「関西国電のエース」117系と国鉄型車両。
所用で東海道本線の新快速に乗って大阪駅へ向かった3/30のことです。
ふと3番線ホームを見ると、久しぶりに117系が帰ってきているじゃないですか。原色(旧新快速色)、しかもトップナンバーのクハ117-1の編成が……
塗装はあちこちが日焼けしていて赤サビもあって*1、しかも「京キト」の文字は白ペンキの上に重ねられていて、なんだか寂しい感じだったのも事実。
でも、30歳ぐらいから上の関西在住の鉄道マニアにとって、117系と言えば、特別な響きがあります。特にブルトレブームとかを体験した当時の小学生にとっては......
国鉄末期の1979年、突然、舞い降りてきた最新型の新快速電車。1936年に東海道本線へ投入された52系電車を彷彿させる塗色とデザイン。やっぱ、これこそ「関西国電のエース」です。そして、ほぼ同設計の特急車の185系より先に投入され、しかも特別料金が不要、と言う点も微妙な関西人気質をくすぐってくれました。
この時期、関西国電って、東京地区のお古ばかり回されていたんですね。そこらの選択が露骨になったのは60年代後半になってからでした。
冷房付き103系が新たに製造される場合、一応、「片町線複線化による増発のため」という目的が掲げられてはいるんです。でも、実際には、蒲田電車区や浦和電車区に新車は回され、そこのお古の非冷房103系が森ノ宮電車区や明石電車区に回され、さらにそこのお古が淀川電車区や鳳電車区にやってくる。新性能化が完了した1977年以降もその状況は変わりませんでした。
......なんてことを、その日の夜、友人と話していると、
「でもね。広島とか福知山とかは今でもそうなんだよ。」
と一言。
すみません。彼は最近まで広島で働いていたんでした。
国鉄型車両が集中するのは但馬地区と山陽地区。
別に忘れていたわけではないんですが、確かにそうです。山陽とか山陰とか国鉄型車両が多いです。213系や115系3000番台、キハ47、そして関西から来た117系とか比較的新しい車両もありますが......って、それらも20〜25年は使われているんですよね。
関西の鉄道マニアは「関西国電は東京のお古ばっかり」とたびたびボヤいていましたが、実は、関西で使った旧型国電はさらに富山や岡山や広島に回されていました。それは、JRになってからも同じです。というか、車両の転属のさせ方が露骨になっている。「113系+485系」をシャッフルして、「415系800番台+183系800番台」を完成させたときはさすがに唖然とさせられました。
そこで、JR西日本の路線の中で、国鉄型車両しか走っていない路線をピックアップしてみました。
路線 | 区間 | 主要車両 |
---|---|---|
山陽本線 | 兵庫〜和田岬 | 103系 |
桜島線 | 全線 | 103系 |
姫新線 | 姫路〜佐用 | キハ40系 |
播但線 | 姫路〜和田山 | 103系 |
山陰本線 | 綾部〜豊岡 | 113系 |
城崎〜浜坂 | キハ40系 | |
紀勢本線 | 和歌山市〜和歌山 | 105系 |
阪和線 | 鳳〜東羽衣 | 103系 |
氷見線 | 全線 | キハ40系 |
城端線 | 全線 | キハ40系 |
山陰本線 | 長門市〜幡生 | キハ40系 |
山陽本線 | 岡山〜下関 | 115系 |
宇野線 | 茶屋町〜宇野 | 115系 |
呉線 | 全線 | 115系 |
福塩線 | 神辺〜府中 | 105系 |
芸備線 | 広島〜三次 | キハ40系 |
可部線 | 全線 | 105系 |
岩徳線 | 川西〜櫛ヶ浜 | キハ40系 |
宇部線 | 全線 | 105系 |
小野田線 | 全線 | 105系 |
※定期の旅客列車で国鉄型車両しか走っていない路線。JR化後に新造された車両(含む第3セクター鉄道。特急車)が1往復でも走っている路線は除いた。多少のミスもあると思いますが許してください<(_ _)>
このリストで目立つのが、兵庫県但馬地区、岡山県・広島県・山口県の山陽側です。特に、岡山・広島と県都を抱える山陽本線。1982年製の115系3000番台、1987年製の213系が「最新」車両......というのはさすがにマズいと思います。一方、山陰本線など中国地方の非電化区間は、キハ120やキハ126が入ったお陰で、意外にもこの不名誉なリストに名を連ねてきません。
さて、こうしたJR西日本の姿勢に対しては、二通りの考え方があります。
- JRは公共交通機関だから、赤字であっても地方を軽視する態度は許されない。地方にもある程度は新車を入れるべきだ。
- JRは民間企業だから、黒字を確保できる分野に集中投資するのは当然だ。地方に新車を入れないというのも致し方ない。
どちらの意見を主張するのか。なかなか難しいところがあります。「関西国電の墓場」と呼ばれていた片町線沿線の元住民としては前者の立場を支持したい。その反面、後者の施策を選択せざるを得ない同社の事情も理解できる。簡単に答は出せません。
一方、、第3の選択肢として......
と書いたところで、力尽きました。次回に続く。あの、地方公共団体(自治体)がJRに寄付金等の行為をすることを禁止した地方財政再建促進特別措置法第24条第2項ってどうなったんだろう......と思いますが、それはまた別の話。
(続く)
JR線の鉄道整備に関するカネと地方自治体の関係。4回シリーズ
1.2007-03-29JRが造る新駅の建設費を調べてみました。
2.2007-04-04「関西国電のエース」117系と国鉄型車両。
3.2007-04-05自治体がJRにカネを出すのを禁じた地方財政再建促進特別措置法第24条第2項
4.2007-04-06鉄道整備にカネを出す自治体。無関心な自治体。
*1:もしかしたら2002年に原色へ塗装変更してから一度も塗り直していないのかな??