姫路モノレール手柄山駅跡で封印されてきたロッキード式モノレールを見る。
JR西日本の出している「「秋の関西1デイパス」」で姫路まで行ってきました。半分仕事、半分趣味のようなものですけど、まあそれはそれ。
目的は、永年、手柄山の車庫の中で保管されてきた姫路モノレール。その車両1両が外に引っ張り出されたんですね。
下は、手柄山公園の展望台(旧手柄山駅駅舎の上)から見下ろしたところ。
諸事情により長らく封印されてきたロッキード式モノレールの生き残りがこのような形で陽の目を見る日が来るとは。隔世の感があります。
経緯はこんな感じ。
- 区間は、姫路駅から手柄山駅まで1.6kmのモノレール。
- ロッキード社の技術提供によるロッキード式を採用。小田急向ヶ丘遊園のモノレールと同様のタイプ
- 1966年 手柄山で開催された姫路大博覧会へのアクセスとして開業。3両編成で、一日最大4万人の輸送力があった
- 港湾部の工業地帯である飾磨地区への延伸なども検討された。ただ、実態としては姫路駅から手柄山公園への連絡ルートとして以上の役割を果たせなかった
- 経営難が市財政の重荷となった上に、いろいろと政治的にややこしくなる。
- 1974年 運行休止
- 1979年 廃止
- その後、長らく放置され続ける。取材なども含めて車庫に入ることは許可されなかった
- 2008年2月 手柄山駅兼車庫の建物の耐震化工事を施した上で一般公開されることになる旨が報道される。08年度予算で実施計画委託料として2000万円を計上。続けて、休止された姫路市立水族館と一体化した施設となることも発表
- 2009年10月 車庫に置いてあったモノレールをホームへ移設することになり、1両が車庫の外に出された
- 2009年11月 車両の一般公開
- 2011年4月 ホームに移設した2両が一般公開予定(水族館の付属施設となる見込み)
手柄山駅の略図はこんな感じ。
引上線のあった地点から見ると、今はこのように見える。
左側が車庫。右側がホーム。
右がホーム部の先に移設された201号(両運タイプ)。すでに外部の高架は撤去されており、曳き屋工法で移動された。
車庫内には202号が眠っている。
当時は、1階部に車庫(左側)、2階部にホーム(右側)、3階部にコンコース、4階部に入口&その他関連施設となっていた。現在も駅施設の一部は姫路市緑の相談室として使用されている。
それが、1階を水族館、2階を水族館・モノレール展示室、3階を交流センター、屋上を交流広場とし整備されることになった。オープンは2011年4月ということになっている。
ただ、計画では車庫の部分が淡水魚の展示スペースとなるため、車両をホーム部に移設する必要が出てきた。だから、モノレール展示&水族館のアピールも兼ねて、市民向けに公開することになったのだ。
新聞報道によると、車庫に4両が眠っていたということだったが、今日見れたのは201号と202号の2両。残りは備品を取り外した上で解体されるみたい(大将軍駅のホームに他のヤツがいるとの話も聞くけど。)。
現在、外に出ている201号はホームに移動させられ、代わりに202号(左の車庫内にうっすら見える車両)が外に運び出される。11月15日の一般向け公開で見られるのはそっちの方。この公開日以外でも、公園内から12月まではモノレールの姿を確認することができる。
やっぱりモノレールってカッコイイですね。高度成長期の「夢の乗り物」。レトロフィーチャーってテイストを今でも残しています。リベット打ちのボディーとか、妙に艶やかな車輪部とか、見ているとこちらまでときめいてきます。なんせ、人知れず車庫の奥底で眠ってきた車両なんだから。
でも、あの頃語られていた"夢"や"未来"は現実に裏切られてしまい、現実とはならなかった。未来的な乗り物だったモノレールも、80年代以降、新交通システムにその座を取って代わられてしまう。実際、姫路モノレールも、様々なオトナの事情でわずか8年で営業運転を終え、その後35年間封印されてきた。
それが回り回って表に出される日が来る......というのが、なんとなく不思議な感じがします。
ちなみに、一般公開は、11月15日の10時〜16時。うち2回、現場説明会も行われるそうです。http://www.city.himeji.lg.jp/s80/2212412/midori.htmlを参照してください。申込不要というのが有り難いところ。モノレールが建物の外に出ている姿を間近で見られるのはこの日限りなんで、ぜひ行ってみてください。
なお、モノレールがホーム部に収納される12月までは公園内からも見ることは可能だそうです。ただし、工事中なのであまり接近しないで欲しい、とのこと。あと、建物や車両の中の写真もいろいろ撮ったんですけど、それはまた別の話。
追記
一緒に取材されていた方の記事です。
姫路モノレール35年ぶり車両屋外に 来月公開神戸新聞
旧姫路モノレール35年ぶりお目見え産経新聞