川島令三にも忘れられたJR姫新線で高速化工事がスタート
JR姫新線の利用促進に向け、レール改良工事など高速化事業の起工式が二十八日、たつの市龍野町中村のJR本竜野駅構内であり、工事の安全を祈願した。高速運転の開始は二〇〇九年度の予定。記念式典もあり、JRや県、地元市町、工事関係者ら約百人が着工を祝った。高速化事業は、姫路-上月駅間の五〇・九キロで、高性能のディーゼル車両を運行し、所要時間を十八分短縮する。
工事では、レールの枕木をコンクリート化し、内側と外側の高低差(カント)を修正するなどの改良を加える。単線の行き違い時に安全を確保するための側線を駅に設け、運行を集中制御するシステムなどを導入する。JRと県、沿線市町が約八十億円で整備する。
2007/07/29 神戸新聞「姫新線高速化へ起工式 09年度に姫路-上月間」
本当に姫新線の高速化工事が始まったんですね…… JR西日本はどんな車両を入れるのだろうか。分割民営化以後、同社の普通用気動車の新車はほとんどキハ120でした。まあ、わざわざ「高性能」と銘打つわけだし、さすがに一両あたりの単価が8000万円ぐらいのキハ120はないだろう。ばしっと、JR東日本キハE130系とかJR四国1500形とか、車体だけでもイイやつを入れて欲しいものです。
以前、自治体は電車の運行を求めていたわけです。県内では、震災後、加古川線と播但線(と和田岬線)の電化が行われましたしそれに続こうとしたわけです。一方、兵庫県庁は高速化を推進してきた。施工の問題とか費用対効果もあったのでしょうか。
- 姫新線姫路上月駅間電化促進期成同盟会
- 近畿運輸局近畿地方交通審議会答申8号※路線の機能の向上に資する事業「電化」姫新線
- 兵庫県ホームページJR姫新線利便性向上対策事業
期成同盟会のデータを見ていると、意外……と言ったら失礼ですが、姫新線の運輸成績って悪くはないんです。1965年に年間588万人いた姫新線乗車客が、1985年に274万人と半減している。それは大阪から津山や鳥取へ行っていた急行「みささ」、「みまさか」の利用者が高速道開通で激減したこともあったし仕方がない。でも、その後90年代は微増して2000年でも271万人のお客さんがいる。この15年間、学生さんが減ったことで地方ローカル線の利用者は2割とか3割減が当たり前なのと比べると、よく頑張っている方だと思います。
実際、本竜野から姫路の間では朝20分毎、昼30分毎の運転でもそれなりにお客さんは乗っているようです。播磨新宮とか上月に行く列車は数年前に減便されてしまいましたが、今回の改良工事で利便性が向上するとイイですね。
マニアにも印象が薄い姫新線
10年ほど前、北海道のユースホステルで関東から来た大学生と話した時のことです。彼は鉄道マニアで、いまJR全線完乗を目指しているんですよ……ということでした。「北海道と九州はほぼ終わったんですが、JR西日本の近畿地方と中国地方の区間はまだなんですよ。あまり印象がいないというか、興味が沸かないんですよね。」と素直な感想をおっしゃっていたのが印象的でした。
「ほら、大阪に何か最近新車が入った路線がありますよね。えーっと確か学園都市線。」
「それは札沼線のこと。JRは学研都市線と呼んでいるよ。片町線が正式名だけど。」
「あの線なんて何が楽しいんですかね。ああいうのを乗り潰すのって関東の人間には辛いんですよ」
そーか。オレが片町線の沿線に住んでいる(当時)ってのを伝えていなかったか。いやあ、マニアだけでなく大阪府民の間でも印象は薄いし、ダメダメ路線というのを認めるけど、オレは大好きなんだけどなあ。
で、そんな彼が、日本で一番魅力のない路線と断言したのが姫新線でした。数ヶ月前に乗ったらしいけどずっと車中で寝ていたと。
ううう、そう言われると反論しづらい。
曾祖父が龍野市に住んでいたんで幼少期から何度か行っているけど姫新線を利用したのは一度だけ。あとは姫路駅か竜野駅からクルマで移動しました。趣味で利用したのも乗りつぶしで高校時代に一度だけ。そーいやオレもその時の印象がほとんど残っていない。古めの駅がいくつかあったのと、上月駅で運用系統が切れていて2分ほどの短時間で乗り換えさせられるのが面倒だと思ったぐらいか。日本一魅力がないとは言えないけど、印象が薄いのは確か。でも、あんたの住んでいる●▲線の方がよっぽど地味じゃないの……とか思いつつ、テキトーに相槌うちながら彼の鉄道旅行話を聞いていました。
意外に旅情はあるし、楽しみどころは多いですよ
今回、おそらく人生で初めて姫新線のことを真剣に考えてみたのですが、JR化以後、ここの線が鉄道マニアの注目を浴びたのって、ほとんどなかったんじゃないでしょうか。今でもキハ47+キハ120と地味路線を行く車両しか走っていない。タイトルに「川島令三にも忘れられた」と入れたのは、昨日ちょうど本棚を整理していて、「全国鉄道事情大研究〈神戸篇〉」を見つけたんで姫新線の項を調べてみようと思ったら、播但線や山陽本線の竜野、相生方面は載せているのに*1姫新線は割愛されている。語るほどの路線ではないということか。ていうか、たぶん開業時点に遡ってもなにか印象的な話を思い出せない。新宮軽便鉄道(播磨電気鉄道播電鉄道)との関係とかぐらいか。蒸気機関車の撮影名所になった場所とかあったのだろうか。
唯一、思い出せたのが1989年の急行「みささ」「みまさか」の廃止。消える直前に姫路〜大阪間に乗ったのですが、さほど混んでいませんでした。この段階では北近畿・山陰行き急行はそれなりに残っていたし、ブームになると言うところまでには至らなかったと記憶しています。
最近だと「はばたん列車」か……。たつの市のホームページで「はばタン列車時刻表」が記載されています。写真はここ。でも、あれは2006年の兵庫国体で人気を集めたキャラをボディペインティングしたのであって、地元の方には人気を集めているんだろうし、私も一度ぐらいは見に行きたいけど、撮影好きのマニアの触手は伸びないんじゃないだろうか。
で、ここ5年ほどは趣味活動とかプライベートとかで何度か姫新線に乗りに行っています。姫路〜津山間はほぼ全駅に乗降してきました。
個人的には、あのオレンジの塗色がお気に入りなんです。「赤とんぼ」の作詞家である 三木露風がたつの市出身であり、それをイメージしているんですね。トンチンカンな塗色が多いJR西日本の気動車ではマシな方だと思います。それと、各駅に戦前の標準型タイプの駅舎がたくさん残っていると言うこと。かつてキハ58系の急行が行き来していた頃のイメージがそのままになっているんです。高速化工事と並行して自治体負担で駅舎は建て替えられてしまうのだろうし、ぜひ皆さんも行ってみてください。
で、気になるのは上月以西の岡山県区間。ここらはどうするんだろうとも思うのですが、それはまた別の話。