大糸線姫川駅付近の踏切に出ていた「故障」という文字

katamachi2007-07-24

 先週の7月17日は、「しなの」に乗って大糸線沿いを廻ってきました。
 宿泊先は新潟県糸魚川市能生(のう)町の海の家、いや新潟風に言うと"浜茶屋"兼用の民宿でした。予約したのは新潟県中越沖地震の前日。さすがに大丈夫なんかいな......と再度連絡してみると、「なに、全然問題ないですよ。ぜひ来てください」ということでした。能生の集落や糸魚川では全く被害がなかったようですが、津波が心配だからか、かき入れ時の夏休みにもかかわらずキャンセルが相次いでいるようです。ある小学校からも臨海学校中止の連絡が来たとか。「問題なく海で泳げるのにねえ」とボヤいておられました。でも、10kmほど離れている上越市有間川〜直江津間では国道8号が寸断されていましたし(僕らの行った翌日から交互通行開始)、ちょっと観光客が行きづらいなあ......というのもまた事実です。
 今回の旅のポイントを3点ほど紹介しましょう。

大糸線姫川駅付近の踏切で「故障」表示を見る

 一緒に行ったツレは元鉄研会員にもかかわらず今ではあまり鉄道には興味がない*1。というんで、鉄系の趣味活動をしたいという僕の希望はほとんどカットされてしまいました。
 ただ、国道146号(千国街道)ってのは大糸線とほぼ全線で並行しているわけでして、北細野駅から偶然やってきた電車に乗り込んだり、「おねがい☆ティーチャー」の舞台になったとかでその手の人が集まっている海ノ口駅を再訪したり、来馬温泉風吹荘に入浴したついでに北小谷駅近くの橋梁からエセ塗色のキハ52を狙ったり......とかそれなりの成果を上げることはできました。
 そうやって姫川駅付近にやってきたときのこと。糸魚川市中心部に向かって国道を北上すると、ちょうど駅を発車する直前の糸魚川行きキハ52のアイドル音が聞こえてきたんですね。先回りしてどっかで撮影しよう......とも思ったのですが、信号に引っかかって思うように進まない。そーゆーときは、いくら原型のDMH17Hを2基搭載のボロ気動車であってもクルマよりずっと早いんです。糸魚川インターの北側のコンビニ脇で踏切を見つけたのですが、もう姿も形も見えない。
 ああ、残念......と帰ろうとしたら、いきなり踏切が「カンカン」となり始めるんですね。
 あれっ、途中のどこかでキハ52を追い抜いてしまったのか。さっそくカメラを構えてみたのですが......待てども待てども列車はやってこない。
 不思議に思って警報機を見上げてみると、「故」「障」の文字が交互に出ているんじゃないですか。

 ああ、これが噂の……とちょっと感動しちゃいました。2006年3月に東海道本線三河大塚駅三河三谷駅間で「こしょう」表示の出ていた踏切に入られた方がお亡くなりになっています。その前年には京浜東北線蒲田駅付近でも同種の事故がありました。踏切が30分以上閉鎖したとき、トラブルが起きたときにはこんな表示が出るということだったのですが、私も実際にホンモノを見るのは初めて。後日、鉄道信号に関連する仕事をしている知人に聞いてみたのですが、やはりかなりレアなケースに遭遇してしまったようです。
 でも、この大糸線の踏切は2分ほどで警報機が止まり、遮断機は上がってしまいました。クルマの通れないほど幅員が狭い道路だったので、迷惑を被った人は誰もいない。草藪の中でカメラを構えていた僕の足がヤブ蚊にやられた程度で済みました。

白馬岳蓮華温泉ロッヂの野天風呂

 大糸線平岩駅の姫川温泉郷から林道に入って、1時間ほどヘロヘロ道を辿りながら蓮華温泉へ向かいました。有視界5mほどの濃霧を縫って、白馬岳の麓にある白馬岳蓮華温泉ロッヂまで行くと露天風呂ならぬ野天風呂があります。仙気の湯、黄金湯、薬師湯、三国一の湯の4つ。それぞれ宿から山道を5〜20分歩いた登山道の途中にあります。雨が本降りになってきたので、一番近い黄金湯に入ってきました。泉温43度と温泉にしては適度な感じで山道をはるばるきた甲斐がありました。これで天気が良くて山並みが一望できれば申し分ないのですが……
 7月14日から8月17日までは糸魚川バスが平岩駅との間を6往復しているんで、ぜひ機会があったら行ってみてください。

筒石駅とトンネル見物の旅

 宿は能生駅前にある旧役場から東へ4キロほど行った藤崎海岸にありました。旧の町域の東端に位置しているので、最寄りとなる鉄道駅は北陸本線筒石駅の方。毎朝、高校に通う娘さんを駅まで送りに行っているそうです。
 筒石駅と言えば、長さ1.1kmの頸城トンネルの中にホームがある駅として、マニアの間では有名なところです。電車に乗るためには駅舎からホームまで300段近い階段を昇り降りせねばならない。所要時間は約5分。
 そーいや、ここって降りてないなあ......ってんで、翌朝、ぬる鉄のツレを誘って筒石に行くことにしました。
 国道や集落から1kmほど人里離れた市道を行き、さらにそこで左に折れたところに駅舎があります。おおよそ実用には程遠い立地の駅です。工事をしていた時代の現場を更地にして無理矢理駅舎を置いて開業させたんでしょうね。北陸本線が1969年に新線へ切り替わるとき、当初、筒石駅は廃止されるはずだったが地元の反対運動で設置された......という事情もなんとなく想像が付きます。
 で、さらに驚いたのが、この駅が委託駅で、改札口にJRの子会社の職員の方(もちろんOB)が立っていると言うことです。どー見ても乗客数は30人とか40人ぐらいしかいないだろうになぜなんだろう。合理化一直線のJR西日本にしてはかなり珍しいことです。しかも窓口では18きっぷの赤券、それに各種補充券が揃っているというじゃないですか。
 切符を買い求めながら訪ねてみると、トンネル内の地下駅にホームがあるという構造上、乗客や第三者の人間がトラブルに巻き込まれないよう安全確認と監視も兼ねて常駐しているそうです。定期客は通学の高校生6人のみ。近所の方も階段の上り下りを嫌って能生駅とかに出る方が多いそうです。ただ、最近は、トンネルの中で特急列車が通過していくシーンを見たい......と見物にやってくる客が少なくないとか。そんな連中のためにわざわざ「入坑証明書」というのも配布されていました。
 ちょうど下り列車がやってくるというので、お隣の名立駅まで往復してきました。家の近くから先日淘汰されてしまった419系がまだ現役で頑張ってくれているのがなんだか嬉しい。


 ちなみに、地震絡みで言うと、信越本線妙高高原直江津犀潟間の電車は動いているんですが、速度規制を受けているらしく「はくたか」とか長野発着の普通とかは10分程度の遅れが出ていました。そこらの話もしようと思ったのですが、それはまた別の話。

*1:その割には新妻を捨てて僕と郵便局巡りの旅に出ているというのはどうなんだろう。彼と奥様がその件で冷戦状態になっているのを目撃したんで......少々、心苦しい(^_^;)