2011年春改正で用途を終える787系「リレーつばめ」と新八代駅の新在連絡ホームを見に行く
今年になって出張帰りに鉄道趣味活動をするパターンが定番になっています。
今回の目的地は九州。
会議で山口県宇部市に宿泊した翌朝、宇部新川駅のマルスを叩いてもらったら当日の「SL人吉号」の指定席が取れたんですよね。これ幸い、と、新八代経由で人吉まで遠征することにしました。
目的はハチロクだけじゃなかったんです。九州新幹線が全通する2011年3月12日改正前日で役目を終える787系「リレーつばめ」。その最後の活躍を見ておきたかったんですね。
時の流れを感じさせる「リレーつばめ」と新八代駅の新在連絡用ホーム
厚狭から700系8連「こだま」に乗って博多駅へ。
ここからは787系「リレーつばめ」37号です。
新八代止めなんだけど、方向幕は「鹿児島中央」行き。この表示も来春までですね。
車内の指定席はほぼ満席状態で発車します。
787系を初めて見たのは1992年。新製直後、徳庵駅の近畿車輛の留置線で停まっている姿でした。ただ、外部の人間には見れないように前頭部はブルーシートで覆われていました。プレス公開された後、その斬新な面構えはやたらと印象的でした。
分割民営化された当時、JR東が651系、JR海がキハ85系、JR北が785系、JR西が681系、JR九が783系……と、次々と新型の特急電車を送り出していましたが、787系はその決定版とも言える存在でした。
とりわけ鉄道好きを魅了したのはその前面形状。早さと快適さと贅沢さを兼ね備えたその姿は、小さなお子様だけでなく、口うるさい大きなおともだちもまた絶賛していました。
あれから18年。さすがに寄る年波は隠せません。
内装の壁面には塗装の剥げが目立ちますし、高速走行になると揺れもちょっと......。登場時のウリだったビュフエ車も今は存在しません。
シートも古いのだとガタが来ていますね。
初期車だと走行距離もかなりいっていると思うし、新幹線開業後はどうなっていくのだろうか。
熊本駅を出た後、熊本総合車両基地で「さくら」用のN700系を目撃。実車を見たのは今日が初めてです。本当に薄水色の塗色になっているんだ……
新八代駅の同一ホーム上での新在乗換も2011年春まで
「リレーつばめ」の乗車のハイライトは、新八代駅直前の築堤です。
1つ手前の千丁駅を出ると、787系はスピードを落とし、本線から右手に分岐する線路へ進みます。
盛土部から高架線を進むと、まもなく前方に新八代駅が見えてきます。
10:20、定刻に新八代駅11番線ホームに到着。
乗客はいっせいに隣りの12番線に停まっている800系「つばめ」へと乗り換えていきます。
わずか3分後の10:23に「つばめ」は発車していきます。
新幹線と在来線特急とが同一ホームで連絡している国内唯一の駅。九州新幹線新八代〜鹿児島中央間が開業した2004年から続いている珍風景です。
他の新幹線駅だと在来線との乗り換えは階段やエスカレーターでの移動を強いられてしまう。それが当然だと鉄道会社も利用者も諦めていた。
でも、JR九州は知恵を絞った。オトナの事情で暫定的な開業、しかも新幹線は八代以南のみで、中心駅の博多と八代との間は在来線特急で連絡しないといけない。どれだけ所要時間の短縮を果たしても、利用者が乗換の不便さを嫌がる→利用者の逸走の可能性もある。
そこで、保線用に敷設することになる短絡線を改良して、そこに在来線特急を乗り入れさせ、新幹線と同一のホームに発着させる。ドアtoドアでの移動で済むから、乗換も簡単。
787系も800系も日本産業デザイン振興会のグッドデザイン賞を受けているけど、新八代駅での新在接続の妙こそナイスなアイデアですよね。
この後、「SL人吉号」で人吉駅まで往復した後、再び新八代駅に戻ってきました。また、ここの新在連絡の姿を見ておきたかったんです。
在来線から分岐した大きなカーブを「リレーつばめ」が走っていきます。
そして高架線を淡々と登ってくる。
この姿も2011年春には見納めです。撮影していたのは僕1人だったけど、冬の18きっぷシーズンにはマニアが殺到するんじゃないかなあ。
787系が到着。乗客は「つばめ」へと乗り換えていきます。
787系は2011年春以降、「有明」・「きりしま」などへの転用が報道されていますが……
まもなく「つばめ」の発車の時間です。
乗客の確認をしている車掌さん。
そう言えば、この800系の「つばめ」のロゴ。九州新幹線開業にあわせてすべて取られるみたいですね。
来春、山陽・九州新幹線の直通運転(新大阪―鹿児島中央間)が始まるまでに、新幹線の800系車両に書かれた「つばめ」の文字が消えることになった。
新幹線800系、「つばめ」の文字消えることに朝日新聞2010年11月6日
800系は九州島内新幹線「つばめ」、新・700系は山陽九州直通新幹線「さくら」「みずほ」用と分けて運用に入ると報道されているけど、800系が九州島内速達新幹線用の「さくら」に入る可能性も考慮したとのこと。
17:00、定刻で「つばめ54号」が到着。
今度は乗換客が「リレーつばめ」へと移動していきます。
撮影した後、僕も乗車。17:03、定刻に発車します。
九州の特急に乗ったら、僕が必ずすることがあります。ホットコーヒーの注文。紙カップにロゴが入っているんですね。
これをお土産とすることにします。
博多駅には定刻19:54着。この後、僕は「ひかりレールスター」に乗り換えました。
2011年3月改正以降、787系「リレーつばめ」との動向はどうなるのか。いろいろ報道されているのをまとめてみると……
JR九州、特急「有明」存続へ 新幹線全線開通後2010年11月13日
リレーつばめの車両、日豊線に投入へ 新幹線開通後に2010年10月21日
に使われるのは既定の路線だと思う。2011年3月に「リレーつばめ」の運用から外れた後、若干の改造などもあるだろうし、日豊本線への投入は時間差があるのかもしれない。
でも、双方の運用をあわせてもさらに余るような気もする。一部はジョイフルトレイン的な列車に改造されたりもするのだろうか。
そこらの行く末もまた興味深いのですが、それはまた別の話。