13泊14日間7189km、片道110万円の豪華列車の旅
ロボス・レイル社の豪華列車「プライド・オブ・アフリカ号」に乗車し、ダルエスサラームまで7,189kmの優雅で快適な列車の旅を楽しみます。
ケープタウンからカイロへ 7カ国を歴訪する列車と空と船の旅 アフリカ大陸完全縦断の旅36日間。2008年1月29日(火)〜2008年3月4日(火)、読売旅行社のホームページのキャッシュ
南アフリカのケープタウンからタンザニアまでアフリカを縦断する直通列車があります。年に一度、南アの旅行会社、ロボスレイル(ROVOS RAIL)が「プライド オブ アフリカ」を使って運転する特別列車です。あのブルートレインよりも格上の車両として知られています。
日本でも読売旅行社がこの列車を使ったツアー募集していたのですが、さっきホームページを見ていたら、すでにサイトは消されていました。もう満員になったのかなあ。ツイン利用だと1人あたり490万円、シングルでの参加だと590万円になります。往復にビジネスクラスを使うと+37万円かかりますが、これぐらいの追加料金はもはや端金に見えるから不思議なものです。
南部アフリカおすすめの旅その2 世界一の豪華列車で優雅な鉄道の旅 / 2010年ワールドカップ・イヤー 今こそ南部アフリカへ | 地球の歩き方ガイドブック
一昨年、南アフリカ、ヨハネスブルグの民宿(バックパッカーズ)でこのロボスレイルツアーのパンフレットが置いてあって、一泊600円の安宿でこのパンフは目の毒だよなあと溜息をつきつつページを捲っていたのを思い出します。でも、こんな列車、世界の鉄道大好きって人ならば誰もが憧れますよね。走行距離は北京〜満州里〜モスクワの列車より短いですが、5カ国直通、超豪華車両、年イチ運転、一部でSL運転などオタク心をくすぐる希少価値性がたっぷりあります。
ロボス・レイル社のホームページを見ると、来年6月のツアーの紹介がありました。
- 2008年6月28日11h00ケープタウン駅(南アフリカ)発→6月30日11h30プレトリア駅着→7月5日11h00ヴィクトリア・フォールズ駅(ジンバブエ)着→7月11日10h00ダルエスサラーム・タザラ駅(タンザニア)着
- 通常、南アフリカ国内のケープタウン〜プレトリア間、たまにヴィクトリア・フォールズへ行く程度だが、年に一回7月前後には長躯、タンザニアまで14日間7189kmを直通する。来年は1月にも実施するらしい。
- 経由国は南アフリカ、ボツワナ、ジンバブエ、ザンビア、タンザニアの5ヶ国
- いずれも軌間は1067mm(1065mm)に統一されているので直通運転は可能(タンザニアの他の鉄道とケニアは1000mmなので乗り入れできず)。もともと宗主国だったイギリスが植民地時代に南ア・ローデシアに引いた鉄道網を活用する。
- ザンビア・NEWカプリムポシ駅〜ダルエスサラーム・タザラ駅間は70年代に中華人民共和国の手で敷設されたタザラ鉄道(タンザニア+ザンビア両国の共同運行)に乗り入れ。
- タンザニアの後は、Rovos Rail社のオプションツアーに参加する形で、タンザニア・ンゴロンゴロ自然保護区*1 、スーダン・ハルツーム*2、エジプト・ルクソール……を専用機で移動することになるらしい。
- 肝心の列車だけの値段は、
TRAIN TOUR PRICE per person sharing includes accommodation, meals and excursions during the train journey, as well as alcoholic beverages whilst on board the train
PULLMAN SUITE US$6850 SINGLE SUPPLEMENT US$ 2400
DELUXE SUITE US$ 9800 SINGLE SUPPLEMENT US$ 3500
ROYAL SUITE US$ 12800
ということ。
安い方のプルマン・スイートで1人80万円(2人利用)、シングル利用だと1人110万円か……。エミレーツ航空の格安航空券で往復してケープタウンとダルエスサラームで安宿に泊まっておけば、1人参加でも総額140万円程度で抑えられるか。読売旅行社のツアーよりは現実味のある数字ですが、ただ、決してこれで収まらないんだろうな。ああ、夢のある話です。
世界的な兆候ですが、アフリカ南部でも鉄道網の衰退、設備の劣化は進んでいます。2005年秋にケニアのナイロビからここらの国を鉄道で移動してケープタウンまで行きましたが、ヨハネスブルグ〜ハボロネ(ボツワナ)間、フランシスタウン(ボツワナ)〜ブラワヨ(ジンバブエ)間、ビクトリアフォールズ(ジンバブエ)〜リビングストーン(ザンビア)間は定期列車が走っていないんです。バスorタクシーブルース(日本のハイエースを使った乗り合いミニバス)に乗らざるを得なかった。
このルートで比較的元気なのはタンザニアとザンビアを結ぶタザラ鉄道。週に2本の直通列車はほぼ満員の状態で動いていました。あとは日本よりムーディーズの格付けが上となって話題となったボツワナの幹線区間(1路線で昼と夕に1往復のみですが)ぐらいです。タンザニアとザンビアは鉄道施設の劣化が進んで首都と地方都市を結ぶルートは運休状態で、週に2〜3本運転されている区間でもダイヤの混乱が多発しています。ボクが乗った列車だとタンザニアの列車は14時間遅れ、ザンビアでは当日運休でバス強制代行って感じでした。あの南アフリカでも都市近郊のメトロは設備不良と治安悪化で荒廃が進んでいるし、[長距離旅客列車の運転本数は幹線ルートでも週に3本とか5本とか大幅に削減されています(南アフリカSpoornet)。
旅客鉄道輸送という点ではアフリカ南部の鉄道はほぼその役目を終えつつあるのですが、それでも「プライド・オブ・アフリカ号」のような列車もある。その違いが露骨すぎて驚かされてしまいます。
2年前のアフリカ縦断の旅の途中、ジンバブエのビクトリアフォールズで貨物列車の撮影をしていると、突然、豪華列車が出現しました。「ションゴロロ・エクスプレス」(SHONGOLOLO EXPRESS)。係の兄ちゃんに頼んで車内に入れてもらったのですが、ロボス・レイルやブルートレインよりカジュアルなタイプの列車とはいえなんだか凄い世界でした。年1000%とかいう異様なインフレ率で荒廃しつつある国には不似合いな列車だよなあと思いつつ、やっぱ単純に羨ましい、妬ましかったんだろうなということを自覚したのですが、それはまた別の話。
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