「ムーンライトながら」廃止か。オフピークには1両にヒト桁程度しか客は乗ってないからねえ……

 東京―大垣駅岐阜県)間を結び、かつて「大垣夜行」と呼ばれたJRの夜行快速「ムーンライトながら」の毎夜運行が今年度末で終わる可能性が強まっている。JR東日本JR東海が取りやめの方向で検討しているからだ。
夜行「ムーンライトながら」臨時化へ 18きっぷで人気朝日新聞、2008年9月1日

 「大垣夜行、そろそろヤバいんじゃないの」と、もう平成になった頃からずーっとマニアの間で言われてきたネタ話がようやく本決まりになりそうです。
 この手の話、毎年秋や冬になると、事情通という人がまことしやかに語っていました。合理化で今度こそマジで消えるって。でも、JR東海も東日本もそこまで至らず、1996年に新車を投入し、後に臨時を特急車に置き換えた。
大垣夜行最後の日。「ムーンライトながら」最初の日。 - とれいん工房の汽車旅12ヵ月
 そのままのらりくらりと残すことになるのかなと思っていたけど、唐突に記事が出ましたね。ネタ元は関係者。まあ確定でしょう。
 この記事、指定席化と時刻変更の話があるのでそれで客が減ったとも読み違える方もいらっしゃるようですが、ちょっと本筋とは違う話でしょう。
 僕が反対する気にならないのは、以前からオフシーズン。すなわち18きっぷシーズン以外の大垣夜行→「ムーンライトながら」を何度も見て、利用しているから。特に名古屋在住時代は、18きっぷシーズン以外に、上りで東京駅に出て、朝イチに東北へ向かうと言うことを何度かしていました。
 正直、1車両にヒト桁とか、静岡を過ぎると少ないときは2、3人とか、そんな悲惨な状況なんですよ。
 それは東京・関西4000〜5000円の格安の夜行バスが走り出すはるか以前からそうでした。90年代前半でも熱海〜豊橋間は1両に10人いたかどうかという状況でした。
 みんな、18きっぷを使ってでしか乗らない。その時期のことしか知らないから、話がややズレてくる。東京から関西だと片道9000円前後の乗車券をマジ買いしてまで座席夜行に乗らないんですよね。
 オフ時には、下りは東京発の、上りは名古屋発のホームライナー的な使われ方をしています。特に、上りが名古屋に到着する前には、JR東海の社員がコンコースやホームに臨時の出店を出して、一枚300円の指定券を岡崎方面へ帰る通勤客に販売している。かなりのスタッフが携わっていますよ。で、意外にこれが売れていて、7割とか座席はそれなりに埋まる。
 でも、それは蒲郡まで。豊橋でほぼ全員が降りて、そこから先は……という感じなんです。一度、ヒマなときに数を数えたことがあるのですが、9両で30人しか乗っていないときもありました。まあ、そういうものです。

 だから、大垣夜行→「ムーンライトながら」は、外因で消える、あるいはJR東海や東日本がやる気がないからと話を単純化はできない。1年のうち、18きっぷピーク以外の8ヵ月の使命はすでに終えていたと言った方が正しいのかもしれない。
 「旅情がなくなる」とか「鉄道旅行文化を残せ」とか感性で廃止反対を訴えるなら、18きっぷシーズン以外にも、せいぜい使って「乗って残そう運動」でも展開するしかない。期限が切れる9月中旬以降も、静岡県内でも座席が7割ほど埋まっていたら、JR東海も東日本も対応を変えるでしょう*1。もちろんきちんとした運賃を支払ってでの話。
 オフの惨状を知った上で、そこから議論を始めないといけないんじゃないかな。で、両社がやれることはそんなにない。
 「盆や正月など乗客が多い時期だけ運行されている臨時列車は残る方向」とあるので、臨時列車としては残るらしい。
 18きっぷシーズン全体なのか、もっとシーズンを限定するのか。183系利用の臨時運用だけじゃなく、本列車のスジも残すのか(夜行1往復だけじゃ輸送力不足)。いろいろ想像はできますが、まあそれはそれ。2009年春が最期の時になるんだろうな。
 昨年秋の朝日新聞は「富士」「はやぶさ」の廃止も報道しています。これから、80年代の鉄道ブームが、国鉄解体と青函連絡船・ローカル線の廃止で終焉したのと同様の道を辿るのかなとも思ったりもしたのですが、それはまた別の話。<参考>
「富士」「はやぶさ」「銀河」「なは」「あかつき」が廃止されるという記事 - とれいん工房の汽車旅12ヵ月
寝台特急が生き残る方法を淡々と考えてみる - とれいん工房の汽車旅12ヵ月
夜行特急「まりも」が9月いっぱいで廃止 - とれいん工房の汽車旅12ヵ月
かつて北海道に憧れた鉄道マニアと夜行列車の全廃 - とれいん工房の汽車旅12ヵ月

*1:そんなことはないという前提ですが