新大阪-鹿児島中央の新幹線の愛称は「富士」がイイ 〜師走の鉄系記事3題〜

katamachi2007-12-15

 しばらく留守していた間の鉄系記事を一通り読んでみました。次年度の予算編成をしている時期なので、ビッグプロジェクト関係の動きがもう少しあるのかなとも期待していました。
 ただ、現在の段階では「財源確保「年度中にめど」=整備新幹線未着工区間−政府・与党合意」というのが目立つ程度。しかも、九州新幹線長崎ルート鹿島市など佐賀県一部自治体側の消極・反対姿勢の調整がついていないし、大阪〜敦賀間のルートがいまだ決定していない北陸新幹線を見切り発車で福井県内まで延ばすのはどうなんだろう。それと、北海道新幹線……ホントにやるの??
 その他、以下は

の3本の記事に関するネタです。

九州新幹線東海道新幹線の相互乗り入れの可能性はない

 JR東海松本正之社長は6日、大阪市で記者会見し、九州新幹線東海道新幹線の相互乗り入れについて、「システムが違い、可能性はない」と改めて話した。10月にJR西日本JR九州が山陽・九州新幹線の乗り入れで合意したが、JR東海としては検討する余地がないことを強調した。
九州新幹線の東海道乗り入れは不可能 JR東海社長朝日新聞2007年12月06日

 あまり言いたくはないけど、日本国有鉄道が分割されてしまったことによる弊害の象徴ですね。東京駅口と鹿児島中央口では輸送量の数字にヒト桁は違いがあるというのは分かるし、時間帯によっては輸送力不足に悩まされているJR東海の気持ちも分からないではない。扉と座席数がイレギュラーな500系「のぞみ」の存在を毛嫌いしていたというのもよく聞いている。
 でも、別に電圧が異なる東北新幹線にまで乗り入れてよとまでは言わないにしても、比較的、信号システムなどの規格が揃っていると思われる東海道→山陽→九州新幹線については、別に1時間毎に走らせよとは言わない。朝6時台、10時・11時・12時台とピーク時を外してでもイイ。一日4〜5往復でもいいから8両+博多解結の付属編成8両で東京駅まで乗り込んで欲しい。名古屋→九州の動きなんかもフォローできるしJR東海にもメリットがないわけでもない。そもそも「のぞみ」が、あの面構えが悪くて子供にも人気のない700系とN700系で統一されてしまうのってなんだかイヤだ。
 それでも「九州新幹線の東京乗り入れは絶対ダメ」と言うのなら、鹿児島中央〜新大阪間の新幹線の愛称名は「富士」なんてのはどうでしょう。この「富士」は外国人なら誰でも知っている日本の象徴ですし、戦前、日本で最初の特急列車に公募で名付けられた名前でもあります。ちょうど具合のいいことに2009年の改正で寝台特急「富士」が消えるといわれています。いつの日か、九州新幹線が富士山の裾野を通って東京駅まで乗り入れるくるのを願って*1……って意地の悪いアイデアを思いつきました。

産経新聞VS朝日新聞。でも、ライバルのネタをソースなしで拝借するという不可解さ

 例の九州ブルトレ全滅を報じた朝日新聞の記事を思い出して、その後、どうなったんだろうと検索していたら次の新聞コラムが見当たりました。

 「ブルートレイン」の愛称で親しまれているJRの寝台列車の廃止が、さらに進む方向にある。来年3月のダイヤ改正で「なは」(京都−熊本)と「あかつき」(京都−長崎)、「銀河」(東京−大阪)が、再来年春には「富士」(東京−大分)と「はやぶさ」(東京−熊本)が消えることが、ほぼ確実視されているのだという。
【野菊】消えゆく「ブルートレイン」産経新聞IZAコラム2007/11/23

 おお、「産経新聞も朝日の記事を追ったか」と期待していたのですが、その下を読んでもブルートレインの想い出を懐古しているだけで何のオリジナリティーもないポエムでした。こんなコラムなら20分もあれば鉄道マニアならだれにでもかける。産経、また手抜きしているな……
 と、言うより、今年10月、沖縄教科書抗議集会の参加人数を巡って、あれだけ朝日新聞に因縁を吹っかけていたのに、その朝日のスクープ記事をわずか3日後に情報ソースも明らかにせず……。後追いして自分でも調べて報道するならまだしも、自分は汗をかかずにネタとして拝借するというのは、同業者のマナーとしてどうなんだろう。

鉄道ビジネスはおいしいビジネスらしい

 稼ぐならヤッパリ海外か――三菱商事がエジプトで地下鉄車両を受注した。48車両で約80億円。受注額は平均的で驚く規模ではないものの、商事は力が入っている。どんなウマミがあるのか。商事が受注したのは、カイロ地下鉄3号線。
新興国地下鉄ビジネスのウマミゲンダイネット2007年12月14日【2007年12月11日掲載】

 エジプトの地下鉄か……。昔からの付き合いを考えると近畿車輛あたりが担当するのかな……と調べてみると、やっぱそうでした。「三菱商事がエジプトで地下鉄車両を約80億円で受注」が10日に出ていたんですね。近車は同国に1400両も納入実績があるらしいし、三菱商事東芝、AEDCOとメンテナンス会社を現地に創設しているらしいし、まあ順調なところなのかもしれない。
 ただ、気になるのは後段の

 鉄道ビジネスはおいしいビジネスらしい。ライバルの商社マンがこう言う。「通常、受注時にオプションをつける契約を結んでおくんです。こうしておけば、他社と競争することなく追加受注できる。さらに、大都市なら車両交換が頻繁なのでこれまた良いビジネスになりますね」ほかにも人材研修や保守点検、消耗品交換など付帯するビジネスは数えあげたらきりがない。
新興国ってくみしやすい相手なんですよ。審査は米国など先進国ほど厳しくないし、鉄道全般の知識や技術力に乏しく肝心の基準をつくれない。こちらペースで進められることもウマミといえます」(前出のライバル商社マン)

というところ。しょせん日刊ゲンダイだから……って底の浅さですが、なんだかあまり聞きたくなかった言葉ですね。
 正直、エジプトのカイロへ行ったことはないので事情は分かりかねますが、海外の鉄道案件では、インドデリーの地下鉄みたいにプロジェクトの大幅遅延に振り回されたり、韓国ソウルみたいに政争に巻き込まれたり、台湾や韓国、中国みたいにヨーロッパ企業と値踏みをされてディスカウントを迫られたり、決して鉄道会社はオイシイ目にばかりあったわけではない。それと、人材研修や保守点検、消耗品交換って、そんなに儲かる分野なのかしら。ここらの手厚さは、戦後、日本企業が海外で勝利した原因だとも言えるけど、半ばボランティア的な性格も帯びていると思う。商社の方は受注にばかり目がいっているようだけど、アフターケアは車両製作会社に押しつけられるのだろうか。
 そんな商社任せの事業を落としていて大丈夫か、近車。片町線の電車から工場の中を眺めながら通学していたんで、思い入れがある分、ちょっと心配なのですが、それはまた別の話。

*1:その由来は、沖縄の本土復帰を願って1968年に名付けられた大阪-西鹿児島間の寝台特急「なは」。その4年後に返還されたにもかかわらず現在までその名前は引き継がれています。正確には2008年3月で廃止されるのですが