まさか21世紀まで走っていると思わなかった485系「雷鳥」

katamachi2008-01-24

 大阪―金沢間を走る特急列車「雷鳥」(8往復)について、JR西日本は24日、今後3年間で約200億円を投じ、すべて新型車両に交換すると発表した。
スーパーじゃない雷鳥も新型へ 今後3年200億円かけ朝日新聞、2008年01月24日

「485系」の使用期間平均は32年で老朽化が進み、利用客からほかの特急車両と比べて設備が古く乗り心地が悪いとの苦情もあった。
特急「雷鳥」に新型車両、485系は廃車へ JR西日本産経新聞、2008.1.24


 ついに「雷鳥」485系取り替えのニュースがきたか。
 ここ十年、そろそろ消えるんじゃないか、もうヤバイんじゃないかと、北陸に行くとき、わざわざ「サンダーバード」じゃなくて「雷鳥」を選んだことが何度もありました。でも、そんな酔狂なマネをするのはマニアぐらいで、フツーの人は「えーっ、古いヤツなの」って思っているに決まっている。実際、ホームに列車がやってきたとき、そうしたボヤきや溜息を何度も聞いてきました。とにかく、あまりにも遅すぎるよ。投入時期が。
 ご存知の方も多いと思いますが、この485系シリーズ。原型となる481系が最初に投入されたのは、この大阪と金沢を結ぶ「雷鳥」だったわけです。1964年、東海道新幹線開業の年です。その後、湖西線を通るようになった1975年前後に485系も陣容に加わったのです。
 JR化後、681系が投入されましたが、置き換わったのは半分程度。2001年から683系が入ってきたので「ようやく『雷鳥』から消えるのか……」と思っていたら50両ぐらいで投入は終わって、先に「しらさぎ」の方が全て新車に置き換えられる。さすがに「2007年の敦賀直流化を目処に新型特急車を入れるんじゃないの……」とかイメージしていたのだけど、昨年は全く音沙汰なし。いろんな意味で驚かされました。
 いまだに向日町に485系90両が健在。毎日、無印「雷鳥」として、北陸本線を8往復(ほか臨時多数)闊歩しています。
 もう、このまま2015年開業と報道されている北陸新幹線開業まで酷使し続けるのかな……と思っていたら、ようやく、新車投入のプレスリリース。
 しかし、来年から置き換えから始まって2011年春までかかるのか。気の長いことです。最初期の車両だと40年近く行き続けると言うことになるんだろうか。先日、「意表を突いた「北斗星 夢空間」の3月廃止 - とれいん工房の汽車旅12ヵ月」で書いた「北斗星 夢空間」なんて登場して20年弱、ほとんど活躍らしい活躍をしないまま"引退"って報道されている。なのに、JR西日本は「雷鳥」を2011年まで使い続けると言う。
 JR西日本の物持ちの良さは、他の形式を見てもいろいろ分かります。

  • "環境に優しい"という触れ込みで103系を40年使用に耐えられるべく体質改善を施す。それを3年前の加古川線電化でも続ける。なのに、N体質改善40N工事がなされていないクハ103-1や2がいまだに現役で活躍中
  • 天王寺駅阪和線ホームでは頭端式ホーム103系が3編成並ぶという珍シーンもいまだ見られる
  • さらに、2008年3月に開業する新線、おおさか東線にまで103系を導入??
  • 419系はいまだに北陸本線で健在。元の583系として登場して35年以上、近郊化改造されてからでも23年も経つのに、この春、クハ419に前面改良を施したタイプがまだまだ登場しているらしい。新幹線開業まで使う気なのか。80年代の鉄道趣味誌に"国鉄民営化まで暫定的に5年ほど使う"と書かれていたのを私は忘れない(^^;)

  • 福知山・山陰本線では485系から交流機器を外した"パチモン"183系が特急車として活躍中。「くろしお」・「雷鳥」・「スーパー雷鳥」・「しらさぎ」のお古だけど、485系雷鳥」亡き後もまだまだ頑張るのだろうか

  • やはりなんといっても凄いのは園部・篠山口〜福知山〜城崎間を行く113系3800番台。あの超安上がり改造を受けた先頭車は、関西のマニアに深い衝撃と哀しみを与えた。カネがないというのは理解できるとは言え、あのデザインと塗装はないだろうに


 山陽夜行より先に廃止すべきだ489系「能登」。113系485系の廃品を付けて投入した七尾線415系。地元がカネを出さないならいつまでも使うのか181系はまかぜ」。東京では全滅するのにまだまだ新車の扱い関西本線201系……などなど。そこらは「「関西国電のエース」117系と国鉄型車両。 - とれいん工房の汽車旅12ヵ月」「鉄道整備にカネを出す自治体。無関心な自治体。 - とれいん工房の汽車旅12ヵ月」にも書いたので今日はここまで。他にも挙げていくとキリがありません。
 でも、その割には寝台客車は3月の改正ですっぱりと淘汰してしまうんですね。利益が出ないところからはすっぱりと足を洗うというのは、ある意味では潔い。
 その寝台車の廃車分。今週からタイへ運ばれているようです。

 JR西日本は、使わなくなった車両を赤字で車両数が不足しているタイの国鉄に輸送するため、21日夜〜22日早朝、山口県下関市東大和町2丁目の下関地平コンテナ基地から計8両の列車をトレーラーに積み込み、下関港へ輸送した。
寝台特急「あさかぜ」、タイへ朝日新聞、2008年01月23日

 交通新聞ニュース抜粋版2008年01月24日号によると、譲渡されるのは2005年に廃止された「あさかぜ」用24系寝台28両、そして「彗星」用14系寝台車4両とのこと。これで4度目になるとも聞きますが、正直、昨年や一昨年にバンコクへ行った限りではあまり有効的に活用されているようには見えなかった。
 ちなみに毎日新聞雑記帳:「あさかぜ」などの客車をタイへ/JR下関駅で積み込み作業」は、

タイ国内は鉄道より長距離バスが主流。客車はいずれも約30年を経た“ベテラン”ぞろいだが、社員らは「バスに負けず頑張ってもらいタイ」ともう一働きを期待している。【取違剛】

と締め括っている。誰がダジャレで記事を締めろと言ったんだ……と小一時間問い詰めたくもなったのですが、それはまた別の話。