第3回王滝森林鉄道フェスティバルが凄かった!前編(第4回は3年後)

katamachi2010-10-12

 この三連休、10日・11日と木曽に行っていました。
 目的はこちら↓。

 「王滝森林鉄道」を復元・保存しようと、王滝村のボランティアや全国の鉄道ファンらが取り組んできた整備事業(第1期)が完成した。停車場があった村の松原スポーツ公園で10日、丸太を運ぶデモ走行や体験乗車があり、木曽谷の林業を支えた雄姿がよみがえった
王滝森林鉄道よみがえる朝日新聞2010年10月11日

 今から半世紀ほど前まで、長野県王滝村を中心とした木曽の山中には木曽森林鉄道という森林鉄道が谷あいの集落を縫うようにして広がっていました。主要となっていたのは上松駅と赤沢を結ぶ小川線、そして王滝村本谷へと続く王滝線。統計資料によって数字は異なるが、支線や他の路線も含めれば300kmを越える路線網が形成されました。青森の津軽森林鉄道と双璧とも言える規模を誇った。
 当時、ボールドウィンの愛称で親しまれたミニ蒸気機関車が人気だった。木材を満載した運材列車が次々と上松駅に向かった。関係者や地元の方を輸送する旅客列車、関西電力の資材運搬車、理容師専用の客車や、通学用のスクール列車も走った。かなり本格的な鉄道ではあるが、運輸省非公認の専用鉄道である。
 ただ、林道の整備とトラックへの転換、そして林業の不振もあって60年代以降は廃止が進み、1976年に王滝線の運行が終了したのを最後に、木曽山中からレールの響きは消えた(正確に言うとこの後も断続的に運転は実施されている)。
 上松町の赤沢自然休養林内で新たなレールが敷かれ、1987年から観光向けの運転が始まっている。
 一方、お隣の王滝村でも、地元の方と麻布高校OBを中心に当時の車両のレストアが行われ、短距離とはいえ動態保存運転が実施されてきた、と。当初はかつての田島停車場跡、そして松原スポーツ公園へと場所が変わっていきます。
 その活動は、りんてつ倶楽部http://www.geocities.jp/rintetsu_club/のHPに詳しい。彼らの取り組みと実践が実っていく過程を追っていくことが出来る。
 最初数十メートルだったレールが1000m近くまで延長されると聞いていたが、それが今夏に完成したという。で、この秋の村の催しで往復運転がなされる、と。
 現地でのイベントは10月9日と10日の2日間。初日は別件があったので2日目の運転にあわせて行くことにしました。この日、天候は厳しいとの予報でしたが、いまさら止めることも出来ない。

木曽谷の森林鉄道

木曽谷の森林鉄道

全国森林鉄道 JTBキャンブックス

全国森林鉄道 JTBキャンブックス

目の前を行くホンモノの森林鉄道に興奮する

 森林鉄道の運転は10日の9時半からとアナウンスされていました。
 関西から連れ合いと休憩・観光しながら現地に到着したのは10時半。岐阜県内では大雨もありましたが、王滝村は見事なまでの秋晴れ!
 仮設の駐車場はすでに先客のクルマでかなり埋まっていました。他府県ナンバーばかりですね。
 ぬかるむ地面を歩いていると、ぴーという高い音が聞こえてきます。
 土手を登ると、目の前の線路をモーターカーが走っているじゃないですか。

 これ、木曽森林鉄道で走っていたヤツですよね。大昔、後ろに人を載せ、いや乗せたりしていた。それが40年の時を越えて本当に動いているんだ......
 その100mほど後ろをオレンジの車両が追いかけていきます。

 関西電力の車両だったっけかな。ちょっとナウなデザインです
 さらにもう1両。

 これは記憶があります。酒井工作所製のモーターカーです。
 運動場の管理建物の側に行くと、木材を満載した運材列車が待っていました。

 これまた酒井工作所製のディーゼル機関車を先頭に、ヒノキを積んでいる運材車。往年の姿を再現してくれるのでしょうね。

 さっそくフルキャストが勢揃いしているのか。ああ、昔、木曽にこんな列車が走っていたんですよね。
 2年前、ルーマニアの山中の森林鉄道に乗ったときのことを思いだします。
ルーマニアの辺境を走るモカニツァ森林鉄道へ行ってみた(前編) - とれいん工房の汽車旅12ヵ月
 そして、しばらくすると、各列車が再び動き出します。
 まずはモーターカー3両が再び続行運転でスタートしていきます。
 そして大御所、運材列車の登場。

 いいね。やっぱり。想定外の青空と、周囲を覆う緑の中を行く列車。見事に映えています。

乗車まで2時間半待ちの大盛況。

 スタッフに聞いてみると、乗降ホームはこの線路沿いにいった一番奥にあるという。駐車場側にある折り返し施設から800m先。
 今回のイベントに間に合わせて敷かれた路盤沿いの歩道沿いに歩いていきます。
 踏切に木材橋。水路側にレールは続きます。ゲージは762mmだから、新幹線の半分くらい。でも、意外としっかりとした路盤です。ここまで整備するの資金面でも労力面でも大変だったろうな……

 乗降ホームに行くと、ディーゼル機関車プラス客車1両が待っています。お客さんで車内は満員。マニアさん:地元の人が6:4の割合でカメラの放列を浴びせています。

 やはりというか、この列車の切符は完売。次は13時過ぎになるとか。「それでも待ちますか」と聞かれるけど、皆まで言うまい。当然、待っていますよ。
 連れ合いと2人分で計600円を払い、予約をいれてもらいます。
 聞くと、モーターカーも別途に乗車体験が可能なんだとのこと。じゃあ、そっちも、とさらに2人分お願いする。
 さて、10:26。2便の発車時間です。僕も少し離れたところでパシャリ。
 続いて、モーターカーの3タイプも出発です。
 しばらく写真展示などを見物していると、帰りの便が戻ってきました。

 日陰になっているけど、列車が水路に映えるのも魅力的です。
 この後、10:52頃に、次の便が発車します。

  • モーターカー 4号機

  • モーターカー 14号機


の4台が続行運転するというのがパターンのようです。
 そして、6〜7分800mを走った先にある折り返し設備で機関車が方向転換(機回し)。終了後、側線にモーターカー3台が入り込み、その後、再び機関車を先頭に駅へ戻っていくという形になります。乗車時間はだいたい18分くらいか。
 この後も運転するみたいだけど、僕らの番までまだまだ時間がある。とりあえず昼食を食べに王滝集落の外れにあるそば屋へ向かうことにしました。
(後編「第3回王滝森林鉄道フェスティバルが凄かった!後編(第4回は3年後) - とれいん工房の汽車旅12ヵ月」に続く。)<参考>
京都大学が運営する芦生森林鉄道を訪ねてみた(前編) - とれいん工房の汽車旅12ヵ月
立山砂防軌道に乗ってきた’08年冬 - とれいん工房の汽車旅12ヵ月
日本粘土鉱業岩手鉱業所のDLが11年ぶりに稼働。 - とれいん工房の汽車旅12ヵ月
ルーマニアの辺境を走るモカニツァ森林鉄道へ行ってみた(前編) - とれいん工房の汽車旅12ヵ月