロの「副都心線開業時ダイヤについて」というのがニュースリリースになる。
このpdfファイルを見たとき、いったい副都心線＆有楽町線でどんなダイヤが組まれるのか。すぐには分かりかねた。朝、昼、晩とダイヤのパターンがバラバラだからだ。西武線と池袋線と有楽町線の今までの利用者のことを配慮しつつ、それぞれが平等に不便にならないように配慮された結果、逆にダイヤが分かりづらくなったんだろう。
たとえば「急行は西武、通勤急行は東武からの直通。普通は全て線内列車」とか、種別や方向幕の色で分かりやく分類すれば、利用者としても理解しやすい。
同じようなケースで思いだすのは、1997年に開業したJR西日本の東西線。ここも同年3月から4方向の列車がＸ型に乗り入れを始めて運航系統がややこしくなったが、開業日やその後もさほどダイヤの混乱は見られなかった。車両がほぼ統一されていた上に、方向幕で乗り入れ路線の色が明示されていたし、発着番線も統一されていた。なにより、関係する会社がJR西日本一社だけというのがやりやすかった*1。
もちろん、東武・西武・東京メトロとも、車内放送や案内表示はそれなりにやっているのだろう。でも、今まで東武・西武は有楽町線と片乗り入れだったのに、突然、半分以上が新宿や渋谷に行きだしたので、乗客の方が対応し切れていないのか。たとえば東武線に乗って和光市駅のホームに着いたとする。ホームで待っていても、次の普通が新木場行きなのか渋谷行きなのか東武池袋行きなのか、なにがなんやら分かりにくいんだろうな。ましてや朝ラッシュ時は……とは想像できる。
こうしてダイヤや利用者の状況が変わったとき。しばしばダイヤの乱れが発生する。たとえば、都心の通勤電車は4月になるといきなりダイヤの混乱が目立ち始める。この時期、転勤や就職、進学などでその沿線の事情に不慣れな利用者が増えて、そんな彼らが駅や車内でもたもたするため乗り換えに時間がかかるのだ。それも数週間経てば落ち着き始める。副都心線の場合も、各社や利用者もそのうち慣れるんだろう。
まあ、ATOやホーム柵、車両、変電所、運転指令……ここまで毎日のように混乱が続くというのは確かに珍しい。過去にいろいろ新線が開業したけど、あまり見聞きしたことはない。関係三社の事前の熟練度合いが足りなかったと言えばそれまで。彼らも言い訳はできないんだろう。
それはそれでいい。気になるのは、なんでそんな些細なニュースがテレビの全国放送で流されるのか、ということ。
公共交通機関としての使命を帯びた、しかも日本を代表する大手私鉄としては、かなり格好悪い話だと思う。関係する沿線の利用者の興味を惹く話題だ。この間、一度や二度程度、小ネタとして放送する程度なら、まあいい。でも、夕方の全国ニュースで５分とか長時間割いて、毎日伝えるほどのことなんだろうか。開業前週から新宿と池袋のデパート合戦だとか、都心最後の地下鉄新線だとか、前景気を煽るネタばかり繰り返されてきたけど、全国1億3千万人に伝えたいほどの重要事なんだろうか。関東ローカル枠でやればいいのに。まあ、その手の東京地域ネタが番組で大げさに語られる一方、大多数の東京とは無縁な地方の人間が取り残されるというのは今に始まったわけではないんだけど、それはまた別の話。
*1:その8年後、大惨事が起きてしまうのだが、それについてはここでは触れない
