鉄道マニアの話

オタクが結婚生活で初めて気づいた趣味の「無駄」と「効率性」の話

以前、「オタクが趣味を断念するとき。 - とれいん工房の汽車旅12ヵ月」 で書いたように、2年前、僕は身を固めることになりました。当時36歳。「リアル電車男・撃墜」の報に周囲は一時期騒然とした。「まさか先越されるとは……」と30・40歳代の知人たちから…

鉄道マニアたちは自分の描く世界観(鉄道イメージ)を他者と共有できるのか(前編)

先日、朝日新聞の原武史の「記憶と深く結びつくローカル線をまず走らせて日常を回復せよ」って談話に関して疑問を呈した記事「「鉄道の将来を案じる政治学者原武史さん(48)」を案じる。 - とれいん工房の汽車旅12ヵ月」を書いた。彼がローカル線の行方を心配…

鉄道会社に怒られずに写真を撮るための7つのマナー

「撮り鉄」という言葉、この数ヶ月で、新聞などマスコミにてやたらと使われるようになりましたね。 7,8年前にどこかのライターが使い始め、その後、ネットの一部で使われていた造語なんだけど、いつしか「鉄道写真を撮る人」を意味する別称として使われるよ…

2月14日の「あすか」を巡るトラブルのまとめと個人的な所感

20日午後5時頃、滋賀県草津市のJR東海道線草津―南草津駅間で、フェンス(高さ1・8メートル)内の線路脇に三脚を立てた不審な男がいるのを、通りかかった網干発米原行き快速電車に乗っていたJR西日本の社員が気づき、運転士に知らせたお座敷列車目当…

鉄道イベントでしか盛り上がれない鉄道マニアと鉄道会社の憂鬱

しばらくスリランカで留守をしていたら、こんな「衝撃事件」があったんですね。 この日は京浜東北線から「209系」と呼ばれる通勤型車両が引退する日。ホームの人だかりは、京浜東北線を走る「209系」電車の最後の姿を目に焼き付け、雄姿を撮影しようと…

オタクが趣味を断念するとき。

オタクな趣味を30年間もやっていると、いろんなことを体験してきた。 やっぱり一番寂しいのは、同じ趣味を共有してきた仲間たちが次第に足を遠ざけていく姿を見ること。 関心の淡泊化、趣向の拡散、趣味を取り巻く環境の変化、他のジャンルへの移行、家庭・…

「鉄道むすめ」と「萌え」で誘客活動をしている三陸鉄道の不思議。

三陸鉄道開業25周年記念 秋のさんてつ祭りを「ありすのバースデイパーティー 〜三鉄の掘り出しもの&鉄道むすめ&久慈の旨いもの トリプル嬉しい“さんてつ祭り”〜」をテーマとして開催します。 秋のさんてつ祭りのお知らせと前夜祭列車の募集開始 というイ…

種村直樹が29年間の「外周の旅」で失ったあれこれ

列車などで日本一周の旅をしていた鉄道作家の種村直樹さん(73)が6日、ゴールの東京・日本橋に到着した。「日本列島外周気まぐれ列車」と銘打ち、29年かけ北海道から沖縄まで反時計回りに巡った。 雑記帳:鉄道作家の種村さん、29年かけ日本一周ゴー…

鉄道会社公認グッズに群がる鉄道マニアの気持ち。

昨秋、日経で「電子コミック急伸、メイド喫茶は縮小 07年度の「オタク」市場」という記事が目についた。矢野経済研究所が2007年度の「『オタク市場』に関する調査」を出したという記事だ。この手の調査、野村総研も含めて、ときどき思いついたように実施して…

鉄道が好きならば、みんなで乗って残そうブルートレイン。

「富士」・「はやぶさ」廃止から2週間が経った。 最後の日とその前日はテレビニュースでかなり大々的に取り上げられていた。「たくさんの見物客が詰めかけて」とか「旅情がある列車」とか「廃止が惜しまれる」とか、送り手にも受け手にも分かり易い切り口が…

70年代後半の「ブルトレブーム」と「富士」・「はやぶさ」の最期

今から約30年前の1970年代後半、「ブルトレブーム」というのが鉄道趣味界を席巻した。 その中心となったのは幼稚園児から中学生ぐらいの子供たち。世代的に言うと、昭和40年代生まれ、2009年現在、35〜45歳ぐらいになっている層に当たる。 そのちょっと前。1…

大垣夜行最後の日。「ムーンライトながら」最初の日。

今から13年前の1996年3月のことである。 大学鉄研の同期T氏から連絡が来た。 「東京へ行かへんか」 久しぶりに東京へ行って神保町とか秋葉原で何かいろいろモノを買いに行こうというのだ。当時、公私いろいろあまりうまくいってなかった僕への気遣いもあっ…

わずか17冊で休刊となった月刊「旅と鉄道」の無謀な試み

ある知人からメールが届いていた。 ◆「旅と鉄道」は1月10日発売の2月号を以て「休刊」となります。 詳しくは1月号最終ページをご覧ください。 旅と鉄道 1月号 12月10日発売 <定価 980円> 以前は季刊誌だったのに、2007年10月号(9月発売)から、突如、月刊誌…

売り切れた指定券と当日ガラガラの臨時列車

仙台・宮城デスティネーションキャンペーン(DC)に合わせ、1日にJR陸羽東線を走った観光列車「リゾートみのり」と東北線を走った蒸気機関車(SL)に空席が目立ったことから、沿線の自治体や観光関係者ががっかりしている。指定席券は事前に売り切れ…

かつて北海道に憧れた鉄道マニアと夜行列車の全廃

JR北海道は18日、札幌―釧路間の臨時夜行特急「まりも」の運転をことし夏に終了すると発表した。「まりも」を最後に北海道内発着の夜行特急すべてが運転を終えることになる。 夜行特急「まりも」引退へ2008年4月18日、スポーツ報知(サンケイスポーツにも…

いまなんだか「鉄道ファン」HPの「鉄道ニュース」が興味深い

毎月21日は鉄道雑誌の発売日である。それには遅れたけど、昨日、「鉄道ピクトリアル 2008年 05月号 [雑誌]」と「鉄道ジャーナル 2008年 05月号 [雑誌]」を購入してきた。「ジャーナル」の500系特集は興味深く拝見したけど、なんで再録ページもあるんだろ。最…

「萌え」という感性で合理化を図ろうとしたオタク

ブルートレイン(ブルトレ)の愛称で親しまれてきた寝台列車が3月14日、関西から相次いで姿を消す。(中略)交通機関の進化に取り残されたブルトレの「ゆとり」や「癒やし」を探った。(藤浦淳、小野木康雄) http://sankei.jp.msn.com/life/lifestyle/0802…

「廃止」と聞くと血が騒ぐ鉄道マニアの気持ちを考える

寝台急行「銀河」(東京−大阪)が3月14日で姿を消す。最終日の予約受け付けは開始30秒で終了。ラストランまで1カ月を切り、東京駅の発着ホームには熱心なファンが連日押し寄せている。 遅くて早い魅力…「銀河」廃止間近、“鉄”の列産経新聞、08/02/17 …

"浸透と拡散"する鉄道趣味マインド。そして活動を続ける動機とは

さて、ようやく「不発に終わりそうな「第三次鉄道趣味ブーム」とその課題」の話の続きに戻ります。 鉄道系の基本文献すら押さえていない鉄道入門書 この秋、大学で交通関係の講義をしている先生方と宴席で一緒になる機会が何度かあった。まあ、その手のゼミ…

不発に終わりそうな「第三次鉄道趣味ブーム」とその課題

月並みだけど2007年の鉄道事情について回顧してみようと思う。となるとやはり"鉄道ブーム"について触れないといけないだろう。 なんでも、今年は、空前の"鉄道ブーム"とかいうのがやってきていたらしい。読売新聞のホームページが「本当に『来ている』」鉄道…

ポスト"鉄道ブーム"を模索し続けた90年代以降の鉄道マニアたち

このエントリーをアップしたのは12月22日の13時頃ですが、とりあえず前回「不発に終わりそうな「第三次鉄道趣味ブーム」とその課題」と同じ日付で書き込んでおきます。 2つの鉄道趣味ブームとその過渡期である90年代 さて、そこで気になるのが、なぜ「第三次…

交通ネタを語る地方新聞の社説を要約する

むかしから現代文の受験勉強をするには、新聞の社説を要約するのがいいよとよく言われたものだ。当代一流の書き手によって練られた各新聞の社説欄。そこを切り抜き、最初は400字、続いて200字ぐらいで論者の言いたかったことを要約していく作業を繰り返して…

国鉄分割民営化の時の鉄道マニアを想う

旧国鉄→JRと引き継がれてきた労使問題に絡むあれこれは、鉄道マニアにとって、アンタッチャブルな存在であり続けた。 国鉄の経営危機、そして分割民営化問題が世情を賑わし始めたのは80年代になってからのことである。70年代には国鉄の各労働組合に対するシ…

"ポストのりつぶし"を模索した鉄道旅行派マニアたちの動機。

かつて日本国有鉄道という組織がまだ存在していた頃、国内各地に広がっていた国鉄線を乗りつぶそうと志したマニアたちがいた。宮脇俊三やチャレンジ2万キロの存在が彼らを未知の世界へと駆り立てた。 夏休みともなると、ローカル線の車内は旅行者で溢れ、駅…

"駅めぐり"を目指した80年代の鉄道旅行派マニアたち。

近年、鉄道マニアの間で、"駅を訪問する"ことが積極的に行われるようになった。鉄道の旅の途中で列車から途中下車して、一つ一つある駅を訪ねまわろうと試みる。"駅めぐり"とか"全駅下車"とか"降りつぶし"とかとも言われている。 昨年、北海道ちほく高原鉄道…

いま「新幹線脳内ラブ」の「女性鉄道オタク」が増殖しているらしい。

増殖中の女性鉄道オタク 「鉄子」の新幹線脳内ラブ TBS系「特急田中3号」にも登場する女性の鉄道ファン。 その世界は男性の鉄道趣味世界とはかなり違うようで。 (中略) 鉄子たちの多くは、自分の好きな車両を、どんどん擬人化する傾向にあるのはどうやら間違…

鉄道マニアが求める"世界観"。そして物語の不在

昨日の文章は無意味に長いなあ。まとめれば、 「鉄子の旅」は、鉄道関連書籍としても最近稀なヒット作である。しかも、鉄道趣味人の本流から外れたマンガ雑誌(しかもマイナー)から出現してきた。 エッセイマンガというスタイルはマンガ界で一つのジャンルと…

赤字ローカル線の"受益者"である鉄道マニアの限界。

水害で不通になる前から悲惨な状況だった三江線で考えてみたが……より続く。 続いて、 されるべき判断がなされず、"死に銭"が垂れ流しされているという状況はいかがなものか。私は島根県民でもJR西日本の株主でもないが、自分の払っているカネが回り回って…

この春までに私が欲しい鉄道グッズ・本。

2004年頃から一年間続いた"鉄道建物系"の食玩ブームに感化されて、トミーテックの「街並みコレクション」、バンダイ「私の生まれた街」、ハピネット・ロビンの「昭和情景博物館」などその手の食玩を全て買い集めていました。複数買いしたのもあって自宅に300…

宮脇俊三を語りたい。その3(後段は別な話)

2006-12-13 宮脇俊三を語りたい。その1 2006-12-14 宮脇俊三を語りたい。その2 最後の「文章技術の妙」……これを書く力量も資格も私にはない。 そこで安直だが、宮脇が記した文章論を紹介してみよう。引用元は阿川弘之『南蛮阿房第2列車』(新潮文庫版)に所…