腐食した鉄道車両のボディーを見る

katamachi2008-01-25

 今朝、我が家の周辺ではわずかながらも雪が積もっていた。
 クルマを動かすために窓やボディーにこびりついた塊を落とそうとするのだけど、シャーベット状になっていてブラシでこすってもなかなかとれない。しまいにはバンパー附近にあった赤サビ部分までもが雪と共に剥げ落ちてしまった。ああ、さすがに製造から今年で20年目。寄る年波には勝てない。昨年の車検、ついケチってしまって下回りの錆び止め塗装を省略してしまった。塩化ナトリウムがまかれている雪国の冬。こりゃあ春にでも腐食防止の処理をしないとまずいかもしれない……
 そうした問題は鉄道車両も抱えているわけであって、製造から15年、20年してくると、ボディーの鋼板の痛みがいっそう激しくなってくる。最近のアルミ車やステンレス車だとまた事情は違うようだけど、旧来からの鋼製車だと悩みは深刻だ。
 特に窓部の隙間から入ってくる雨水は確実に車両の寿命を縮めていく。日光型157系のように水滴が車体の内側にたまって腐食が進んでしまい早々に廃車された車両もある。あるいは海沿いの路線だと潮風による"塩害"をモロに受けてしまいがちになる。ED75-700やEF81-300のように塩害対策が施された機関車がある一方、JR北海道日高本線に入れたキハ130のようにわずか11年で廃車に追い込まれた車両もある。あるいはJR西日本103系のように改造時に雨水が入らないように戸袋窓を埋めたり、アルミサッシや黒サッシに置き換えたりもしている。そうやって努力をしても、鋼製車である限り、なかなか腐食は止められない。
 ただ、最近、車両整備技術の向上&経営難によるコストカットの影響で、車両を長持ちさせるケースが増えてきた。大手私鉄でも30年、40年と寿命を引き延ばしているところもある。
 その一方で、なかなか"お肌"のお手入れが行き届かない車両に出会うことも多くなった。

  • まずは錦川鉄道のNT-2101せいりゅう号(2007年3月)。同線の軽快気動車は、1999年ころから各車ともに地域色に飛んだカラフルな絵柄に変更されていく。でも、もしかしたらその時以来、一度も塗り直されていないんだろうか。

  • これは樽見鉄道14系(2005年4月)。こらちは直後に廃車されたのだけど、鋼板はペコペコに波打っていた。あと、きちんと周期的に塗装していないから色が日焼けしていて、14系本来の"青20号"とは程遠い色合いになっていた。この列車に樽見駅から乗ろうとしたとき、あまりにもの塗装の剥げ具合に、「あれ? これって静態保存車両なのかな……」と出発ホームをもう一度確認したぐらいである。


 共に第三セクター鉄道。なかなかJRのように整備に潤沢なカネを投じられないという事情は分かる。前者は値段の安い軽快気動車だし耐久性では劣るのかも。後者は国鉄のお古で朝夕の通学時のみ使用。しかも廃車直前。ちょっとぐらい大目に見てよ……というのかも。
 で、規模の大きいJRはどうかというと、点検とか整備はきちんとしているのだろうけど、こと塗装に関しては必ずしもきちんとケアされているとは限らない。

  • 以前も紹介した117系のトップナンバー(2007年3月)。せっかく2002年に元々の関西急行色に戻したのはいいけど、前面の塗装が剥げている。5年間も再塗装していないのか。オレのこどものころのアイドルが何という姿に……


 それは看板である特急車についても同様。製造から30年以上が経ち、なかなか利用率が上がらず採算が取れない……そんなブルトレなんかは特に大変。

  • 「さくら」を牽引していたJR九州のED76-92(2005年1月)。交直流機関車の定番である赤2号……なんだけど、車番のプレートあたりになんだか継ぎ接ぎがあてられている。ちょっと哀れ

  • 今年1月に乗った「あかつき」。上は開放式B寝台。赤サビがニキビのように浮き出ている。下は個室B寝台*1。錆を上塗りしたのだけど、下地と明らかに色合いが異なる。なんか私が中学生の時に造ったNゲージ119系(グリーンマックス)を彷彿させるセンスの悪さだ。今春に廃車が決定し、なかなかカネをかけられない事情も理解できるが、なにはともあれ山陽本線を行く最優等列車がこんな姿になっているのは寂しい限り。


  • 車体ではないけど「あさかぜ」のヘッドマーク(2004年12月)。なんかここまで来ると寂しさを通り越して、潔いというかなんというか。


 昨日話題にした485系雷鳥」なんかも、近くで見ると、経年による厚化粧&お肌の痛みがボディーから浮き出ている。昔の国鉄ならもっとマメに塗装をしていたから赤サビはさほど目立たなかった。それに、30年もすれば車両は入れ替わっていたから、支線系の一部の老齢車両を除けばそんなに気にもならなかった。地方に転属させられた旧型客車とか旧型国電なんかにはヒドい状態の車両もあったかもしれないが、少なくとも赤サビとか継ぎ接ぎのままの車両を優等列車に入れることはなかったんじゃないか。
 正直、経営の苦しいローカル私鉄はたくさんあると思うのだけど、それでももっと丁寧に車両のケアをしてくれているような気がする。たとえ廃止が決まった鉄道でも、外見ぐらいは見栄えよく整備されていたと思う。そこらは、会社側の車両や路線に対する思い入れの差なんだろうか……とか思ったりもするのだけど、それはまた別の話。

*1:追記 すんません。これ「なは」のソロだったような……