朝陽の中で走り抜けていく北海道の列車たち。

katamachi2009-10-10

 今日、久しぶりに朝日に叩き起こされた。
 迂闊にも、昨晩、ベッド横のカーテンを開けっ放しにしていたんで、太陽が真東から僕の顔を照らしてくれたんだ。迷惑この上ないことである。目覚めた直後、大阪行きの「きたぐに」が通過していくのが窓から見えたんで、まあよしとしておくか。
 朝の寝起きが非常に悪い僕なんだけど、あの太陽が出てくる時間帯って、やはりいい気分になるなあというくらいの感性は持ち合わせている。以前、「夕暮れ時に電車の窓から見えるアカネ色の空が好きだ。 - とれいん工房の汽車旅12ヵ月」というエントリーを書いたことはあるが、夕陽とはまた別な趣きもあるんだよね。
 明日から北海道へ行くんで、以前、道内で出会った朝の画像を拾い上げてみました。

未明に途中駅で客を降ろしている夜行列車。

 一応、ここ20年ほど、JR全駅の乗降を目指して活動しているんだけど、北海道の仮乗降場格上げ駅って停車本数が少ないんで、訪問するのがなかなか難しいんだよね。だからこその魅力も多いんだけど。
 通学用の朝イチの列車を狙って夜行列車で降り立つことが多かった。
 そんな未明に途中駅へ着いた夜行列車の姿。
 まずは07.9.23/4:31。臨時特急「はなたび利尻」@宗谷本線幌延駅。4時半だと真っ暗だなあ。まだ夜は続く。

 続いて06.3.3/4:56。特急「利尻」@宗谷本線幌延駅。降りた瞬間、寒さによる痛みが頭の中を突き抜けるような日でした。せめて出発の姿を撮ろうとしたのだけど、ガチガチの雪で見事に滑ってしまい転倒。

 そして07.9.21/4:59。特急「まりも」@根室本線音別駅。信号場格上げの古瀬駅へ向かうのに降りました。なんかこういう微妙な光って、本土の方ではなかなか見れないんだよねえ。「まりも」が終点の釧路へと出発していった後も、しばし佇んでいました。

 他人が起きていない早朝、誰もいない無人のホームに降り立つ……というのも夜行列車の醍醐味。白糠とか留辺蘂とか豊富とか、いろんな駅の姿を思い起こすなあ。

激冬の早朝、宗谷本線の小さな駅に停車していく普通列車

 早朝の幌延って過去に何度もお世話になりました。
 06.3.3に夜行で降りた途端、待合室に直行。ストーブのスイッチをひねって暖を取るんですね。真冬で未明の北海道で暖房なしというのは自殺的行為。保安上の問題が多々あるにしても、ストーブを置いてくれているのは有り難い限りです。
 やがて6:19になると、稚内から2両編成の回送列車が到着。

 ここで分割して、幌延稚内行き、名寄行きの始発となるんですね。
 列車の連結部の切り離し作業。手袋とコートで重装備しているけど、真冬なんでうまく操作できず何度もやり直しをしていました。

 待合室のストーブにも限界があるんで、ちょっと早めに車内へ入ります。回送時からガンガンにヒーターで暖めてくれていたようで、救われたような気分になります。
 6:25の上りが無人で発車したのを見送ると、まもなく6:34。4321D下りの発車時刻です。
 廃止直前の南下沼駅からはさすがに利用はなかったけど、次の下沼からは通学の高校生が乗り込んできます。
 7:05着の兜沼駅。南側から列車を激写。逆光が凄まじくて目が開けられない……

 ここでは列車交換のため5分停車。学生さんが乗ってきて、しばらくすると上りがやってきました。


 国鉄末期に経営が極めて厳しいことが予想されたJR北海道への置きみやげとして新製投入されたキハ54。登場時は、口さがないマニアからステンレスの車体は批判されたものですが、朝陽のあたる角度によっていろんな姿を見せてくれるのが僕的には魅力的ですね。
 この日は、上りで徳満駅に戻り、1時間待ちで再び下りを捕まえて稚内へ。そこでレンタカーを借りて郵便局巡り&宗谷本線の無人駅乗り降りを続けました。


 翌、06.3.4は、一部で有名な「あしたの城」@豊富市街地から6時半に南下沼駅へ。
 国道と駅とを結ぶ道路は昨晩の吹雪でさらに積もってしまったみたいで、「人力ラッセル」でかき分けながらホームへたどり着く。
 木造のホームがあるだけの元仮乗降場の無人駅。
 周囲の人家もほとんどなく、みんな自動車を使うんで利用が皆無。なんでこの月で廃止することになっていました。

 原野に剥き出しのホームが1つ。待合室代わりの物置があるけど、ストーブがないんで暖はとれません。たまに突風が来ると、さすがに耐えられない。風よけとなる逃げ場がないのがまた辛い。
 昨日と同じ4321Dが来るのは6:40。早く列車が来んかいなあ……と、待つこと10分。遠くから銀色の気動車が。

 ようやく到着。

 でも、ホームの長さはわずか10m。JRの列車1両の長さの半分くらいしかないんですね。だから、キハ54は前扉がホームと接する程度の場所で停車。当然のことながら1人しかいない乗客を回収して出発します。
 隣の下沼駅で下車し、折り返しの上りで南下沼駅で下車。
 あとは、気温があまり上がらない中、特急やラッセルを撮っていました。

 

朝陽の噴火湾を行く特急「北斗星

 07.9.26/5:52。函館本線山越駅前でレンタカー内にて野宿した後、降りつぶしのため石谷駅へ移動する途中、休憩をしようとスペースにクルマを入れたら、真下に噴火湾函館本線が。全く無知だったんだけど、ここって有名撮影地だったんですね。
 カメラを構えた瞬間、遠くからレールの響きが。

 上野から長躯、北海道までやってきた「北斗星」です。

 噴火湾べりのカーブをゆったりと進んでいくDD51重連。思ったよりスピードが遅いのでこちらも余裕をもって追っかけていけます。

 客車の横っ腹に東から登ってきた朝陽の光がモロに反射している。こういうのって、鉄道写真が好きな人ってあまり喜ばないらしいけど、こうした光の演出って僕の力量ではなんともできないし、その偶然に感謝しないと。



 とまあ、デジタル画像の中から北海道の朝の風景をいくつかピックアップしてみました。
 夏でも冬でもそうなんだけど、北海道って晴れた朝の青空って凄まじく透き通っているんだよね。氷点下20度以下の摩周湖ダイヤモンドダストで覆われた朝なんか、不安にさせられるほどの透明感があった。
 あと、極端に停車列車が少ない無人駅で乗降するためには、夜行列車→朝イチの通勤時間帯の列車を利用するというのが僕の行動パータンであった。だから、朝は8時くらいまで布団にくるまっていたい性分なんだけど、夜明け前から頑張って活動していたんだ。
 ただ、夜行列車が全滅してしまった今では、日の出の時間前に起きて行動するというのは難しくなった。大地がほのかに色づいていく過程を車窓から眺めながら朝を迎える……という贅沢な時間を体験するには、意識して宿を早く出ていかねばならない。まあ、そんな懐古趣味的な愚痴を言う前に、若いときのように駅寝をすれば朝イチの日の出を見れるじゃないの、と言われればそれまでなんだけど、それはまた別の話。