今度は南阿蘇鉄道でもDMVか……

katamachi2006-12-05

 国土交通省九州運輸局のHP(http://www.qst.mlit.go.jp/press/pdf/press061129_1.pdf)を見ていると、こんなプレスリリースが載っていました。2006年度後半の案件として、「南阿蘇地域における新交通システムDMV)導入による公共交通活性化に関する調査」を行うということです。
 南阿蘇鉄道は1986年に国鉄から経営移管された第三セクター鉄道です。他社と同様、利用者は減少しており、先行きは不透明。そこで、2011年春ぐらい全通する(あと4年か……早い)九州新幹線にあわせて新幹線駅と阿蘇地域を結ぶ交通機関を充実させたい……というのがその趣旨らしい。
 ちなみに、DMV*1とはマイクロバスの改良型のことで、道路だけでなく鉄道の線路の上を走ることもできるというのが最大の特徴。
 現在、予定されている鉄道、導入の可能性について検討した鉄道としては、

が挙げられています。2007年春に予定されている釧網本線での営業運転は各方面で注目されているようですし、先月(2006年11月)に岳南鉄道で行われた実験は関東方面のマスコミで大々的に取り上げられていました。
 ここ7、8年ほど、「社会実験」と称して各地で「調査」が行われていますが、なんだか尻すぼみに終わっているプロジェクトも少なくありません。この南阿蘇鉄道絡みの企画でも「DMV導入の条件の整理と課題解決策の検討」や「実証実験に向けたルートの検討」などをするだけなので、調査→即実現というわけではないようです。
 DMVにより期待する効果として、「バスと鉄道の乗り換えなしの移動」がよく掲げられます。ただ、なぜバス路線と鉄道線とを直通させねばいけないのか。なぜ鉄道を廃止して、バス路線に転換するのではダメなのか。そこらの根本的なところがまだ未解決のような気がします。「地域の鉄道を残したい」という願いは分からないわけではありませんが、採算や将来性を度外視した計画は長続きせず、地元に禍根を残すだけ。国鉄の廃止対象線をなんでもかんでも第三セクター鉄道として残そうとした20年前の熱狂(そして、資金を使い果たしてしまった現況)を思い起こさせてくれます。
 でも、「DMV」と横文字にすると、なんだか未来の夢の交通機関っぽくにも聞こえて、格好良く見えるのですよね。どーせ導入を推進しているのはアポロ計画とか大阪万博とかに盛り上がっていた世代なんでしょう。たぶん。そうした横文字表記で、理念だけが先行していて、鉄道マニアと研究者の間ではそれなりに盛り上がっていて、でもイマイチその中身や目的が分かりづらく市民の間では浸透していない鉄道系のプロジェクトというと、LRTを思い出すのですが、それはまた別の話。

*1:デュアル・モード・ビークルDMV)とは(国土交通省資料より)○ DMV(Dual Mode Vehicle)は軌道と道路の両方の走行が可能な車両であり、JR北海道において技術開発が進められている。その特性として駅での乗り換えなしに目的地へ行くことが可能であること、鉄道と比してイニシャルコスト及びランニングコストが大きく削減できること等があるため、地域の鉄道、バスの交通ネットワークの維持や公共交通の活性化に資する新たな地域の足として期待されている。