副都心線・東北縦貫線と華やかな話題が多い東京の鉄道網

katamachi2008-03-27

副都心線には東武東上線和光市駅で、西武有楽町線小竹向原駅で乗り入れ、東武、西武とも朝のラッシュ時に渋谷行き直通電車を1時間当たり6本前後運転する。
副都心線ダイヤ決定

 今日3月27日は、東京メトロ副都心線(池袋〜新宿三丁目〜渋谷)の開業にあわせてのダイヤ改正情報がいっせいにリリースされました。
東京メトロ http://www.tokyometro.jp/news/2008/2008-17.html
東武鉄道 http://www.tobu.co.jp/file/1583/080327.pdf
西武鉄道 http://www.seibu-group.co.jp/railways/kouhou/news/2007/0327.pdf
 それぞれあやふやな書き方も多くて分かりづらいのだけど、東京メトロのサイトhttp://www.tokyometro.jp/news/2008/2008-17_1.htmlを軸に見ると、副都心線小竹向原→渋谷間の毎時の運転本数は、

西武 東武 線内
急行 通勤急行 普通 急行 通勤急行 普通 普通
朝ラッシュ 2 2 2 2 2 2 5 17
昼間 2 2 2 2 4 12

というような感じか。東武東上線西武池袋線から新宿や渋谷への乗り入れは、朝で毎時6本ずつ、昼は4本ずつ。
 まあ、そんなものかいなあ……とは思うのだけど、やっぱり少なすぎるような気がする。副都心線内を各駅に停車する直通普通列車なんて利用しづらいだろうな.....千川駅とか要町駅とかはやっぱ停車しなくてもいいような気がするし、従来通り有楽町線の列車もあるのだから小竹向原駅以北の停車駅も整理すればいいのに。まあ、建設時からのいろんなしがらみがあってそうもできないのかな。
 それにあわせて、「TJライナー」とかいう着席料金300円の通勤ライナーも東上線に走ることになったとか。ヨソ者からすると「この列車でカネをとるのか……(近鉄のLCカーのパチモンじゃないの)」と思わなくもないのですが、まあ、東京発のマスコミでは話題にはなっているらしい。
 一方、その前日の26日には、JR東日本が、東北縦貫線(上野〜東京)、すなわち上野駅止めの東北本線高崎線常磐線電車を東京駅に乗り入れる工事に取りかかる旨のリリースを出しています。一度、「09年度完成」と発表されたものの、環境アセスの絡みでなかなか本決まりにならなかったのですが、5月から着工するのですね。2013年度の完成とあるから、完成は6年ぐらい先か。
http://www.jreast.co.jp/press/2007_2/20080318.pdf

  • 東京〜神田間、秋葉原〜上野間は現在の引き込み線を改良
  • 神田〜秋葉原間に高架橋約1.3kmを新設

 ここには70年代まで東北本線の旅客や貨物が走っていて、東北方面行きの東京駅発の特急や品川発の臨時列車が運転されていたけど、1973年に中止され、その用地の一部は東北新幹線用に提供されている(東北新幹線東京駅乗り入れは1991年)。将来的には、その新幹線の線路の上に設けられる高架線を北からの列車が往き来することになる。
「具体的な輸送計画については今後検討を進めてまいります。」とあるので、上野止めとなっている三路線と東海道本線との間でどのようなダイヤが組まれるのかまだよく分からないけど、「黒磯発熱海行きなんて運転されるのだろうか」とか「いや、品川止めになるんじゃないの」とか、細かな情報を手がかりにいろいろと実現したときの姿を想像するのは楽しいことです。
 関東圏では、この日曜日3月30日に、舎人ライナー(日暮里〜見沼代親水公園)横浜市交通局4号線(日吉〜中山)が開業し、6月に東京地下鉄13号線(副都心線)、さらに成田新高速鉄道線(高砂〜成田空港)相鉄・JR直通線(西谷〜羽沢)、相鉄・東急直通線(羽沢〜日吉)、中央リニア新幹線(東京〜名古屋)と大規模な新線構想が目白押し。景気のいい話です。



 それを考えると、2006年12月に地下鉄今里筋線(井高野〜今里)、2008年3月にJRおおさか東線(久宝寺〜放出)が開業した大阪圏での盛り上がりのなさ。せっかくの新線だけど、マスコミも市民もみんなスルーしている。
 本来、郊外と都心を結ぶ放射状の路線だと需要も期待も大きいのでしょうが、どちらも郊外と郊外を結ぶ需要のなさそうな路線。都心とは繋がっていないどころか、環状路線として既存線を緩和する役目も果たせていない。
 次に開業する新線2008年10月の京阪中之島線(天満橋中之島)。これは大阪市の都心のど真ん中を貫くルートなのだけど、じゃあ大阪市民や郊外に住んでいる人間が待ち望んでいた路線かというと、そこらがかなり微妙。盛り上がっているのは、新線の渡辺橋駅の近くで大規模再開発を予定している朝日新聞大阪本社の紙面ぐらい。大手マスコミがバックアップしているからあまり糾弾されていないけど、ここも大阪市絡みの第三セクターが建設を担当している。以前、関係者と話をする機会があったとき、「国交省からの補助金を注ぎ込んでいるから持ち出しはあまりないし、大丈夫」と語っていたけど、いいんだろうか。ホントにそれで。
 となると、関西人としては、2009年春に開業予定の阪神なんば線(西九条〜難波)に期待したいところ。これが関西圏最後の"大物新線"となるのかも。
 JRおおさか東線の新大阪延長は実現しそう(少なくとも、おおさか東線の部分開業の日の橋下府知事の挨拶では建設を否定してはいなかった)。地下鉄四つ橋線の十三延長はまだ構想段階とはいえ、何とかなるかもしれない。でも、今里筋線の今里以南への延長、阪急新大阪線北港テクノポート線は期待薄。僕ら鉄道マニアが夢を語るのが難しい時代になってしまった。正直、、それでいいんだと思う。90年代に計画された大阪都市圏の新線構想が土台無茶だったのだから……と個人的には思うのですが、それはまた別の話。

追伸

 熊本市や県などで作る都心結節計画検討委員会(委員長・森田弘昭熊本副市長)が26日あり、熊本電鉄の線路敷にバスを走らせて合志市方面と熊本市中心部を結ぶ新しい交通システムを検討することになった。(中略)
 新バスシステム案は、熊本電鉄のレールをはずしてバス専用道路として整備する。バスは一般の道路にも乗り入れ、市中心部まで行けるようにする。
 大型バスを2台連結して大勢の乗客を輸送するBRT(バス・ラピッド・トランジット)などが検討対象になる。
都心結節検討委:新バスシステムを検討 合志と熊本の市中心部直結毎日新聞 2008年3月27日

 そんな景気のいい話が飛び交っている今日、突然、舞い込んできた廃止話。熊本電気鉄道(藤崎宮前御代志)のレールを外す、すなわち鉄道を廃止して、代わりに新しい発想のバスを走らせる構想なんだとか。
 ひえー、熊電をLRT化して熊本市内に乗り入れとか言っていたのが、知らないうちに線路を剥がすの剥がさないのという話になっている。九州新幹線全通までとあるから2011年がタイムリミットなの? 西日本新聞の「熊電軌道をバス専用道に 熊本市など 都心結節で新案検討へ」と言う記事では「熊電側もバス案を検討する」ともある。
 新しい発想で交通網を整備し直す……というのはいいことだと思うし、バス・ラピッド・トランジットなんてことも検討するのも悪くはない。でも、熊本市の未来の交通地図には熊本電鉄の電車は走っていなのね……鉄道マニアとしてはなんとも寂しいとしか言いようがありません。