「JTB時刻表」の発行部数は10.8万部にまで落ち込んでいるらしい

katamachi2012-06-08

 さあて、時刻表、夏ダイヤのヤツを買おうかなあ……と思って調べていたら、3ヶ月前のこんな記事が出てきた。

 近年はインターネットで簡単に時刻が調べられるため、時刻表の発行部数はピーク時の15分の1以下の10万8000部(11年)に減少した。
松ケン&瑛太が時刻表表紙に登場日刊スポーツ2012年3月18日

 2012年4月号の『JTB時刻表』の表紙が、映画『僕達急行 -A列車で行こう-』とタイアップしましたという映画宣伝も兼ねた記事である。
 伝統あるって交通公社の時刻表が映画の宣伝って……え????
……という話をしたいのではない(アレな表紙の999号もあったし)。
 注目したいのは、時刻表の発行部数が「10万8000部」になったという点である。
 これ、2011年の平均か、あるいは最も売れた号=3月号の部数かは分からないけど、おそらく月によって10万部を割っているんだろうな。34年間、『国鉄監修 交通公社の時刻表』時代から使い続けた身からすると、かなり寂しい数字である。
 というようなことを、先日、高校鉄研の時の友人としていたら、
「じゃあ、今、『JR時刻表』と『JTB時刻表』、どつちの部数が上なの?」と尋ねられた。
 確か、今は『JR』が逆転したはず……と答えたんだけど、ちょっと曖昧だったんで、今回、改めて調べてみた。

JTB時刻表 2012年 04月号 [雑誌]

JTB時刻表 2012年 04月号 [雑誌]

 2009年の中日新聞「JTB時刻表1000号発売 1925年創刊」にあるように、「ピーク時の86年には約200万部を記録」していたん。これは国鉄最後のダイヤ改正のあった1986年11月号のことである。
 1987年4月号以降、『JR時刻表』が登場し、JR各社や関連会社、日本旅行などが同時刻表を使用し始める。いつしか部数は互角になってきたと聞いている。「最近はインターネットの普及などで、発行部数は約15万部に落ち込んでいる」という状況も説明する必要もないだろう。カネを出さなくても時刻や運賃を調べることは可能になった。
 時刻表が売れなくなった理由としては、

  • 出版業界・旅行業全体の低迷による売れ行き減
  • インターネットで時刻・運賃計算がラクになったことで重要度が薄れた
  • 1987年から登場した『JR時刻表』が新たなライバルとして出現

という事情があることは想像できる。
 JTB時刻表派としては、

  • 「時刻表」と言えば、問答無用に日本交通公社JTB
  • JR時刻表」の前身である「大時刻表」ってアレだったし、そもそも本屋で見なかった
  • なのに、分割民営化時、交通公社の時刻表のサイズやレイアウトをそのまパクって「JNR時刻表」・「JR時刻表」にしたんだよなあ
  • 後発組でマネした割には表紙も中身もイマイチ。あの本文の赤字がダメなんだよなあ

とか、いろいろと言いたいことはある。

JR時刻表 2012年 04月号 [雑誌]

JR時刻表 2012年 04月号 [雑誌]

 ただ、それは40歳超えのおっさんの戯言に過ぎないのかもしれない。
 ナウなヤングに聞くと、

ということになるみたい。1987年春以降、JRの各駅においてあるのは「JR時刻表」。そうなっていくのも当たり前なんだろう。
 実際、鉄道研究会の後輩たちに聞いてみても、10・20歳代、30歳代前半くらいは「JR時刻表」派がほとんどだ。
 昭和の時代から時刻表を使っていた50〜60歳代。確かに「JTB時刻表」派が多いんだけど、30・40歳だと「JR時刻表」への鞍替え組もそれなりにいる。これからは、「JR時刻表」が定番となっていくのだろうか。実際、本屋で山積みされている量も「JR」の方が多くなっている。「JTB」派としては正直、残念だ

JTB時刻表 2009年 04月号 [雑誌]

JTB時刻表 2009年 04月号 [雑誌]

JR時刻表」vs「JTB時刻表

 さて、雑誌の発行部数といっても、以前はその多くが「公称」であって、実際の印刷部数・発行部数とかけ離れているケースが少なくないというのは周知のことだと思う。
 そんな中で、信頼に足る数字であるとされているのが、日本雑誌協会の「雑誌各種データ> 印刷部数公表」

で、雑誌協会の加盟誌を「印刷証明付き」で年4回(3ヶ月単位)で公表されている。印刷工業会が公表する雑誌の印刷部数証明を元にしており、実売部数とは異なるとはいえ、印刷部数はこれで把握することが出来る。
 で、同協会のサイトで検索すると、『JR時刻表』の数字が出てくる。2011年10〜12月の平均発行部数は111,724部。
 最近の数字を比べてみると、

  • 2008年4〜6月 161,770部
  • 2009年4〜6月 141,237部
  • 2010年4〜6月 129,120部
  • 2011年4〜6月 108,800部

と、この3年間で33%減。落ち込みは激しい。
 もっとも、2011年1〜3月は165,814部、ともう少し数字は良い。2012年1〜3月でも145,950だ。
 年間で最も売れるダイヤ改正号=3月号が含まれているからだろう。3月号は今でも単月25万部ぐらいは出ているのだろうか。
 ただ、『JR時刻表』も十数年前までは月100万部とか70万部とか公称していた。http://www.md-navi.jp/media/150612/index.htmlだと「70万部」とあり、「時刻改正時の売上部数は120万部」とされている。今はその2割ぐらいになるのか。


 そして、ライバル『JTB時刻表』は……
日本雑誌協会のサイトを探してみたのですが、どこにも出てこない。今春、サイトをリニューアルしたみたいで、以前、調べたときはきちんと部数が出ていたんだけど公開しなくなったのか。
 仕方ないんで、以前の公表データ(あるいはデータ誌そのもの?)を採録しているっぽいサイトを調べてみると、

あたりが出てきた。僅差で『JR』の勝利か。
 あと、やはりここのデータをそのまま紹介しているサイトの数字を見ると、

  • JR時刻表 167,933
  • JTB時刻表 146,375
  • 小型全国時刻表 150,000
  • 全国版コンパス時刻表 150,000
  • 携帯全国時刻表 100,000
  • 東京時刻表 50,000
  • 文字の大きな時刻表 50,000
  • 九州版小型時刻表 30,000
  • 道内時刻表 30,000

というあたりが出てくる。2009年あたりのデータだと思うが、この時点でも「JR」が「JTB」を上回っていたようだ。
 「『コンパス時刻表』、本家に匹敵するほど売れているのか……」と思ったが、『JR時刻表』は印刷部数証明付きの部数で、他は「公称」だったようだ。実数はその半分ぐらいか。
 と、2012年現在の正確な勝ち負けを判断できる数字が見あたらなかったので、両時刻表に関する話はおしまい。

全国版 コンパス時刻表 2012年 04月号 [雑誌]

全国版 コンパス時刻表 2012年 04月号 [雑誌]

 しかし、今って時刻表には大変な時代だよな
 この10年、「乗り鉄」と言われるタイプの鉄道旅行好きでも、時刻表を持たなくなってきた。1000ページを超えてかなり重くなってきた、かつ嵩が張るんでカバンに入れるには邪魔になってきた。旅先に持参するのは大変だ。必要なページだけコピーすれば十分。あるいは、携帯しやすい中型サイズの時刻表に変えた人も多い。
 それよりなにより、携帯やスマホがあれば簡単に時刻を検索できる。掲載のない私鉄の駅やバスの時刻も会社のホームページを経由すれば簡単にわかるようになった。かくいう私も出張の時はYahoo!の路線情報で検索し、それを印刷するだけだ。個人的な旅行へ出かけるときも、時刻表を持たずに済ますようになった。
 でも、ダイヤ改正号の変更具合をじっくり眺めるには冊子の方じゃないと面白くない。どこの駅で交換するのか、追い抜きするのか、紙媒体の時刻表だからこそ読み取れる情報もたくさんあるんですよね。
 「駅すぱあと」が登場した十数年前から脱紙媒体になってくる傾向があったけど、この数年でさらに加速してしまった。冊子の形でこれからもきちんと販売されるのだろうか。
 紙媒体の時刻表といえば、一昨年から「トーマスクック」時刻表の世界版(overseas)は休刊されてしまい、海外鉄道好きにとっての楽しみがまた一つ減ったのだけど、それはまた別の話
駅すぱあと(Windows)年間サポート付2011-2012

駅すぱあと(Windows)年間サポート付2011-2012

Thomas Cook Overseas Timetable - Winter 2010-2011: Surface Transport Schedules for Africa, Asia, North and South America and Australasia (Thomas Cook Rail Guides)

Thomas Cook Overseas Timetable - Winter 2010-2011: Surface Transport Schedules for Africa, Asia, North and South America and Australasia (Thomas Cook Rail Guides)