群馬県川場村を走るD51

katamachi2006-12-19


 鉄道のような鉄道、すなわち遊覧鉄道についてまとめた「遊覧鉄道に乗ってみたい!」という本を編集しているところです。冬コミあわせで印刷に出す〆切は今日だったのですが、編集作業は84ページ中、25ページまでしか終わっていないので間に合いませんでした。ここから何日延ばせるのかが勝負です。
 そんな、遊覧鉄道に関する記事が以下で出ていました。

 日本一短い距離を走るSLとして復活 群馬・川場村

群馬県川場村で展示されてきた蒸気機関車D51」(通称・デゴイチ)が16日、約30年ぶりによみがえった。地元住民ら約300人が見守る中で試運転が行われ、深い山間に汽笛が響いた。

 群馬県上越線沼田駅の近くにSLホテルがあるとは記憶していましたが、すでに80年代に営業を取りやめていたと思いこんでいました。B寝台のナハネ20に宿泊するということコンセプトがもはや時代にそぐわなくなっていた。でも、川場村武尊高原の施設は今でも「ホテルSL」と名乗っていたのですね。経営主体は村の観光開発公社ということなので、過疎地でよく見かける温泉付きの公共宿舎なのでしょう。
 そんなフツーの自治体が蒸気機関車を復活させる…… やっぱり常識ではあり得ないことです。特にD51のような大型テンダ機はボイラーや足回りの調整に巨額な費用が必要で、JRのような鉄道事業者でも改修、そして維持管理を継続するのは難しい。函館本線の山線区間で「ニセコ号」を引いていたC62-3も本線走行は8年ぐらいで終了しました。
 どうやって復活させたのだろうと記事を読み進めると、注目すべき点を見つけました。

石炭は使わず、蒸気の代わりにエアコンプレッサーの圧縮空気で動かす方式で、150メートルの軌道上を走る。同村では「日本一短い距離を走るSL」とPRしている。

 蒸気機関車の駆動装置として、ボイラーで石炭を炊いて蒸気で動かすのではなく、コンプレッサーで稼働させていくとは……バッテリーやガソリンで動く「SL」は国内あちこちに存在していますが、空気で動く鉄道車両は見たことがない。常識を覆すようなアイデアに驚かされました。
 関係者の方のブログ「ホテルSL デゴイチ日記」を見ると、今年9月から錆び落としを始め、11月末に塗装。12月11日に空気圧縮機と調圧器の整備をして、一週間も経たず17日に動かせるまでにしたと言うことらしいです。そんなに簡単に動くものなんですね。ここに稼働した17日の写真がたくさん貼り付けられていますが、なんだか楽しそう。わずか150mとは言え、足回りは大丈夫なのか。安全性はどうなの?と思ったりもしますが、ぜひ乗ってみたい。
 もっとも、いつ走っているのか、どうやって乗るのかという基本情報がホテルの公式ホームページにはどこにも触れられていないのはどうだろうと思ったりもするのですが、それはまた別の話。