深夜の東海道本線で爆音を轟かすナゾの鉄道車両。
私は東海道本線の沿線に住んでいる。
自宅から2分ほど歩けば柵の向こうはすぐレールだ。家の窓からは見えないけど、駐車場に降りれば223系や221系、貨物、キハ85「ひだ」、383系「しなの」、強風が吹けば「サンダーバード」の走行風景も楽しめる。線路から適度に距離が離れているので走行音に苦しめられているわけでもない。走行写真を撮るべき適当な場所がないのが残念だが、マニアとしては相応しい場所だと思う。
深夜になると貨物列車の天国だ。4分間隔ぐらいでEF200牽引のコンテナが東へ西へと向かっていく。電車型コンテナM250系も深夜に通過していく。こいつは他との音が違うので走っていく時間は覚えた。
で、昨晩(11月9日)というか今日(10日)の2:50。なんとなく小腹が空いたので、家から徒歩1分のコンビニへ買い物をすべく扉を開けた。
ところが、今日は、なにか東海道線の雰囲気が変なのである。なにか線路の上で車両が徐行している。信号待ちなんだろうか。よくよく車両のあたりを見ていると、ピカピカ光がでいる。キーン、キーンと奇妙な摩擦音が闇の帳が降りた住宅街に鳴り響いている。とにかくうるさい。異様な光景だ。
遠くから見ると東海道線用のEF200やEF210ではなさそう。重連機関車のように見えるからEH200なのか。でも、中央本線用のロコがここにいるのはおかしい。なんとなくM250系にも見えるが、この時間帯にここを通過しているはずはない。
とりあえずコンビニで珈琲とパスタを買ってきたのだが、レジで温めをしている間も、あのナゾの存在の正体が気になる。店から出てみると、異音と光がさらに激しくなっている。
ご近所の東海道線でなにか一大事が起きているのかもしれない。さっそく小雨の中、傘も差さずに線路端まで近づいてみた。台車周りがバチバチ光っている。何が起きたのだろう。電気機器の故障か??
で、その正体は……
結果から言うと、東海道線の線路で時速10km/hで徐行運転していたのはマルチプルタイタンパーでした。貨物列車運行の合間を縫ってレールの保線をしていたんですね。
これは鉄道車両というよりも、鉄道保線用の特別機械の一種で、通常の列車みたい線路を自走することができる。その上でレールを研磨しながらゆっくりと動いている。鉄と鋼が直接研磨されているから車体の下から閃光と異音が出ているのだ。これで車輪と接触する部分の歪みを補正していたんです。
旅客や貨物を運ばないし、活躍するのは深夜が中心。動いているマルタイを見たことはありますが、実際、深夜にレールを研磨している姿を見るのはこれが始めて。
しばらく闇夜には不釣り合いな光と音を楽しんでいたのですが、そーいえばカメラを持っていない。急いで自宅へ戻って今度はクルマで現場に行ってみたのですが、いつしかマルタイは東側へ移動してしまっていた。
この後、深夜の市街地の道路を東や西に行ったり来たりしてマルタイの"追っかけ"をしていたのですけど、どうも研磨作業自体は3:00で終わってしまったみたい。5分ほど現場作業員が線路の点検をした後、西側へ引き上げていきました。もっと近くでフル稼働している状態を撮りたかったのに、あれれれ.......
結局、鮮明な写真が撮れなかったので、この秋、根室本線にある道内有数の秘境駅、古瀬駅の側線でなぜか放置されていたマルタイの写真を下に載せておきます。さて、JR西は今晩も周辺で作業するのだろうか。駅員さんにでも聞いて情報でも集めようか。でも、オレのデジカメのフラッシュでは夜間はキレイに撮れないよなあ……と限界も感じたのですが、それはまた別の話。