腐った枕木の上を走った貨物列車が脱線した写真&銚子電気鉄道は大丈夫?

 銚子電気鉄道が大変らしい。
 きっかけとなったのは

電車修理代を稼がなくちゃ、いけないんです。
銚子電鉄商品購入と電車ご利用のお願い
拝啓、時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。 平素は、弊社鉄道事業並びにぬれ煎餅事業に対して、格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。 さて、早速ではございますが、弊社は現在非常に厳しい経営状態にあり、鉄道の安全確保対策に、日々困窮している状況です。

という銚子電気鉄道のホームページの一言。これが11月16日にアップされるや否やあちこちのブログや掲示板で紹介され、新聞やテレビでも報道され、「ぬれ煎餅」は品切れ状態になっているとか。
 ただ、関東運輸局から11月25日付で鉄道事業の改善命令を受け、そのための資金繰りに四苦八苦していると。
 その詳細が読売新聞千葉支局の銚子電鉄 枕木1550本に腐食、破損 全体の17%脱線の危険性もという記事(2006年12月7日)で明らかになりました。

 線路の枕木のうち、全体の17%にあたる1550本に腐食や破損があることが6日、同社の調べで分かった。(中略)同社では「JRから古い枕木の払い下げを受けるなどして、早急に改修したい」としている。
 同社によると、枕木は銚子―外川駅間の6・4キロ間に約9000本が敷設されている。老朽化したり折れたままになったりしている枕木1550本をすべて交換した場合、工事費を含めて約2000万円かかるという。

 枕木の腐食か……これは大変です。工事費の概算値を見ていると、中古でも1本1.3万円ぐらいか。
 近年、ガーデニングをする際の添え木として中古枕木の需要は高くなっているようです。鉄道を廃線にした会社で販売しているのを見かけたことがあります。確か1本3000円ぐらい。意外と高かったような記憶があります。

ボリビアで見た腐った枕木による列車の脱線

 関東運輸局鉄道部は「このような枕木が連続する区間では、レールが沈んで脱線が起きる危険性がある」としているとコメントしていますが、確かに危ないんです。

 これは、10年前にボリビアアンデス山脈の峠越え区間で出くわした脱線現場の写真。見事にレールも枕木も破壊されています。
 私はドイツ製レールバスの国際列車に乗って首都ラパスからペルー・アリカへ向かっていたのですが、その1キロほど前に走っていたディーゼル機関車が滅茶苦茶に壊してしまったと。もう何十年も変えてなさそうな枕木が完全に腐っていて、機関車の重みに耐えられなかったのでしょうね。たいしてスピードは出ていなかったので、機関車も貨物も横転まではしていませんでした。ただ、続行する僕らの気動車は前に進めなくなってしまった。
 ちなみに、このDL。デザインが、EF65-500にやたらとそっくりなんです。それもそのはず。30年前に日本のODAで投入された機関車なんです。地元のスタッフに聞くと性能は素晴らしいそうなんですが、パワーがありすぎて完全に持てあましているとか。結局、この現場で5時間ほど立ち往生し(逆に言うと、このレールを短時間で直したというのも凄いのですが)、目的地に着いたのは深夜3時でした。
 まあ、銚子電鉄も、車両重量とスピードを考えれば簡単には脱線しないとは思いますが、日本だといろいろ文句を言われることも多いでしょうし、さっそくにでも手を入れなければならないのでしょう。
 今度は廃枕木を売却することで乗って残そう運動を展開してみるのもありかなあとも思ったのですが、それはまた別の話。