秋田県羽後町のメイド喫茶「OHZAN Cafe & Restaurant」(櫻山)へ行く

katamachi2010-08-17

 さて、コミケ前にわざわざ東北へ立ち寄った理由なんですが、485系乗り継ぎの旅もさることながら、もう一つ寄ってみたいところがあったんです。
 秋田県羽後町にあるメイド喫茶
 古い木造建築を使って経営している喫茶店で、オタクで街おこし的な文章でしばしば取り上げられる店ですよね。3年前ぐらい、はてな界隈でも話題となっていたんで気にはなっていました。
 関西から「きたぐに「いなほ」を乗り継いで酒田で下車。レンタカーで100kmほど山越えしながら秋田県最南端の湯沢市を経由し、今夕には秋田県に上陸するという台風4号の影響で雨が断続的に降りしきる中、羽後町内に入ったのは13時半頃でした。

羽後町というとソバも旨いんです

 空腹の中年男2人。とりあえず何かが食べたい。
 羽後町・湯沢市というとオタク界隈では萌え系ばかり取り上げられますが、おそばの方面でも有名なエリアなんですよね。食べログでも、そば関係で18件が口コミされています
 さて、どこへ行こうかと、西馬音内(にしもない)集落の外れにある羽後町役場のあたりを走っていたら、1つ、そば屋の看板が見当たりました。メイン通りから住宅街に入ったところに店を発見。「蕎麦処 長谷山 」です。

長谷山

食べログ 長谷山

 小さな一軒家をそのまま使った店に入ります。先客は地元の人っぽいグループが2組。会話を聞いていると、お盆で帰ってきた家族と来られていたみたいです。
 僕らは、とりあえず冷たいざるそばを一人前ずつ。600円/枚。空腹感もあってひと息に飲み込んでしまいました。
 さて、もう一軒、どこへ行こうか....と、「ツーリングマップル 東北 (2007)」に載っていた「松屋」に。こちらは羽後町西馬音内の中心部にあります。意外と賑わっている商店街の農協の建物近くにありました。
松屋

食べログ 松屋

 いかにも古い商店街の食堂.....という感じの建物でした。

 中に入ると、こんな感じ。おお、クラシック。

 こっちの方がお客さんは多かったかな。とりあえず、僕は、ざるそば(大)。しばらくして、やってきました。ざるそば。さっきの店にも申し訳ないけど、こっちの方がうまいです。するすると啜りながら、喉で食感を味わいます。
 ちなみに、知人は、もりそば。基本、ざると同じなんだけど、丼に盛られてやってきました。海苔がついていない以外は同じですよ〜とおばちゃんの解説。でも、もりそばが丼というのは初めて目撃しました。

OHZAN Cafe & Restaurantでの30分間の小休止

 なんとか腹ごしらえをして、いざ本丸の「OHZAN Cafe & Restaurant」へ。

お探しの店舗のページはありませんでした

 ちなみに、ここの店。以前は「ohzan de imane cafe」と名乗っていたんで、ネットで検索するとそちらの店ばかりヒットしますが、今は「OHZAN Cafe & Restaurant」という名前でやっています。

 もともと懐石をやっているグループっぽい。
 その隣りにカフェがあるんですね。
 ここは対川荘という100年以上昔の山林王の別荘だったところで、文化人たちも集った由緒ある建築だという。それを改装して飲食店として再生したのが3年前。ってだけで、素晴らしいじゃないですか。京都の町屋風飲食店っておもいっきり改造されまくって元々の建物が台無しになっているところが多いけど、ここは昔の雰囲気がそのまま残っているみたい。
 古い木造民家の木材と調度品を活用しつつ、

  • フランス製のテーブルと椅子
  • 南仏生活雑貨店imane(イマン)の食器

をアクセントとして使用し、和洋が折衷したオシャレ系のCafe & Restaurantになっている。東京や京都にあるともっと流行っているよね。
 ただ、オタク的には、レトロなメイド服で給仕しているってのがいいわけで……
 と、知人と話しながら、町役場の近くにある林の中にある「OHZAN Cafe & Restaurant」に近づくと……

 おお、メイドさんが。外にいるじゃないですか。
 先客が帰るところを見送りに来たらしい。
 と、共に、僕らの顔を見て、ちょっと困った顔をされています。
 うん? なに? 痛い人たちがやってきすぎてオタ禁になったの?
 メイドさん曰く。
「すみません、2時でおわりなんです」
 えっ? 

 ただいま2時半。でも、まだやっているはずでは......
 と、ここの店のホームページをコピーした紙を見ると、

  • 10:30〜17:00(LO) 18:00〜20:30(LO)
  • 月曜定休(月曜祝祭日の場合は火曜)

とある。
 でも、今は、土日は夕方まで続けるけど、平日だと14時まで、となっているらしい。少人数のスタッフで維持しているので平日の営業時間は短くなっているとのこと。突発的な休みもあるらしい。確かに、明日金曜日は休みとある。事前問い合わせ要、なんでしょう。
 さて、困った。どうしようか……と知人と顔を見合わせると、
「3時までなら、いいですよ」という神の声。
 助かりました。これで店に入れなかったら台風で強い雨が降りしきる中、なんで秋田県の最深部までやってきたんだ、ということになってしまう。
 とりあえず、店の中に招き入れられました。


 黒く塗られた柱と壁。赤絨毯。小洒落た洋食器。
 嗚呼、思っていたよりステキな室内です。
 客は僕ら2人のみ。窓際のお庭の見える席に案内されます。

 ランチメニューも気になっていたんですが、仕方ない。とりあえずアイスコーヒーを2人前。
 台風接近で空はどんよりとしているし、室内のライトもやや暗め。でも、開放的な雰囲気がいいですね。天気のいい日に、ガーデニングランチとかしたら楽しいのかも。
 お楽しみのカフェが来ました。ポット入りの珈琲とは珍しい。

「なんで俺らだけで来ているんだろうな」と目の前の知人が一言。
 嫁さんと来たかったんだろうな。すみません。アラフォーオタク2人で来るにはちょつと場違いなのかも。
 蒸し暑さと旅の疲れもありましたが、美味しい珈琲で十二分に疲れが取れました。
 この後は、店の中の探検です。
 まずは1階のキッチン寄りにある和室。洋風建築でもこうした和的要素は必要とされていたんですね。

 続いて二階に上がります。広々としたダイニングルームとなっています。

 ここから周囲を見渡すと、この建物と隣の御屋敷を囲むようにして林が続いているのが分かります。鎮守の森っぽい雰囲気。西馬音内の集落の側にあるのに落ち着いた空気が永年維持されてきたんですね。こういう文化が平成になった今でも残っているっていうのが嬉しいところです。

萌え要素を狙っていない店とオタクの性

 本当はもっと長居したいんだけど、時間もあるんで、帰ることにします。
 レジで会計をした後、う〜んと悩んで、お土産を買うことにしました。クロワッサンをラスクとした「ラスクロ」。http://rusk.main.jp/

 これ、外封では目立たないようにしていますが、イラスト絵が西又葵先生なんですね。

 ちょっと迷ったのは、この店、公式ホームページを見ればなんとなく想像できると思うんですが、基本、「萌え」的要素で自分たちをアピールしようとはしていないんですよね。西又葵先生のイラスト絵のラスクを発売していますが、イラスト自体、店内ではあまり目立たないようにしていました。
 女性スタッフはレトロなコスチュームを身にまとっていましたが、それはメイド喫茶的な"メイド"を意識したものではありません。「お帰りなさいませ、ご主人様」的なセリフは一度もありませんでした。
 運営者の意識としては「萌え」に依存したセールスをしたくないというのがあるのかもしれない。萌え嗜好をどこかでアピールしてしまうと、オシャレ系なカフェレストランという志向とは相容れないものがあるんですよね。常連となりうる秋田県内の地元客が距離を置きかねない。
 だから、メイド喫茶的な消費の仕方ってのは、店としてはあまり望ましいんじゃないかなあ、と考えたりしたわけです。ただ、お店のレトロな雰囲気を楽しませてもらう、という態度で臨まないとけないのかなあ、と。
 地域おこしのためにオタクの消費力を活かしたいという地元の切実な願いもあるのは承知していますが、それで何かが変わるほど簡単なわけではない。でも、オタクの方は自分たちが消費者として注目されることになにか自己陶酔しているところもあるのでしょうか。昔住んでいた家の近くにある豊郷小学校のあれこれとかを地元住民から聞くと、あるいは他のオタ的スポットでの現象を見聞きしていると、ちょっとなんとかならんのか、と思ったりします。
 とか言いつつ、連れ合いへの土産&ネタを理由にしてラスクを買ってしまいました。まあ、そこらはオタクの性ですね。
 帰りは3時前になっていました。
「台風、だいじょうぶですかね」と店の外まで見送ってくれました。
 一時的なブームが終わっても、ここの店は続いていくんじゃないかなあと僕は期待しています。


 この後、JAうごhttp://www.ja-ugo.jp/に行きました。JAうご本所正面に「美少女イラスト看板」が2009年12月に完成したんだとか。
 最初、「松屋」近くの商店街にある農協がそれだと思いこんでいたのですが、それはJAこまち・西馬音内支店。件のJAは、うご農業協同組合で、場所も西馬音内から少し離れた羽後町足田字泉田にありました。


 あきたこまちは重いんで、羽後牛カレーを買ってきました。
 あと、

で記念撮影。
 オタク的活動は以上です。
 西馬音内というと、本当に全国的に有名なのは西馬音内盆踊りhttp://www.ugomachi.com/e_ugo/bonodori/index.html。今年もお盆明けの16日から18日まで開催されるそうです。そこらの話もいろいろ聞けたのですが、それはまた別の話。<参考>
タイ・バンコクのメイド喫茶akibaに行ってきました。 - とれいん工房の汽車旅12ヶ月