洞爺湖サミットに反対するデモの参加者がわずか15人だけ、とか

katamachi2008-06-23


 10日ほど前、電車で大阪駅に降り立つと、駅の構内やホームにやたらと警官さんや警備員さんが立っておられました。すっかり忘れていましたが、6月13日・14日と大阪国際会議場でサミット財務大臣会議が開催されていたんですね。あと、次の週末26、27日京都で外相会議がある、と。アキハバラの例の事件、続く宮城県地震で、すっかり忘れていました。
 大阪、京都では、自治体も財界も「サミットを関西に」と会場誘致にせいをだしていたけど、落選。なんとか財務相と外相の会議を誘致したのに、日本のマスコミにすら完全にスルーされている。大阪だと、むしろ西成の暴動の方が注目されていたのかも。
 で、ホンモノの洞爺湖サミットの方。迎え入れる政府や北海道庁、警察は大変なんでしょうけど、まあそれはそれ。
 むしろ、僕が気になったのはサミットに「反対」をしている人たちの動向。ヨーロッパでやるときはやたらとお祭りにみたいに盛り上がっていますよね。ですが……

 北海道洞爺湖サミット(7月7〜9日)を控え、道内の市民団体などでつくる「反G8サミット北海道(アイヌモシリ)連絡会」が15日、サミット会場の地元である胆振管内洞爺湖町でデモ行進を行った。(中略)
 デモには市民団体代表者ら約15人が参加。
洞爺湖町:反サミットを掲げ、デモ行進毎日新聞、2008年6月16日

screenshot
 参加者15人……って、なんなんだろう。この盛り上がりのなさ。
 写真を見ていると、小学生ぐらいの子供混じっているけど、その子も員数に入っているんだろうか。警備の警官も10人か。この記事は毎日新聞の地方版ですが、他紙も全国版では扱っていないようです。正直、この写真を見ながら一人一人数える程度の規模のデモだし、全国に伝えるほどでもない。
 主催団体「反G8サミット北海道(アイヌモシリ)連絡会」のブログは→http://renrakukai.blogspot.com/

  • 7月7〜9日 現地交流集会、デモ、コンサ−トなど多様な取組みを計画中! 会場 反サミット交流広場

って、2週間前になっても「計画中」のままでは、「多くの人たちが私たちの問題提起や活動に関心をもってくれています」と書いていても、自己満足的な催しにしかならなさそうな気がする。
 海外からも、「反グロ」*1とか「反クジラ」とかも含めたその手の人たちがそれなりにたくさん来るのだろうけど、きちんと連帯するための準備とかしているんだろうか。朝日の記事「NGO、サミット近くで大キャンプ 行政も用地使用許可によると、北海道など自治体は数千人規模とも言われる反対グループのキャンプのため公営施設の利用を許可したらしい。でも、デモに15人しか集まらないグループがその数に対応できるのだろうか。



 いや、それより気になるのが、こうした反サミットに関する運動に対して、国内ではまったく盛り上がっていないこと。はてなに限らず、ネットの世界でも完全に忘れられていますね。上記のHPをみとも、反戦とか三里塚とか決起集会とか何とか。そもそも「週刊金曜日」が前面に押し出されるって、なんなんだろう。若い頃、新左翼の人たちと話す機会の多かった自分でもなんだか距離感を抱いてしまう。ましてや、ナウなヤングにバカ受けするとは思えない。
 フランスとかの動向を見ている限り、うまく仕掛けられれば、こうした運動に興味のある若い子ってそれなりにいると思うんですよ。昔の人たちと若い世代とがうまく交流しながら、そして政治的影響力を一定程度持ちながら、飯のネタにしている自分たちの主張をアピールしている。
 でも、日本だと、上の団体とかそのリンク先を見ても、「いちご白書をもう一度」スピリットのまま40年以上生活してきた人たちの匂いがプンプンしてくる。そこで語られる言葉が、60年代以前のセンスだったり、あるいは「週刊金曜日」みたいに海外での論調をそのまま直輸入した生煮えなままなんで、いまの人たちにリアリティーがないんですよね。自分たちの主張が広まらないのを社会体制や教育のせいにするのは右翼の人たちみたいだけど、それはちょっと違うんだと思う。
 「ネットカフェ難民」(それ自体は眉唾ですけど)が話題になった頃から、なんだか風向きが変わってきたみたい。最近でも、派遣社員や請負偽装の話だけでなく、チベット争乱、秋葉原通り魔殺人事件西成暴動とか。僕が、先にイランで誘拐された学生さんのことを「イランで誘拐された学生さんと海外危険情報と自己責任と笹川堯 - とれいん工房の汽車旅12ヵ月」と書いたら、やたらとアクセスが増えてブクマが付いた。自分と他者・社会との間のギャップを埋めようと模索している人たちが増えてきたんだろうか。まだ個人的直感と社会的意義とが折り合えていない、正直、稚拙なレベルに留まっている印象もあるけど、その先に見える言葉を読んでみたいという気もする。
 彼らが洞爺湖サミットをどう語るのか。凄く気になるのだけど、このままみんなスルーしてしまうんだろうか。正直、僕もどうでもいいと思っているし、もちろんサミット当日の7月7〜9日、北海道へ行くつもりは全くないんだけど、それはまた別の話。

*1:グロテスクじゃなくて、グローバリズム