いま日本産の廃枕木がDIY業界で不足しているらしい。
先日の「2007-11-07 鉄クズ用の廃レールの価格が高騰しているらしい。」にコメントをいただいたのですが、2004年に廃止された可部線の広島市内区間16.9kmからは、50kレール(34,600m)、電気ケーブル(35,600m)のほかに、枕木が26,100本ほど売却されることになるらしい。
「へーえ、枕木か……これって、最近、ホームセンターなんかでは2000円とか4000円とかで売っているような……」と検索エンジンで調べてみると、あああ、いろんなところで廃枕木を扱っている店があるんですね。専門の部署や卸を持っているところ、業者オンリーという店もある。
使用例なんかを見ていると、一戸建ての門扉と玄関を結ぶアプローチ部分に使ったり、ガーデニングのスペースをデザインするのに使ったりしているらしい。むかしから鉄道系の廃品の再利用というと、「廃レールを使った文鎮」というマニア以外は歓迎しないだろうアイテム(しかも余剰人員となった国労の人とかをそれに従事させていた……)しか思い出さなかったのだが、いまは用途が広がっているんだ……ちょっと驚かされた。
中古枕木といってもナンデモかんでもいいというワケではないらしい。
- 素材が角落ちして丸みがかっていたり、ヒビ割れ、欠け、腐食、劣化が進んでいるのはダメ
- 防腐加工している
- 長さは2000mm(2m)〜2400mmぐらい。スライスカットした物もある
で、「枕木」でググると、1番目に出るのが「ウッドデッキ・枕木・DIY・ガーデニングのリーベ」という店。千葉県にある業者で、世界各国の中古枕木、新品枕木を扱っている。
えっ?、海外から廃枕木を輸入しているの……「豪州中古枕木 上級」が人気一位???
国鉄の中古廃枕木が「国産アンティーク物」というのか……
ここの店でウリとなっているのは、
リーベの枕木(新品枕木・中古枕木)は、どれも耐久性が有り、腐りにくく、虫も付きにくい枕木ばかりです。オーストラリアでクレオソートを使用していない環境・健康にやさしいアンティーク枕木を直輸入!更に、安心してご使用しただくために、国内で、中古枕木に対し(豪州産中古枕木・特級・上級・中級・カット枕木)環境にやさしい防蟻剤で処理を施しております。
という点らしい。ほかに、コンクリート製の木目調枕木、新品日本製枕木なんていうのもあるが、そういったパチ物は鉄道マニア的にはどーでもイイ。
で、実際に鉄道線として使われた枕木について、いつものようにお値段を調べてみると以下の通りでした。
種類 | 値段 | |
---|---|---|
豪州産中古枕木上級 | 5,380円 | |
豪州産中古枕木中級 | 4,480円 | |
希少!豪州産中古枕木特級 | 7,980円 | |
国産 国鉄枕木(法人向け) | 3,200円 | |
国産地下鉄アンティーク枕木(法人向け) | 840 円 | |
枕木中古スパイク | 315円 |
このうち「枕木中古スパイク」とは、いわゆる枕木をとめる犬釘のことで、「プランターのフックや、水道ホース掛けにいかがですか」ということらしい。
さて、ここのホームページ価格リストを見ると、オーストラリア産は一本単位で個人販売もしているようだけど、国産の"国鉄枕木物"は「これを逃せば2度と手に入らない国産 国鉄アンティーク枕木」ということで、販売相手は法人向けに限定されているらしい。ということは、可部線で供給される2万本以上の枕木なんて業者の間で争奪戦になるんだろうな。でも、くりはら田園鉄道に鹿島鉄道、三木鉄道、島原鉄道……と最近も将来も廃止線は相次いでいるのに供給元が絶たれると言うことはないような気もするけど…… ここらの枕木はあまり状態が良くなさそうだし商売できないと言うことなのか。
むかしは廃材になっていたようなゴミが、アイデア次第で見事に商売となる。枕木なんてただ重いだけで使い物にならず、みんな処分に困っていたのに。「頭がいいなあ」と思うのか「なんでもかんでもビジネスにするのはなあ(-_-)」と思うのかは、それぞれの鉄道マニアの気持ち次第。
注目したいのは「国産地下鉄アンティーク枕木」。値段が安いのは小さめにスライスされているからで、もともとのサイズだと3000円強はするのか。で、この注釈には、
東京の大動脈の地下鉄で使用されていた枕木です。これが地下鉄の枕木としては最後のご提供の機会もしれません。残念なことに、今後は木の枕木で無く、コンクリートの枕木に代わっていってしまうのです。そんな最後の枕木ですから希少性は大です。このチャンスをお見逃し無く!
材質はヒバを中心に東京の地下鉄で使われた材種が混在しております。歴史を刻む縁の下の力持ちが今度は、お庭で大活躍ですね
とある。 いったいどこなんだろうと調べてみると、「丸の内と銀座線の地下鉄中古枕木」とあった(キャッシュで引っかかる)。へえ、営団改め東京メトロの丸ノ内線と銀座線の廃品を使っているのか……凄いなあ。わざわざ「東京の地下鉄」と銘打つことに何の意味が分からないが、「最後のご提供の機会」と聞くと廃線オタク心がくすぐられる。
とにかく、丸ノ内線物ならちょっと1本、買ってみたいとは思うのですが、今住んでいるのは賃貸のアパート。今後、中古枕木をふんだんに使える庭付き一戸建てを建てるつもりも、ガーデニングで実家の庭を飾り立てるつもりも毛頭もないのですが、それはまた別の話。
おまけ
ちなみに、他社も調べてみました。
小林三之助商店(岐阜県岐阜市)
※創業明治41年、枕木生産100年、鉄道省指定枕木業者認定で、「木枕木の取扱数では日本一を誇り北海道から九州まで全国をカバー。日本最大の木枕木メーカー」ということらしい。ホンモノの枕木販売会社なんだね。ガーデニング用に枕木を一本単位から個人販売もしているようだけど値段は書いてなかった。でも新品枕木より中古の方が年輪を重ねた感じがしてイイと思うのだけど。
種類 | 値段 |
---|---|
並枕木特特A | 6,300円 |
並枕木B-B | 2,100円 |
分岐枕木長尺品特A | 6,825円 |
オーストラリア産中古枕木 | 4,673円 |
コンクリート枕木 | 1,050円 |
同じサイズでも枕木の状態で5段階に値段が分かれていた。ポイント部分に使われる長尺物は貴重品らしい。コンクリート物の安さが目立つ。
種類 | 値段 |
---|---|
中国産中古枕木 | 3,150円 |
国産中古枕木 | 3,654円 |
国産新品枕木 | 5,670円 |
オーストラリア産中古枕木 | 4,620円 |
このジャンルでも中国産もあるのか。オーストラリア産は「材質は非常に硬いユーカリ材を使用しております。耐久性・強度が高いため、防腐剤を使用しておりません。」ということらしい。むかしの国鉄の枕木は栗の木を使っていたらしいけど、それより頑丈なんだ。日本産や中国産が防腐剤を使っているのと比べると庭造りに応用は利く。