肥薩おれんじ鉄道阿久根駅に寝台車利用の宿泊施設ができるらしい。
肥薩おれんじ鉄道の阿久根駅(鹿児島県阿久根市)に、寝台車を利用したツーリング客向けの宿泊施設・ライダーハウスが今夏にも設置される。ハウスは全国で増えているが、寝台車利用のタイプは珍しいという。
話題:寝台車でにぎわい取り戻せ/駅に「ライダーハウス」開設へ/鹿児島・阿久根毎日新聞2008年2月8日
ほおお、寝台車利用の宿泊施設が鹿児島県にできるのか。
- 九州新幹線開業で利用客は03年度44万人→分離後の06年度に31万人。阿久根駅前の商店街は衰退
- 阿久根市のNPO法人「Big up(ビゴップ)」が主体で駅構内の側線に寝台車を置いてライダーハウスに
- 年間2000人の利用客、利用料金は1人1000〜2000円を想定。総事業費は2000万円
というのがその要約。
ああ、楽しそうだな……とは思うのですが、事業費が2000万円か。なかなか気宇壮大な話です。
仮に、年間2000人×宿泊料1000円と計算しましょう。収入は年間200万円。
一方、支出は、どれぐらいするんだろう。総事業費2000万円を無視しても、管理人の人件費800円/時×7時間(16:00〜23:00)×365日=204万円。まあ、NPOだから時間を短くするなりただ働きを増やしたりしてその半分ぐらいには抑えてくれるのだろう。でも、寝台車の機能を稼働させるための光熱費っていくらぐらいするんだろう。
周辺の商店街などへの波及効果も期待しているのだろうけど、ライダーさんって倹約家が多いからなあ。恩恵を被るのはスーパーとかコンビニとか温泉施設ぐらい。商店街への波及を期待するのは難しいのでは。そもそも阿蘇と阿久根はめちゃくちゃ離れています。ライダーさんが鹿児島県北部、しかも高速道や観光地から外れているところまで遠征してくれるとは期待しない方がいい。
そもそも寝台車利用の宿泊施設って、SLブームの名残があった70年代に「SLホテル」として全国に建てられましたが、設備の老朽化や陳腐化でブームは10年も持たなかった。
今でも寝台車を使った宿って、
- 小岩井農場SLホテル(岩手県雫石町 D51-68+20系もとA寝台を個室に改造 1泊2食で6,825円)
- 国民宿舎関ロッジ(三重県亀山市 ホテルの付属施設。「だいせん」の20系B寝台を大幅改造して転用。1泊2食で5670円)
の2つしか思い出せません。むかし小岩井のはA寝台プルマン式の状態だった頃に泊まったことがあります。マニア同士で行ったので意外に悪くはなかった。関ロッヂは昨年見物しに行きました。中身はともおれ、外見は往年のままでした。
北海道には客車転用でライダーハウスとなったケースがあります。80年代後半にローカル線の廃止と旧型客車の廃車が進んだ後、ツーリングしているバイクの人を目当てにいくつかオープンしました。が、あれは旧客の座席車を外して畳やカーペットを敷いたタイプ。正直、寝泊まりした経験からすると、そっちの方が寝やすいかも。で、実際、こちらも陳腐化やライダー客の減少で閉鎖しているところが多くなってきた。「ハウスは全国で増えているが」と記事にあるけど、えーーっ??本当か?というのが実感です。
ちょっと、このまま計画を進めるのは無謀なのでは……と思ったりもするのですが、それはまた別の話。